THE INSECT HUNTER
2014
0913-14
長野-山梨

THE INSECT HUNTER 2014

タニグチコブヤハズる。



 
びおすけはサラリーマン虫屋である。

土日祝日年末年始GWお盆休暇に虫採りに行くのである。




が、しかし今年はなぜか週末や祝日、休暇日に限って


低温だったり、大雨だったり、台風だったり、雷だったり、親父だったり、ガソリン値上げだったりして


虫採りに行けない、もしくは行っても採れない状態が続いたのである。

いや、休みに限った事ではなかった。



そもそも天候不順というより、異常気象といった方が正しいかもしれない。

各地に数々の自然災害が発生し、多くの被害が出た事は記憶に新しい。

このような状況の中、虫採ってる場合じゃないよ、とおっしゃる向きもあるが、

とにもかくにも、そのような状態が続くのは虫屋にとって

ストレスが溜まり、心身によろしくない事は言うまでも無い。



このような「負の年」ともいうべき2014年ももう早、秋である。

そして、このよろしくない状態はいまだに続いているかのようだ。

異常気象の結果が、虫の発生にも影響を与え続けているのかもしれない。



しかし、このような状況に於いても、良い結果を出されている強運の方々もいる。

彼らはもちろん運頼みではなく、いろいろな努力もされているに違いない。

  今年の残りのシーズン、 彼らの足元におよばない事を承知の上で、

少しでも多く虫の探索に出かけて、良い結果が出せるよう、

暗雲立ち込める「負の年」を打破したいな〜と考える びおすけなのであった。





という、前向きな出だしにもかかわらず、実際やってる事は今までとあまり変わらない

「体たらく」な びおすけなのだが、とりあえず、連休なので行ってみた。

狙いは当然 「秋物」 のカミキリムシたちであるが、

メインは爽快感あふれるスポーツ感覚とギャンブル性、さらには、推理力や運も必要な、コブ叩き。

中でも大好きな、タニグチコブヤハズを狙ってみたいと思う。




 

0913 長野



   
いきなり出鼻をくじかれる大渋滞に巻き込まれた。

日本の連休はやはり、これでなくっちゃ!!

って、喜んでる場合ではない。


eichanとの待ち合わせに遅れてしまう!




  
なんとか渋滞をくぐり抜けて、現地に到着した。


高原の空気を胸いっぱいに吸い込む・・・。


休みの日に虫採りに出かけて、これほど晴れた

のはかなり久しい。やはり気分が良いものだ。

高原だから風は涼しいが、日向に立つとだいぶ

暑く感じられる。


お目当てのタニグチはもう出ているだろうか。




   
すっかり忘れていたが、eichanはどうしてる?と

連絡をとってみると1時間くらい後に到着しそう

だということで、先に探索を始めることにした。


コブが潜む枯葉を求めて林の中を徘徊する。




 
今日、最初に見たカミキリは・・・

例によって アカハナカミキリであった。


初夏のシーズン真っ盛りだと、赤い虫が飛んで

いたら慌てて追いかけるが、今の季節赤い虫が

飛んでいたら、まず、アカハナだろう・・・という事

で、ほとんどスルーである。




  
タニグチがいそうな枯葉を叩くと、まずは恒例の

カメムシ、ハサミムシ、ザトウムシ、クモ類の洗礼

を受ける。

そのうちタニグチも落ちるだろうと、簡単に考えてい

たが、叩いても叩いても、枯葉を広げルッキングし

てみても一向にタニグチは姿を見せない。



 
 
