THE INSECT HUNTER
2015
0505-08(2)
対馬

THE INSECT HUNTER 2015


海峡に浮かぶ国境の島でヨスジアオる。 (その2)
  


対馬二日目の朝である。


申し合わせた時間にeichanと宿を出発する。

やや曇っているが・・・雨の心配はなさそうだ。



つい最近まで市内で唯一24時間営業だったコンビニで朝食と昼食の

お弁当やパンに飲物を買い込み、採集道具と一緒に車に積み込む。




今日は、eichanが事前に地図とにらめっこして探した、

「もしかしたら伐採作業中の場所」を求めての採集だ。



eichanのナビに従い、びおすけがドライバーで

対馬の山道を行く・・・。





0506




    
車で住宅地を走っていて、ふと気付くといつの間にか

山道を走っている・・・対馬ならではの感覚である。


対馬は森林面積が島のほぼ9割を占めているが、

それすなわち、山が多いためであり、国道以外は

ほぼ山道(=林道)のようなものだ。


今日のメインコースは伐採地があると想定した林道

を走り、良い場所があればで採集し、昨夜ナイターを

した付近・・・つまり「Bポイント」を経由し、夜は別の

林道に入り、伐採地「Cポイント」でナイターを行う

予定である。




   
「ああ〜これは・・・だめですね」


最初に目的地とした場所が、実際行ってみると伐採

してからすでにだいぶ時間が経っており、採集には

向いていなかった。

仕方なく採集できる場所を探して林道を彷徨う。


林道脇に時折、ちらちらと白い花が咲いているのが

見える。コバノガマズミなどの花が咲いているようだ。


気になる場所で車を停めて網で掬ってみる。




  
「うわわわぁぁ・・・!」




網の中をのぞくと、背筋がゾワワ〜〜・・・とする

くらい多数の フタオビヒメハナカミキリが入って

いた・・・。


ネットの底の方だけでこれだけの数である →


「他にピドニアはおらんのか・・・」


ツシマヒメハナ・・・とまでは言わぬので、せめて

ツシマチャイロヒメハナくらいは入ってほしい・・・。







  
良い伐採地も見つからず、そのまま車で走って

いると、いつの間にか尾根道に出てしまった。


想像通り、乾燥していて虫が採れそうなところは

無いけれど・・・

景色だけはとても美しい・・・・。




   
ふと、足もとを見ると、ツチハンミョウが歩いていた。


ヒメツチハンミョウ
Meloe coaructatus MOTSCHULSKY


対馬産は本土産に比べて黒っぽいという事であった

が、普通に濃藍色をしていた。





 
尾根道でシイの花を掬う eichan。


長竿の出番とばかりにがんばったけど、これといった

ものは入っておらず、ヒナルリハナカミキリが入った

くらい。


天気が良いのでうれしいのだが、乾燥が強すぎて

虫が少ないような気がする。


もう少し良さ気な場所を求めて先を急ぐ。



 
   





これまで登りか尾根だった林道が下りになってきた。

植林を避け、原生林ぽい場所を探して走った。

途中で何気に良さ気な雰囲気の場所があったので、

車を停めて探索を開始した。

eichanはコブ狙いなので林の中へ入って行く。

林の中からパシパシと叩く音が聞こえる中、びおすけ

は林縁を叩いて歩いた。


林縁に虫が寄ってきそうな倒木があった。

これは何かいる・・・と思って近づいた。



 
 
「いたっ!」



これは、対馬に来たからには是非見たいと思ってい

た甲虫である!

ハラアカコブカミキリ同様、人為的に他所でも見られ

るようになったというが、もともとは日本では対馬で

しか見られなかったムシである。




タイワンオオテントウダマシ
Eumorphus quadriguttatus (ILLIGER)


標本にしてしまうと、生体の美しさが失われるようだ。




   
同じ倒木にもう1頭いた。

日本で見られるテントウダマシの中では、最大種

ということもあり、なかなか迫力がある。




   
同じ倒木には他に

チャマダラヒゲナガゾウムシ →

とか、対馬特産種のコヨツボシゴミムシダマシなど

が見られた。


さらに付近を叩いて歩いていると・・・・


 

ツシマドウボソカミキリ
Pseudocalamobius japonicus tsushimae
Breuning,1961





一カ所の枯枝から3頭いっぺんに落ちてきた!!


