THE INSECT HUNTER
2016
0717
愛知

THE INSECT HUNTER 2016


オダイる!
  




何度か有名産地にも足を運んだものの、フラれ続けた虫がいる。


ヒゲジロホソコバネカミキリ
Necydalis(Necydalisca) odai Hayashi,1951

通称「オダイ」と呼ばれる「ネキ」である。


一応、ソリダ、アルマン、ギガン、フォルモサ、サハリン・・・と

本土産のネキを採ってきて、本土産は残るはあと1種。


どうしてもオダイが採りたい!と考えていたところ、

採集名人のM氏から貴重な産地情報を得ることができた。


時期といい、天候といい、これは千載一遇のチャンス。

今行かずしていつ行くのか?!

今でしょ!!(もう古い?)


・・・・というわけで、行ってきた。




夜明け前に家を出る。


高速道路をひた走り、向かうはオダイのいる

お山。 眠気も空腹もなんのその。


今はひたすら走るのみ・・・。




   
やっと高速を降りることができたと思ったら、

今度は びおすけの苦手な細い山道を うね

うねうねうね・・・と走り続け3時間半かかって

やっと現地に到着した。


いい感じの湿度高めな森がひろがっている。

もしかしたら、今回は期待していいのかもしれ

ない・・・と、なんとなく感じた。




   
まずは前哨戦としてすでに咲き始めている

ノリウツギの花を掬ってみる。

早朝であるがゆえ、おそらく昨日からの居残り

と思われる普通種のハナカミキリばかりが

ネットインするが、もちろんこれらを狙っている

わけではない。

先の採集名人M氏が「ムフフなカミキリ」を

採られているので、オダイの副産物?という

わけではないが、一応狙ってみたのだ。




  
もちろん、そんな都合よくムフフがネットイン

するわけもなく、ネットをしまってトボトボと

ポイント目指して歩いていく。


途中、いかにも甲虫類が好きそうな倒木など

が多いのだが、いちいち見ていては時間が

いくらあっても足りないので素知らぬふりを

して歩き続けた。




   
ポイントの場所は行けばわかると聞いていた

ので、まずはそれ以外の場所にオダイが来そ

うな立ち枯れがないか探索してみた。


オダイ・・・といえば「ミズナラの主」とも言える

くらい因縁が深い虫だ。


ミズナラの大径木の立ち枯れを探すと、ある

にはあるがオダイが好みそうな樹皮剥げが

無かったりしていまいちである。




  
根元まで行って上を見上げてみる。

高さは30mくらいあるだろうか・・・。


申し分ない立ち枯れなのだが、いかんせん

樹皮剥げがないので、これではいくら待って

みてもオダイが来そうにもない。


その場をあとにして、ポイントへ行ってみる

ことにした。




   
山道に入るのでどれくらい先まで行くかわか

らないが、「熊対策」だけはできるだけしなく

ては、と熊鈴を二つつけてジャラジャラチリン

と音を立てながら、熊撃退スプレーを確認

して歩き出した。


林内は風もなく、蒸し暑い・・・。


しばらく行くと、おそらくコレがそうであろうと

思わせるミズナラの立ち枯れが出現した。




 
ほほ〜・・・!!これが御神木か!!

見るからに有り難い御利益がありそうな雰囲気

を漂わせた立ち枯れである。



期待に胸を躍らせながらヒメバチみたいな

♂が飛んでいないか目をこらす。


時間は9時半くらいであったろうか、黒くて細い

ヒメバチみたいのが飛んできた。


どう見てもハチだよな〜と思いつつも万が一

を考えてネットを振った。



 
   
ネットの中をのぞくと・・・・


「えええええ!!まさか!!」



いきなり突然、その万が一、そのまさかが

起きてしまった。一見ヒメバチにしか見えない

が、フォルモサ(トガリバホソコバネ)の小型

の♂を見慣れた目は間違いなくネキと確信

した!!