時間が経ち、陽が高くなるに従って林の中も

日当たりが良くなってくる。ますますコブがいる

雰囲気ではなくなってきた。


まさかの「NULL」という言葉が、頭に浮かび

はじめる。 少し場所を変えて探索を続けよう。




しばらくしてから eichanと連絡がとれ、途中で

落ち合うことができた。eichanは、ヤマブドウを

叩いて、すでに小さな♂を採っていた。

eichanは厳しい環境の関西でコブ修行を続けて

いるので腕は確かだ。そんなeichanでさえ1頭

だけ?というのが不安を増幅させる。




    
ここぞという、いかにもいそうな場所を見つけて

近寄ると、どうも人の入った痕跡がある。しかし

今朝のものではないようだ。探す場所は皆同じ

という事だろう。


そして、ここにきてeichanの調子が上がり始める。

ヤマブドウやイタドリの枯葉からタニグチを落とし

はじめた。さすがは eichanである。

採れたタニグチを見せてもらうと、まだ少し赤み

が強く発生したばかりの個体のようだ。




 
新鮮なタニグチを見て、びおすけも少しやる気が

おきてきた。ちょうどタイミング良くヤマブドウの

茂みを見つけてルッキング。

土を這うようなブッシュで叩き網が入らないのだ。

びおすけの苦手な集中力を必要とする採集だ。

茂みに中をそろりそろりと進みながら探していく。



 
  
そしてやっと・・・

蔓にしがみつく小さな個体を発見した!

この瞬間、なんだろう?ドーパミン?がドバッと

放出されるようなあの独特の感覚が心地よい。


コブのイメージからするとかなりの極小個体だ

(約 9mm)が、これでなんとかNULLは免れた。




   
タニグチコブヤハズカミキリ
Mesechithistatus taniguchii (Seki, 1944)


小さいので♂かと思っていたが、♂にしては

触角が短いし♀なのか?

普通、タニグチの♀は大きいので意外だ。




   
ブッシュでタニグチを探す びおすけ。




  
photo by eichan
タニグチを探していると、ヤマブドウの葉の異変に

気づく。凄い数の食痕。サペルディーニ系のものだ。


まだ新しい?この時期に発生するサペルって・・・?




   
正体はすぐに判明した。


シラホシカミキリ
Glenea relicta relicta Pascoe,1868


初夏から見られるカミキリだが、発生が長いのか。

それともたまたま今年の気象に影響された結果

なのか。

(写真のピントが合ってませんがご勘弁)




 
良い雰囲気のブッシュを見つけた。

eichanが入り込んでヤマブドウを叩き、ついに

フジコブを落とす!

そして同じ場所でタニグチも落とす!


そう、このあたりはタニグチとフジコブの分布接点。

この2種の分布の範囲を調べるのも今回の目的

だったのだが、頼りない びおすけに代わり、eichan

が目的を果たしてくれた。




   
eichanが採集したフジコブヤハズカミキリ。

体長10mmあるかないかの極小個体だ。



  
   
上と同個体。


一見、普段見かけるフジコブとあまりにもサイズが

異なるので、先に極小タニグチを見ていた先入観も

あり、タニグチが混ざっているのかと思ったが、

そうではないらしい。




 
photo by eichan
そして、フジコブと同所で採れたタニグチ。

普通サイズの♀であった。




   
eichanがタニグチ6exs、フジ1ex、びおすけタニグチ

1exという結果は、まあ何とも・・・。

しかし、フジとタニグチのエリアが判明してよかった。

自分で採ったわけでもないのに、達成感を得た

びおすけはもう帰るモード!

eichanも一安心モードに入り、のんびりぶらぶら

と山を降りることにした。



昼下がりの暑い日差しの中で元気なアカハナ→




 
帰りの登山道。

ぶらぶらと叩きながら下る。




   
適当に叩いているとエグリトラカミキリが落ちた。




   
蔓の絡んだブッシュを叩くと落ちたのは

カッコウカミキリ。

チビコブ系は好きなのでちょっと嬉しい。




   
カミキリ以外では、マダラフトヒゲナガゾウムシや

ドロハマキチョッキリ、ルイスコメツキモドキ、

アカクビナガハムシ、キアシヒゲナガアオハムシ、

キクビアオアトキリゴミムシなどが落ちた。




   
車をとめた場所まで降りてくると、南アルプスが

見えた。時間があればN山など行ってみたかった

が、もう早、夕刻なのでその時間は無い。


近くで実績のあるアカジマトラ探しに行くことにした。




   
しばし移動・・・。



 
   