思いがけず対馬特産種を得る事ができた!

こりゃ、ラッキーだ!

しかし、普通のドウボソとどこが違うのか・・・??


さらに何となく道沿いのブッシュを叩くと・・・・




   
「キタッーー!!」


付近に花も無く、なぜ落ちたのか全く不明であるが・・・

このナガバヒメハナ似のピドニアは・・・・!

ツシマヒメハナか、それともミスジヒメハナ・・・!

どちらであっても対馬でしか採れないピドニアだ!


まずは、♂である事を確認・・・・。

次に小腮肢の先端が黒いか黄色いか・・・?

黒ければ、ミスジ。 黄色ければツシマだ!


・・・・さて、どちらだ!?




   
ツシマヒメハナカミキリ
Pidonia tsushimana Saito et Saito,1988


やっと欲しかった種類が採れた!

これまでコバノガマズミなどをいくつも見たが、全く

姿が見えなかった事を考えると、本当に個体数が

少ないのか、それとも発生期がジャストミートして

いなかったのか・・・。


今回の島滞在で結局この1♂しか見られなかった。


当然ミスジヒメハナにも出会えなかった・・・。

      


 
ツシマヒメハナを見つけた場所から少し離れたところ

にコバノガマズミなどの花が咲いていおり、ピドニア

がいくつもついていたが、やはりここもツシマチャイロ

ヒメハナばかりで、ツシマヒメハナやミスジヒメハナの

姿は無かった・・・。




   
疲れたので、少し休憩・・・・ふぅ〜・・・。



イチモンジカメノコハムシ

Thlaspida cribrasa (BOHEMAN)ribrosa (Boheman,




林の中に姿を消していた eichanもようやく戻って

きた。コブはだめだったようだが、環境は悪くない

らしい。 やはり時期が早いのか?




    
戻ってきた eichan。 


そこらに転がっていた太い枯れ枝に目を付けた。

かなりいい感じで虫に食われているようだ。




   
実がついているところを見るとノグルミらしい。


ノグルミと言えば、特にシロ系のカミキリなんか

が狙える材だ。


eichanが切って持ち帰るべく、太い枯れ枝を道路に

引きずりあげてきた。




   
そして二人で手分けして適当な長さにカットした。


どーか、どーか、チョウセンシロが出ますように!!

二人で分け合って持ち帰る事にした。



【※5/20現在、出たカミキリ】

ヒメヒゲナガ1♀、シロオビチビ1♂・・・



さて、そろそろ移動して良さ気な場所を見つけよう。



   




       
車で林道を流していると、竿の届きやすそうな低い

シイが花を咲かせていた。


早速掬ってみる。


以下、ネットインしたカミキリたち。




   
ホタルカミキリ

Dere thoracica White,1855


対馬でも個体数の多いカミキリである。


せめて亜種とかにならんものか・・・?ならんよな〜。




   
シラケトラカミキリ

Clytus melaenus Bates,1884



これまた、対馬でも個体数の多いカミキリである。


せめてシロオビトラにならんものか。ならんならん。




     
コジマヒゲナガコバネカミキリ

Glaphyra kojimai (Matsushita,1939)


一瞬、「おお!!グラフィラ!!」と色めきたったが、

よく見ると何の事は無い、コジマイであった・・・。

せめてホソツヤヒゲナガコバネなら良かったのに。

(eichanはホソツヤを採っていた)




    
キイロトラカミキリ

Grammographus notabilis notabilis (Pascoe,1862)



これもまた、対馬でも個体数の多(以下略)・・・・




    
他には、ヒメクロトラ、ツマグロハナ、トゲヒゲトラ、

シロトラなどの対馬でも個体数の多いカミキリば

かりであった。




イタドリ葉上のカツオゾウムシの仲間・・・ →




   
途中、良さ気な場所を探しつつ走る。

これは!?と思う倒木が絡むブッシュを叩く eichan。


見事なまでに何も落ちないっ!!


