THE INSECT HUNTER
2014
1123
山梨

THE INSECT HUNTER 2014

オサ堀りシーズン。悲劇ではじまる。



 今年も早、忘年会やクリスマスの話題が上がりはじめるようになってきた。




TVの天気予報で屋外レポートのおねえさんがコートを着始め、

「キョウモ、サムイデス・・・」

という言葉を連発する頃になると、びおすけもいよいよ

『カミキリ屋から 【にわかオサ屋】 に変身する季節の到来だな〜』

という実感が沸いてくる。




車のトランクからいつも積みっぱなしの長竿や網、夜間採集セットなどを降ろし、

その代わりに準備したピッケルや軍手を載せ、

いつも手元に置いてある図鑑や資料がカミキリ系からオサムシ系のものに切り替わる。



 そしてネットで道路地図や国土地理院のサイトとにらめっこしながら、

図鑑で掘り出したいオサムシの種類と分布を調べ、

あれやこれやと、都合の良い妄想に近い想像を勝手にふくらませて、

時々何を思ったのか、宙を見つめながら ニヤ〜っと薄笑いを浮かべたりして

楽しい時間を過ごすのだ。



というわけで、今期も にわかオサ屋びおすけ、始動しました。



  




   
朝も早よから地図で目星を付けた林道に到着。

はじめて入った林道だが、雰囲気は悪くなさそうだ。


何気に目に付いた法面に鍬を入れてみる。 


「土、やわらかい・・・」


イメージしている土質とはちょっと異なる、あまり

締まっていない、ホクホクした感じの土だった。

しかし、枯れ沢もあるし環境としては良さそうなの

で、奥へ進んでみる事にした。




  
所々に「やまおやじ」もおる。

クワガタ採集には良さそうな場所だ。


「オオクワもいるかも・・・」


などと想像してしまい、つい、崖ではなく朽木探し

に走りそうになったが、その気持ちは抑えた・・・。

今日の目的はオオクワガタならぬ、オオオサ・・・。


憚りながら、びおすけはオオオサを採ったことが

一度も無いので、いわゆる「チュウブオオオサ」

という代物をこの目で見たかったのである。




   
とりあえず目に付く掘りやすそうな場所を掘る。


しかし簡単に手が届く安易な場所には、それなり

の結果が待っていると言うことを・・・・びおすけは

まだ知る由もなかった・・・。


鍬を入れると、その周辺もぼろぼろと崩れるような

やわらかい場所であった。




 
最初に出たのはクロナガオサ系であった。


このあたりにはコクロナガやオオクロナガは分布

してないだろうから、たぶんクロナガだろう。


林の中は暗く、上翅の丘孔点列やら前胸背形状

とかフ節の形状とか・・・細かい部分はよく見えない

ので、とりあえずクロナガということにした。




  
帰宅してから、体各所の特徴やゲニタリアなどを

観察して、種名は判明した。 



クロナガオサムシ

Carabus (Leptocarabus) procerulus CHAUDOIR, 1862



産地からいうと、いわゆる「中部型?」というのになる

のだろうか?


しかし♂ならともかく、♀だとオオクロナガやコクロ

ナガオサとはっきり区別できるのか・・・?

前胸背の形状や、丘孔点列にしたって微妙な個体

もあるだろうから、にわかオサ屋の びおすけには

難しいに違いない。


次はオオクロナガも狙ってみよう・・・。




   
同上 交尾器・内袋




   
とりあえず、オサムシが居ることがわかったので

少し安心した(笑

これなら、マルバネオサムシは楽勝、シナノアオ

オサも少し採れて、うまくすればチュウブオオオサ

も見れるに違いない!と、タカをくくってみた。



 
 
しかし掘っても掘っても出るのはクロナガばかり。

標高が低いのか? 環境が悪いのか?


しかし、ここぞ!と言える崖が見当たらないので、

つい、すぐ手が届く簡単な場所を掘ってしまう。

すると土質がやわらかいので、クロナガばかりが

越冬している・・・。で、またクロナガかよ!と気落ち

するから気力が無くなり、またすぐ手が届く簡単な

場所を掘ってしまう・・・という恐るべき悪癖のループ

に気づかないうちにはまりこんでいたのであった!!




クロナガの数がそろそろ二桁に手が届くか・・・という

頃になって、ようやく びおすけもその恐怖のループ

の罠に気づいたが、すでにヤケノヤンパチになって

おり、


「あはは!!またクロナガだっ!!わーいわーい!」


と自虐的にオサ堀ピエロを演じる末期的な症状を

見せ始めていたのであった!!

クロナガの数は増える一方だ!


びおすけ、ピーーンチ!!




 
その時、久々に見る『掘りたくなる崖」が見えた!!


「キタ!!」


やっと悪夢から醒めたかのようにその崖に向かって

走り出すのであった。


崖に取り付くと、まずは上の法肩から掘り始めた。


「はー・・・はー・・・」

息を切らしながら鍬を振るう。



 
  
「お!違うの出た!!」


ついにクロナガ地獄から解放された瞬間であった。

とは言うものの、見ると何のことはない、マルバネ

オサであったが、びおすけ的にはホッと救われた

瞬間であった・・・。



「マルバネ様、ありがたや〜・・・。」


そっと涙ぐみながら、マルバネオサに手を合わす

びおすけであった。




   
しかし、それも束の間、次に出たのはまたもや!!

クロナガであった・・・・。


「あははは!!やっぱりそうなんだ!!あはは!!」



またオサ堀ピエロ状態に陥るのか!?と思われた

その時!!




   
「キタ・・・・神崖・・・・キタ!!」


3mほど斜面をよじ登ったあたりに 「ここを掘れ」

と言わんばかりの神々しい崖が出現した!!


ずるずると足を滑らせながら斜面を這い上がり、

ようやく崖の肩に取り付くと、早速鍬を入れ始めた。




  
掘り始めてすぐにマルバネが出てきた。

「こりゃ、いいぞ〜!!」


気を良くした びおすけ、間髪入れずにまたすぐに

掘り出した、その時であった!!




   
ぽっかりと大きめの越冬する穴が開いたと思ったら

クロナガばりの大きな黒っぽいオサムシが出現!!

見るとその紺色の上翅は、紛れもないあのオオオサ

のものであった!!


「キターーーー!!」


と叫んだ(心の中で)瞬間、ふと見ると頭部が無い?


「あああっ!!やっちまったーーー!!」


と頭を抱え込んだが、せめて写真だけでも撮ろうと

気が緩んだ瞬間、指が滑って落としてしまった・・・。


「しかも、ロストーーーー!!?」




 
↑クラッシュイメージ by びおすけ
初めてのチュウブオオオサをクラッシュした上に

ロストした衝撃に 数分、呆然と立ち尽くしたまま

のびおすけであった・・・。




   
数分後に 我に返った びおすけは


「でも、オオオサが居る事はわかったじゃないか!」


と気を取り直し、その周辺を探し始めた。


しかし、出てくるのは毎度のクロナガばかり・・・。



  
   
こうして、その後も探索を続けたものの、クロナガを

数十頭出し、マルバネを3頭出し、シナノアオオサは

かすりもせず、チュウブオオオサは、あの1頭だけで

後はもう出ないのだと悟った びおすけは、その場で

がっくりとひざを折って屈したのであった・・・。



ああ、無念・・・。




 
さて・・・早くうちに帰って クロナガを綺麗に展足

しよう〜っと♪


うれしいな!!うれしいな!!

うれしいな!!

うれしい

うれし

う・・・




   




    
END






   
           
 
THE INSECT HUNTER 2014
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