THE INSECT HUNTER
2016
1126
山梨

THE INSECT HUNTER 2016


オオヲサを掘る!
  






先日、関東では11月としては珍しい降雪があった。

首都圏では雪による交通への影響はさほど無かったものの、

郊外ではそこそこの積雪もあったようだ。

この雪、じつに11月の降雪としては54年ぶりの記録という事なのだが、

54年前の記録とは、偶然にもびおすけが生まれた

その年、その月の出来事なのであった。



生まれてすぐに季節感のない寒さと遭遇し、

それに対する耐性を生まれながらに備えることになったのか?!

びおすけの寒さには強いが、暑さには極端に弱いという体質はこの時に

出来上がったものだったのかもしれない??

(断じて太っているからではない!!)




・・・それはさておき、早くも到来した冬将軍は、

本格的な冬期採集の幕開けを告げるものであり、

久しく採集に行っていなかった びおすけにとっては

野外活動に出かけるひとつのキッカケとなるものであった。




おりしも、「愛とか、風とか、虫とか・・・」の管理人で虫仲間の DX―9氏と

どこかオサ掘りに行きましょう、という話をしていた矢先であった。



そこで、びおすけの以前からの課題でもあった「オオヲサ掘り」に

DX―9氏とご一緒させていただくことになった。




  

早朝、DX―9氏との待ち合わせ場所に向かう。

首都圏を抜けると11月とは思えない冬景色が

ところどころに見受けられた。


うっかりしていたが、積雪があってもオサ掘り

できるのであろうか?


少し心配になってきた・・・。




   
途中、濃霧が発生したりもして、ちゃんと採集

できるのか心配したが、待ち合わせ場所に

着くと、空はすっかり晴れていた。


雲ひとつない「快晴」である。



南アルプスの山々も、空気が澄んで遠目にも

くっきりと見えた。

当然ながら山は雪化粧しているが・・・。


これから行く場所は大丈夫であろうか?




   
待ち合わせ時間よりも早く着いてしまったので

景色を見ながら散歩していた。


歩きながらふと足元を見ると、周囲の背の低い

下草が真っ白に縁取られており、一瞬、斑入り

の植物か?と思ったが、よく見るとすべて霜が

付着しているのであった。


ただの雑草もこうして冬化粧をしたところを見る

とその美しさは格別である。


しばらくして、DX―9氏も早めに到着し、久々の

ご挨拶をしてから現地に向かう事にした。




  
現地に向かう途中も南アルプスの山々が綺麗

に良く見えた。



現地ポイントについては、待ち合わせ場所で

打合せして、お互いの知るそれぞれの場所に

行こうかと考えていたのだが、話してみるとお互

いのポイントが実は全く同じ場所であったことが

発覚し思わず苦笑するのであった。


誰に教わったわけでもなく、虫がいそうな場所

を嗅ぎ分ける・・・。自分だけのポイントかと思っ

ていたら、実は他の人たちもよく知っている場所

だった・・・なんて話は虫屋の間ではよくある話だ。




   
現地に到着し、採集支度をはじめて早速林内

に突撃する。


林内は先日の残雪がところどころ残っており、

すっかり冬の雑木林の装いである。


びおすけはこの場所には3回くらいしか来たこと

ないのだが、DX―9氏は頼もしい事に10回以上

入っていて、しかもオオヲサもたくさん掘りだして

おり、このポイントにはたいへん精通されている。


まずは一番確率の高いと思われる崖を教えて

いただき、そこへ向かうことになった。


枯れた川を渡り、倒木をくぐり抜けてポイントを

目指す。





  
そして、ポイントに着いた。


「この崖がオオヲサが比較的多く出るんです」

DX―9氏が崖を見ながら言う。



DX―9氏イチオシの崖だけあって、このあたり

ではなかなかお目にかかれない「美崖」である。


これは期待できそうだ。




   

雪解けの名残りjか、崖は湿っておりツルツル

滑ってよじ登りにくいこと、この上ない。

スパイクのついた靴底が欲しいくらいである。


DX―9氏が先に崖にとりついた。

「こういう場所がいいんですよ」と言いつつ、

DX―9氏はオーバーハングしたあたりにクワ

を入れる。






 
びおすけも良さげな位置を狙ってクワを入れ

てみた。以前このあたりで唯一出たオオヲサ

をクラッシュした時は、わりと浅い深さから出た

記憶があるので、おそるおそる掘り始める。


このあたりではよく見られる小石が混ざった土

なので掘るというか崩す、といったイメージだ。


なんとなく崩していると、ポコッと穴があいて

中に小さなオサムシの顔がのぞいていた。

 


 
クロオサムシ山梨長野亜種

Carabus (Ohomopterus) albrechti
okumurai (ISHIKAWA,1966)

通称:マルバネオサムシ



背からお尻にかけて丸っこく可愛いオサムシ

である。

採集したマルバネオサムシをしまっていると・・・




「お?お?・・・オオヲサです!」

DX―9氏から期待の第一声が出た!