近くのコバノガマズミなどでツシマチャイロヒメハナ

がぽつぽつと採れるくらいだ。


とりあえず、シイの花を求めて走る。




    
海に近い方まで行くと、シイの花が少し咲いており、

eichan御自慢の11.2m竿で掬うと、ムネマダラトラ

カミキリが採れた。

これに気を良くしたeichan。 ここを先途とばかりに

花を掬うが全く手ごたえがない・・・。


びおすけも惨敗状態のまま、ヒメクロトラを少しつま

んで、eichanと共にここから逃げ出した。


次に向かうのはBポイント・・・・昨夜ナイターをした

場所の近くである。




   





   
Bポイントはほぼ観光地である。

観光客も多いし、網も振り辛い。

しかし、すぐ近くの特別保護地区からはずれた

原生林の雰囲気が残る場所である。


eiichanはコブ狙いなので、ここはどうしてもはずせ

ない場所なのだ。

ただ、あまりの天気の良さに乾燥が進んでいる。

時期的にも発生には微妙なタイミングのような気が

するのだが・・・。


とは言いつつも、当然 びおすけもコブは欲しいの

で、eichanの後ろからコソコソとついて行く。


この吊り橋を渡って原生林に向かう・・・。




    
叩き網片手に遊歩道を歩く eichan。



遊歩道沿いは乾燥した感じがするが、少し林内を

のぞくと、けして湿気が無いわけではない・・・。



   
しかし、ムシの影は異様なまでに薄く、めぼしいムシ

は全く見られない。


倒木やら粗朶やら、ポイントにはことかかないが、何

もついていないのだ。


かろうじて、ツシマチャイロヒメハナがいた程度。




    
eichanは原生林の中にも足を踏み入れ、倒木を

探すが、目的の虫はどうしても見つからない。




   
びおすけは網でぶら下がった枯れ蔓や粗朶などを

掬いながら歩くが、それこそ、綺麗さっぱり!虫が

いない!!


ここは一体どうなってしまってるんだろう??!




    
仕方ないので観光地らしい景観だけ堪能して、

次の 「Cポイント」へ向かう事にする。




   





  
「Cポイント」へ行く前に、またもや観光地に寄り道。

展望台がある公園。


ここも採集ポイントであるらしいが、観光客などが

おり、あまりそういった雰囲気ではない。


韓国から来たとおぼしき団体が立ち去るのを待って

我々も展望台にあがってみる。




   
ほほ〜・・・ほぼ180度の視界が広がり、もう少し

晴れていればもう少し遠くまで見れるだろう。


それでも、なかなか良い景色だ。




   
展望台の脇にケヤキが立っており、もしかして

ヨスジアオカミキリがいないかと探したが、そんな

に都合よくいるわけもなく・・・。


見ると付近には夥しい数のノミゾウムシの1種が

見られた。

ケヤキノミゾウムシだろうか・・・?




   
あちらこちらで交尾の真っ最中・・・。



さて、「Cポイント」へ急ごう。


日が暮れないうちに場所を決めて、ナイター設営を

しなくてはならない。

ただ、このCポイント・・・。

要は伐採地なのだが、どういう雰囲気の場所なのか

全くの不明である・・・。




   





    
というわけで、Cポイントに到着・・・

その場に立って眺めてみれば、なかなか良さ気な

伐採地だ。ただ、やはり乾燥がきつそうだが・・・。


遠くに白嶽が見え、裾野の原生林が手前まで続く

ようなシチュエーションは少し期待が持てそうだ。






    
粗朶には全くこと欠かない状態だが、思ったよりも

虫の影が薄い。

ざっと見渡して、いるのはキイロトラ、ミドリカミキリ、

ハラアカコブカミキリ・・・くらいである。

でもカミキリがいないわけではないらしい・・・。




  
  
よしっ!早速設営開始!!