以前アカジマを採った現場に着いた。探索を試みる

も残念ながらアカジマは見つけられなかった。

理由は不明・・・。鉄板で居る場所の筈なんだが。

eichanはこの場所のアカジマとは因縁があるので

ぜひ採ってもらいたかった・・・。


あきらめて、今晩泊まるホテルへ向かう事にした。

そのホテルは南アルプスの端に近い場所にある。


さて、明日も有意義な採集ができるであろうか。




   

0914 山梨




  
さて、翌日。

早朝、朝食も食べずにホテルを出発する。

実は午前中だけだが、るどるふ氏と合流するのだ。

目的地はタニグチとセダカが混生することで有名な

山である。

るどるふ氏と待ち合わせの場所へ着くなり、

る 「さあ!行きますよ!」

相変わらずせっかちな人・・・。

しかし、今日はるどるふ氏にコブ指南を受けるため

来たので下手に文句は言えないのだ!




  
この山はタニグチ生息地として有名だが、びおすけ

も、eichanもあまり採れない山であると思っていた。

しかし、るどるふ氏はそんな事は無いと言う。

そこでそれを証明するために、るどるふ氏が参戦。

さらに我らに指南していただけるという趣向である。


早速、生息数が多いというエリアに案内してもらい、

るどるふ氏からアドヴァイスを頂戴する。

る 「さあ、この辺が濃いからそちらから周って」

え 「はーい、先生」

び 「はーい、先生」




   
なるほど今まで見過ごしてきた。こんな場所が

あったのだな〜。さすがは るどるふ氏である。


び 「ねぇ〜るどちんマルバダケブキがいいのかな」

る 「るどちんとは何だっ!!先生と呼ばんか!」

び 「はーい、先生。何を叩けばいいかな?」

る 「枯れた葉ならなんでも叩いてみなさい。ほら、
   こんな植物からも・・・。ほれ落ちた」

え 「おー!すごい、どれ私も。おー!落ちた!」

び 「えーすげぇ〜。どれおらも・・・落ちねぇ〜」

る 「まあ、それは腕とセンスの差だ。仕方ないね」




   
そう言い放つと、黙々と叩き始める るどるふ氏。


る 「な〜に、だらだらやってるだけですよ・・・ふっ」


と言いながら、シャキシャキとした動きで次から

次へと叩いていく姿は、まるで 「叩き網マシーン」

のようである。




  
一方、eichanも思ったより苦戦しながら、少しずつ

落としているようだ。


え 「えと、こうしてね、いちまいいちまいかれはを
   ひらいてね、たたいてもおちなかったりする
   からね、だいじにね、よおくみてね・・・×▲☆
   ほ〜らほらっ!いたでしょ!!」


るどるふ氏とは対照的にゆったりと探す姿はまるで

孫が落としたおもちゃを探している爺のようだ。




   
びおすけも 人間観察している場合じゃないと。



下を見ながら徘徊していると、何気に良さ気な枯枝

が落ちていた。

見上げると、どうやらヤマハンノキの伐採枝らしい。




   
叩き網の上でバサバサと揺すってみる。


お!?お! 落ちた?!




   
やった!落ちたよ〜、るどちん!もとへ るどるふ

先生!!


これはいいや、といくつか落ちている枝を拾っては

バサバサ・・・。




   
バサバサ・・・・


落ちた!!




  
バサバサバサッ・・・・


また落ちた!!!




  
バサッバサッバサッ!!


今度はダブル、キターー!!!