こんなにあっさりと採れる時は採れるのだ。

ああああ〜!!よかった!

虫の神様ありがとうございます!と念じつつ

遠くまで来た甲斐があったと胸を撫でおろし

たその時であった・・・。

 


 
今日の万が一、そのまさかはそれだけでは

なかったのだ!


ふと目をあげると目の前の樹皮を♂がせわ

しなく歩き回っているではないか!


あああ!最初の1頭はあまりにも突然だった

ので、言うのを忘れていたから、今言おう!


「キターーーーー!!!!」



 
 
喜び勇んで♂をつまもうとした時、びおすけ

は、その周囲が異常な状況に包まれている

ことに気付いた。


他にも♂が何頭か、御神木の周りを飛びまわ

り、何頭かが何かを探すように樹皮を這い回っ

ているではないか!


気づいたとたん、びおすけはパニック状態に

陥った。目移りしてどれから採っていいのか、

はたまた撮らなければ!カメラ出さないと!

あああ!!毒ビンはどこに入れたっけ!?

あああああああああ!!!!



・・・人はこれを「嬉しい悲鳴」と言うらしい。



これだけいればひとつやふたつ逃がしたって

かまわない!冷静になれ!冷静に!!





深呼吸して、とりあえず動画を撮ってみた。




    

【Necydalis (Necydalis)odai Hayashi,1951】
ヒゲジロホソコバネカミキリ ミズナラの立枯れ上の♂

♀を探して樹上を徘徊する♂


     




    
樹皮を這い回る♂たちが、ただ無闇やたらと

這い回っているわけではない事が判明した。


見よ!! 今まさに羽脱しようとしている♀を

目がけて1頭の♂が慌てて走り寄った!


もう、その速いこと速いこと!!

まさに獲物に襲い掛かるクモやカマキリの

ような素早さであった。




 
♀が孔から体を全部出し切ると、間髪入れず

♂が♀の背中に飛びつく!!


何という気の早い♂だ!!というか、他の♂に

目ざとく見つけた♀を盗られるのが怖いのか

必死さが感じとれた。





    

一方♀の方は外に出るなりいきなり襲われて

そんなご無体な!!という気持ちかな・・・・と

思ったが意外とこうなる事を既に承知していた

かのように落ち着き払って♂を受け入れている

でないか!!

女は偉大なり・・・。


 

このような状況が樹皮上の何か所かで、一斉に

行われていたのだ。


これは先ほどとは別のペア→


♂たちは知っているのか?

♀が羽脱してくる条件を・・・。

いやそうではなく、、♀のフェロモンに誘因され

周囲に飛んで集まってくるのか。


いずれにせよ、人間に計り知れない何かが

オダイの本能を刺激して行動を起こさせるのだ。


さて、交尾を終えた♀は早速産卵にとりかかる。

なんという目まぐるしい生態。


なぜ、そのように生き急ぐのだ、オダイよ!!










・・・で、とりあえず樹皮のさけ目に産卵する♀

の動画を撮ってみた。




   

【Necydalis (Necydalis)odai Hayashi,1951】
ヒゲジロホソコバネカミキリ ミズナラの立枯れ上の♀

交尾後、樹皮の裂け目に産卵をする♀


     




     
そして、これが今日の成果。

何も申し分はない!いや、あるわけがない!!


そして、帰りがけに偶然に採集名人M氏と

遭遇!他の場所から転戦されてきたそうで

すぐにその場で結果報告とお礼を申し上げ

ることができてたいへんよかった。

後にM氏からいただいたメールによるとM氏

も複数の♂♀を採られたとのことであった。


今までオダイに捧げた労苦を見事払拭しきる

ことができた一日であった・・・。 感謝。



あ、ムフフな虫は結局採れなかった・・・。




   



   




   
            ―END―        




   
           
 
THE INSECT HUNTER 2016
inserted by FC2 system