昨夜はあまりにもしょぼかったので、それに比べれば

まだマシであろうと思いつつ、白幕を張った。


張り終わると同時に蛾やヒメバチなどが集まりはじめ

た。甲虫はコメツキがすぐに飛んできはじめた。


その直後、一瞬、強風が吹いた。

思わず白布をが飛ばされないよう押さえる。



   
その強風に吹き飛ばされて、偶然白布に来たか?

見るとカミキリちっくなシルエットが・・・!!

しかし小さい!! 老眼にはきついな〜!

ん?・・・タカオメダカ? 対馬にそんなのいたっけ?

eichanもこの薄暗い野外ではよくわからんと言う。

確認のため迷惑顧みず、るどるふ氏に連絡して調べ

てもらうようにお願いした。

る 「え〜?それってツシマアメイロじゃないですか」

び 「いや〜・・・?タカオメダカっぽいんだよね!
   もしかして新記録!?」

る 「いや〜ツシマアメイロでしょう・・・」

び 「いいや、違うって!!後で調べるからいいよ!」




   
ツシマアメイロカミキリ
Obrium obscuripenne obscuripenne Pic,1904

・・・・でした・・・・。





アメイロ系とメダカ系の区別もつかんのか〜!と

我ながら情けなくなった!!


るどるふ氏、ご協力ありがとうございました・・・。


それにしても、老眼とは恐ろしいものじゃ!




   
さて、こうなるとメダカやアメイロ好きのeichanが

黙っていない。いても立ってもいられず叩き網の

旅に出てしまった・・・。


びおすけは白幕の前で屋台の金魚すくいのおじさん

よろしく、座ってお客さんを待っていた。


何かいいもん、飛んでこないかの〜?

昨夜のしょぼしょぼナイターと違って、多少は甲虫

も来るようになった。




   
ビロウドコガネの仲間・・・




  
コメツキの仲間・・・・




  
ジョウカイの仲間・・・・




  
キイロナガツツハムシ
Smaragdina nipponensis (Chujo, 1951)


今回、よく見られたハムシの1種である。

小さいながらも綺麗なハムシである。




  
スカシカギバ
Macrauzata maxima maxima Inoue, 1960


その名のとおり、本当に透けていた。面白い蛾だ。




  
ウスギヌカギバ
Macrocilix mysticata watsoni Inoue, 1958

この蛾は、自分で自分がこういう柄をしておる事を

知っておるのだろうか・・・?





   
eichanが叩きの旅から戻ってきたが、たいした獲物

は無かったらしい。

タイワンオオテントウダマシ、ヒゲコメツキ、

オオクチキムシなどのおみやげを持って来てくれた。


びおすけも白幕の前で待つのに飽きてきたので、

そこいらを散歩することにした。
 



   
photo by eichan
懐中電灯を照らしながら歩いていると、思いのほか

多くのツシマオサムシが歩いているのに出くわした。


こうして採集する方が、トラップをかけるよりむしろ、

効率が良さそうな気がする。




  
乾燥しているので、いないかな〜・・・と思っていたが

意外と活動しているものである。


ほら、ここにも。




  
そして、ここにも・・・。


と・・・・!

いきなりeichanの悲鳴が聞こえた!!

何事かと思ったら、なんとHIDランプの充電がいきな

り切れてしまったらしい!!


これではブラックライトだけの暗闇採集になってしま

うので、危険である・・・。


あえなく今夜のナイターは終了を迎えたのであった。





  
仕方なく真っ暗闇の中を帰ることにした。


まだ明日丸一日と明後日半日が残っているので、

なんとかなるだろう!・・・・とお気楽な二人旅はまだ

まだ続くのであった・・・。



ただ、天気予報だと明日は雨と言っていたのが、

ちと気がかりだ・・・。


さて、どうなることやら。



   
        その3 に続く・・・・




   
           
 
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