 
 
オーバーハング部分から転げ落ちたらしい。

やっと完品?のオオヲサを拝見することがで

きた・・・。

「ありがたや〜!ありがたや〜!」

涙ぐみながら見てみると・・・

なるほど、「大ヲサ」の名前に相応しい大型の

立派な体格と、それを助長する黒くてシブい

体色である。

しかもよくよく見ると独特の青味があり綺麗だ。


DX―9氏が撮影したあと、有り難く頂戴した。




    
DX―9氏が今度は崖の中腹の垂直部分から

なんと2頭いっぺんに掘り当てた!


ダブルオオヲサだ!さすがDX―9氏である!

今までまともに見ることすらできなかった

オオヲサがこうも立て続けに出てくるとは!


いる場所にはいるものだと感心しながら、この

2頭もちゃっかりいただいてしまう びおすけな

のであった。




 
さて、こうもDX―9氏に先行して立て続けに出

されてしまい、しかも出そうな場所を譲っていた

だきながらも一向にオオヲサが出る気配のない

情けないびおすけであったが、ついにその時が。


「キターーーー!!」



崖の中腹のなだらかな斜面に積もった落ち葉を

払ったすぐ下に浅く掘られた穴があり、そこから

黒くて大きなオサムシが滑り出てきた。




    
オオオサムシ本州中部亜種

Carabus (Ohomopterus) dehaanii
punctatostriatus BATES,1873

通称:チュウブオオオサムシ


「日本産オサムシ図説」によれば、本亜種は

長野県諏訪湖周辺の個体がタイプとされて

いる可能性が高いという事だが、実際の分布

域が確定していない謎の個体群であり、本州

中部に分布する個体全て便宜的に本州中部

亜種と呼ばれている。

そもそもどの地域のものが基亜種なのかも

わかっていない謎多きオオオサムシである。


 

難しいことはともかく、体全体がただの黒色で

はなく、独特の青味があり、これまた謎めいた

得も言えぬ神秘的な美しさがあるのだ。


図鑑で見るとただの真っ黒ヲサだが、実物を

見るとやはり違うな〜と感激した。




   
オオオサムシ本州中部亜種

Carabus (Ohomopterus) dehaanii
punctatostriatus BATES,1873

通称:チュウブオオオサムシ


♂交尾器と内袋




   
このあと、ほぼ同じ場所からもう1頭追加でき、

晴れて びおすけの本日の目標は早くも達成

することができた。


別の場所も見てみようという事になり、雑木林

の中を彷徨うことにした。


冬枯れの雑木林を行くDX―9氏。


天気が良いせいか日の当たる場所はぽかぽか

して暖かい。

とりあえず目的を達成した満足感もあり、ほんわ

か気分でなんだか眠くなってくる・・・。





   
途中、オオムラサキの幼虫を探してみたり、

倒木から見つけたスズメバチ類を観察した

りしたが、オオヲサの次はシナノアオヲサが

見たいという、びおすけのワガママにお付き

合いいただいて、再び崖に取り組む事にした。


そういえば…

今回、不思議なことに、このあたりでは毎回、

大量に掘りだすはずのクロナガヲサが一向に

出てこない。




 


以前、びおすけがオオヲサをクラッシュした崖

やその付近を掘ったが、そこでもDX―9氏が

クロナガをやっと1頭出しただけである。


クロナガの個体数が減ったなんて事はあり得

ないので、おそらく自分の腕が上がって無意識

にクロナガのいる場所を避けているのであろうと

思うことにした!!

残念ながらオオヲサもアオヲサも出ないが

ようやくびおすけはマルバネを1頭出した。





    
クロオサムシ山梨長野亜種

Carabus (Ohomopterus) albrechti
okumurai (ISHIKAWA,1966)

通称:マルバネオサムシ



びおすけが初めて見るブラックタイプである。

先ほども採集した、よく見る赤銅色のタイプ

とは別種と見紛うほど雰囲気が異なる。

この個体も含めてオオヲサも採れたし、今日

は本当に来た甲斐があったというものだ。



 
  
クロオサムシ山梨長野亜種

Carabus (Ohomopterus) albrechti
okumurai (ISHIKAWA,1966)

通称:マルバネオサムシ


♂交尾器と内袋




   
今度は車で移動しながら、良さげな場所を

探した。良さげな崖もあったが、DX―9氏が

クロナガヲサを1頭出したきりで、徒労に終

わってしまった。


天気が良かったのが唯一の救いで、のんび

りドライブできたのが良かった(!?)




   
今日は、とりあえずの目的も果たせたので、

早めに切り上げることにした。


シナノアオヲサはまた次の課題となった。


DX―9氏、ありがとうございました!

おかげさまでNULLをまぬがれました!


お互い健康に気を付けて、また行きましょう!




   



   




   
            ―END―        




   
           
 
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