あっという間に5頭GETできた。


るどちん、もとへ るどるふ先生の

おっしゃる通りであった。




 
マルバダケブキなどを叩くとコブ以外にも色々と

落ちてくる。


コブ叩きには付き物の、ニセビロウドカミキリ。




   
これまた付き物の クロコブゾウムシ。




   
これまた、よくいるゴミムシ君。




   
キオビナガカッコウムシなども落ちる。

これもコブ叩きでは、わりと付き物の虫である。





というわけで、調子に乗った3人は別の場所も

探してみる事にした。




  
ちょっと乾燥してるな〜と思ったけれど、一応

叩いてみると・・・


落ちたっ!!


何か楽勝ムードが漂ってきたが、実際にはそう

甘いものではない。

やはりどこでも叩けば落ちるというわけではなく、

時間帯による日当たりの有無や、湿度、葉の枯れ

具合など良い条件が重なる場所じゃないと難しい。





   
るどちん、もとへ るどるふ先生が


る 「ここは良さそうだ!みんなここ叩いて!」


と草本類を叩くとポロリとタニグチが!


それを見ていたeichanと びおすけも慌てて叩き

はじめる。


びおすけもこんな場所を叩いてみると・・・




   
落ちたっ!!




   
調子に乗ってこんな場所も叩いてみると・・・




   
落ちたっ!!て、あれ・・・・?


ヘリグロリンゴカミキリであった。

少し胸に黒点が入る、標高の高い場所で見られる

タイプだ。




   
るどちん、 もとへ るどるふ先生のおかげで

それぞれコブ叩きを堪能させてもらった。先生の

言うことに間違いは無いと得心した。

3人で24頭採集することができたが、やはりこの山

の環境が素晴らしい証なのだろう。


この後、るどちんはオオトラを狙うべく颯爽と東京へ

と去って行った。


さて、我々も次の場所へ移動しよう・・・。



採集地を振り返る るどるふ氏と びおすけ→




  
photo by eichan





  
午後は気分一新、秋の大物オオトラとメディオを

狙って移動する。




    
現地はほぼ快晴で、気温もぐいぐいと上昇。

条件は揃ったと言っても過言ではない状況だ。


ここでeichanの採集仲間のロットンさんが参戦。

われ等と違って行動的な方とお見受けした。


ロットンさんは午前中別の場所でオオトラを探し

てこちらへ移動された。せっかくなので良い成果

があればよいのだが・・・。




   
それにしても暑い。

セミですら日陰に隠れている。これならオオトラも

樹冠から降りてくるに違いないと固く信じて待つ。




   
びおすけのオオトラセット。

とにかく待つので、腰に支障がある びおすけには

立ちっぱなしは辛いため、イスは必須である。

これに座り、「動かざること、山のごとし」とばかりに

待ち続けるのだ・・・・。

と言えば格好いいが、実際には居眠りしているか、

ただ、ぼけ〜っとしているかである。


ああ、辛い。




   
そんな びおすけを尻目に、eichanとロットンさんは

メディオを探したり、オオトラがいそうなモミを見て

まわったりして忙しそうだ。


たまに戻ってくるロットンさんの採集失敗秘話など

をお聞きし、笑って楽しみながら時間は過ぎていく。


しかし、オオトラはおろかメディオすらNULLという

残念な結果が待っているとは思いもしなかった!




   
う〜ん・・・今年もだめか・・・。



年々ヒゲナガカミキリの食害によって衰退していく

林にはオオトラも住みにくくなってしまったのか。




   
以前、実績のある木を見ていくが、やはりオオトラ

の気配はなかったのである。


残念ながらこのへんで今日は切り上げる。しかし、

来年またチャレンジすると心に誓いながらこの場を

立ち去った。





   
この後、eichanとロットンさんは材採集に出かけて

びおすけは帰宅することにした。


皆さん、どうもお疲れ様でした!




    


他の秋物に関しては全くダメだったので悔いはある

が、今回は、タニグチコブヤハズについては思って

いたよりも成果があり、堪能できたし満足だ。


今回お世話になった、eichanをはじめ、ロットンさん

と るどるふ氏に感謝します。


またよろしくお願いします。




    
END






   
           
 
THE INSECT HUNTER 2014
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