THE INSECT HUNTER
2013
1201
静岡

THE INSECT HUNTER 2013

 オサ掘る in 2013冬。そして2014へ。





中学一年生の頃、初めて「オサ掘り」という採集法を知った。


もともと、オサムシ自体はあまり好きではなかった。

臭いし、尻から刺激のある液体を噴射するし、ミミズとか気味悪いものを食べてるし・・・。



しかし、『寒い冬にも成虫が採れる・・・』

今から思えば成虫で越冬する昆虫は、けして少なくないのだが

自分のような初心者にとっては、画期的な話であった。

標本作りしかやる事がないだろうと思っていた真冬に、採集ができるなんて!

しかも、土を掘って見つけるなんて、まるで童話や物語の宝探しのようではないか!

実際、崖や朽木から目当てのオサムシを掘り当てた時は、この上ない喜びを味わえた!

ぽっかりと開いた穴の中に脚を縮めてちんまりとおさまっているオサムシは、

もはや虫というより、キラキラと光る宝石であった。

オサ掘りって何て楽しいのだろう!!



中学生当時はバス・電車を使って近場にしか行けないため、

採れるのはアオオサやクロナガオサ、

良くてもエサキオサくらいであった。

冬の寒い朝、いそいそと出かける準備をしながら、

家族に 『オサ掘りに行ってくる〜!』 と声をかけると、

『どこに、サボリに行くんだ?』 と、よくからかわれた。

マイマイカブリなんて雲の上の存在であった。

高校生になって、何かの間違いでホソヒメクロオサ(アルマン)

を朽木から採集した時は、その晩嬉しくて寝れなかった。

『千葉に行くと赤いアオオサが採れるらしいぜ!』

『それはすごい! いつ掘りに行く!?』

などといった会話が仲間と交わされ、まだ見ぬ土地の

珍しいオサムシに夢を馳せ、胸を躍らせた。



時を経てこの歳になっても、オサ掘りに感じる

楽しさや難しさはほとんど変わっていない。

自分のような採集下手にとって、オサ掘りは

やるほどに奥の深さを感じさせるのだ。




そんなわけで、今シーズンもまた、

オサ掘りに出かけてみようと思う・・・。








   
初冬は空気が澄んで、遠くの景色が綺麗に見える。

こういった景色を見ると、

「ああ、今年もオサ掘りシーズンに入ったな〜・・・」

と感慨深くなる。



というわけで・・・某所から眺める富士山。




  
しかし、びおすけが向かうのはあちらの山・・・。

何の変哲もない、よくある低山。




   
落葉樹がちらほらと混ざる、基本、ヒノキやスギなど

針葉樹の植林地内の林道を進む。




   
適当な場所に車を停めて、未舗装の林道を歩いて

崖を探す。 ほどなくして良さそうな崖が現れた。


できるだけ粘土質な感じの場所を選び手鍬を入れる。

少し苔がついてる場所は、多少さらさらした土質でも

念のため掘ってみる。




    
掘り始めて最初に出たのは、スジアオゴミムシで

あった。大型のゴミムシなので、オサムシと勘違い

しやすい上に個体数が多いので、せっかく掘り出し

ても、また土に埋め戻してしまう。




  
小さなモリヒラタ系のゴミムシなどは出てくるのだが、

肝心のオサムシはなかなか出てこない。

崖を少しづつ横にずれながら、少しでも良さそうな

場所を探す。


いかにもここは出るぞ!?っと思わせる粘土質で

植物の根際に近いあたりに、突然『ポコッ!』と穴が

あいた! やっと出た! やや中型のオサムシだ。




小型のアオオサぽい感じもするが、上翅の光沢が

とても強い。

続いてその近くの崩れた土に混ざって、1頭コロコロ

と転がり落ちた。 見失わないように目で後を追い、

止まったところで拾い上げる。

これも先の個体と同じ種類らしい。




   
また少し離れた同様の土質の場所でも1頭出た。

大きさは同じくらいだが体型がやや丸い気がする。

♂♀合わせて6頭採れた。どれも光沢が強い。


しかし、帰宅してから♂交尾器を見たところ、指状片

の形状等から、採れた6頭は全て同じ種類のようだ。




    
Carabus (Ohomopterus) esakii suruganus
Ujiie,Ishikawa et Kubota,2010


ニシシズオカオサムシ


シズオカオサムシの富士川流域以西亜種である。

以前からカミキリ採集で静岡方面に行ったおりに

夜間採集の際、道路上をよく歩いているのを採集

したのだが、シズオカオサとはやや違うので「?」

だったのだが、「日本産オサムシ図説」を見て納得。

原名亜種と比べるとやや小ぶりで赤味が強い。




 
同じ林道のやや離れた場所を掘ると、ニシシズオカ

オサよりもさらに小型のオサムシが現れた。

一見、ルイスオサムシにそっくりだが・・・。




   
Carabus (ohomopterus) kimurai (Ishikawa,1966)

スルガオサムシ


本日の狙いのオサムシである。

一見、ルイスオサと区別つかない小さなオサムシ。




   
しかし、♂交尾器の先端の形状がルイスと異なり

幅があり、ナギナタのような形をしている。

分布域は狭く、場所によってはルイスオサやヤマト

オサと分布が接しているらしい。


そういった「接点」での調査も面白そうだ。




   
スルガオサムシがもっと欲しいのだが、この1頭きり

で後が続かない。


なぜかその後ルイスオオゴミムシばかりが出る。


このゴミムシも綺麗だしなかなかカッコイイのだが、

個体数が多く、ここに限らずどこでもよく出てくるの

であまり見向きされない種類だ。

とりあえず3頭ほど採集した。




 
「もう出ない感」を感じつつ、しつこく続けて掘って

いると、何か大きめの甲虫が転がり落ちた。

はじめ何かわからなかったが、ヒゲコメツキの♀

であった。何かもう「終了」のサインのような気が

した・・・。


この場所はもう見切りをつけて、少し標高をあげて

移動してみる。




   
雰囲気良さそうな植林があったので、車をとめて

少し林内を探索するが、思った以上に乾燥しており

ゴミムシ一頭すら出なかった。


すぐに見切りをつけて移動・・・。




 
しばらくなかなか良さそうな崖が見つからず、かと

言って朽木はどれも乾燥が進み過ぎて何も出ない

状況が続き、そろそろ嫌になってきた頃、ようやく

崖を見つけた。

しかし、ガレキ状で石片が重なった層が地表面に

現れた場所で、掘るというよりも石をはがす・・・と

いった感じの場所だ。あまり期待できそうもないが。




   
念のため少しガレキをどかすと、石の隙間に

ヤホシゴミムシが数頭へばりついていた!

これはもしかして他にもいる可能性があるぞ?






   
すぐ脇のガレキをどっこいしょ、と、どけると

何とオサムシが3頭いっぺんに現れた!


どれもスルガオサムシだ!!




   
これはイケルかも!?と考え、付近を探すとさらに

1頭追加できたが、その後は打ち止めとなってしま

い、思ったよりも数は採れなかった。


それでも、当てずっぽうでスルガオサを探しに来た

にしては、これだけ採れば上出来かもしれない・・・。




  
スルガオサを採集した付近を散策しながら、ふと

見ると、眼前には駿河湾が広がっていた。




   
車で場所を大きく移動し、近年記載されたアキタ

クロナガの亜種を探してみたが、全くカスリもせず

敗走した・・・。

探し方に何かコツがあるのかもしれない・・・?




  
というわけで、とりあえず狙いのスルガオサは

採れたので、NULLでなくてよかった・・・。

また別のエリア・・・先ほど書いた「接点」での

調査などもしてみたい。


今年の採集記は、これにて終了です。

今年も採集出撃の回数は少なかったけど、その分

内容の充実した採集行が多かった気がします

(狙ったものが採れたとは限りませんが・・・)。

これもお付き合い下さった虫友や、現地でお会い

できた同好の志の方々のおかげと思っております。


ありがとうございました!!

来年もまたよろしくお願いいたします!

   
END




   
           
 
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