THE INSECT HUNTER
2012
0713-0717
屋久島
(前編)

THE INSECT HUNTER 2012

太古の森に挑む夏〜2012〜 

( 前 編 )

    


特異な生態系を持つことで知られ、

固有種が数多く生息する魅力あふれる屋久島は

カミキリ屋をはじめとする虫屋さんが注目する島のひとつである。


多くのカミキリ屋の狙いとしては

ヤクシマホソコバネカミキリ(通称ヤクネキ)

ヤクオニホソコバネカミキリ(通称アキヤマイ)

ヤクシマコブヤハズカミキリ(通称ヤクコブ)

などがあげられよう。


がしかし、この島には他にも魅力的なカミキリや甲虫類がたくさんいる。


「屋久島三種の神器」は困難だとしても

その他の数多くの魅力的な虫たちと出会うため

2012年 7月某日・・・

るどるふ氏、eichan氏、びおすけの3人組は

「太古の森の島」を目指して機上の人となった。




0713



   
鹿児島空港にて・・・

飛行機好きの るどるふ隊長。



さあ、いよいよ屋久島に出発ですよ。




  
飛行機の窓の外に、屋久島が見えてきた。



到着後、素朴な作りの空港を出てレンタカー

の手続きを行い、早速虫採りの旅へ出発!




 
島に到着して、初めてのカミキリは・・・


飛んでいたのを、るどるふ隊長が捕まえた

ニセノコギリカミキリ
ヤクシマノコギリであった・・・。



  
 
まずは、有名ポイント視察・・・(偵察??)


やはり人気の場所だけあって、狭い足場に

カミキリ屋さんが何人も立っている。

全身の感覚を研ぎ澄ませ、何者をも見逃す

まいという、ピーーーンと張った空気!


軟弱なわれらは、その場の緊張感に耐え

きれずに逃げ出した!


鹿児島大の、べんとすさんがそのポイントを

「精神と時の部屋」と称していたが、まさに

その通りの場所だ。



 
 
有名ポイント付近にて、お馴染みの方々と遭遇・・・

kamikiri_2005氏、池修氏、ぷよんぷよん星人氏。



採集状況などうかがって、参考にさせていただいた。

感謝です・・・。


そろそろeichan氏が空港に着くころなので、その場

をあとにする。




京都からの刺客、eichan氏、到着。


荷物をまとめて、いざ、、虫採りの旅に出発!




  
移動中、崖の途中に

花満開の素敵なリョウブを発見!!

ちょうど向かいの谷から吹き上げるような位置に

あるため、吹き溜まりとなった良いポイントであった。

しかし、10m以上の竿でないと掬えない高さ。


るどるふ隊長が掬える範囲だけ、掬いはじめる。


びおすけは5m竿なので下にこぼれ落ちてくる虫を

待つ作戦。


eichan氏は崖を登る準備をしている。




 
るどるふ隊長が掬いこぼしたカミキリが周囲に

散り始めた。


島で一番多く目についたカミキリと言えば・・・

クマゲヨツスジハナカミキリ


付近の葉上に止まっていた。




   
クマゲヨツスジハナカミキリ

(ヨツスジハナカミキリ屋久島・種子島亜種)



サイズはいろいろだが、ほとんどの♂が

ヒメヨツスジサイズの小ささだ。


 

るどるふ隊長、まずは

タキグチモモブトホソカミキリ♂ ゲトー!


ただし、獲物は びおすけのポケットへ・・・。

感謝・・・。




クス科植物の周りを飛ぶ赤い虫を発見。

びおすけ、真赤なクスベニカミキリ ゲトー!!




   
クスベニカミキリ


・・・とても赤いです・・・。
        




  
るどるふ隊長、負けじと

ヤクシマヨツスジハナカミキリ ゲトー!!

(通称ヤクヨツ)

クマゲヨツスジハナとパッと見は似ているが全くの

別物であり、屋久島固有種である。


くくっ!ちょっとくやしいぞ!




 
びおすけ、それを見て奮起!


目の前をふわりと舞ったカミキリをネットイン!

クロソンホソハナカミキリ ゲトー!!!




  
クロソンホソハナカミキリ



中学生の頃から図鑑を見て憧れていたカミキリ

なので、思い入れが強い・・・。

ああ・・・嬉しい・・・。




  
それを見ていた eichan氏、発奮して崖をよじ登り、

リョウブの花を掬う!


しかしほとんどが、ヨツスジハナであった・・・。

さんざん掬った後だったから仕方ないかも。




   
リョウブの花に来る虫をを覗き込む eichan氏と

るどるふ隊長。


同じリョウブでも、当然ながら生えている位置に

よって虫の種類や多さが全く違う。




  
びおすけ、リョウブを掬って

ケブトハナカミキリ ゲトー!

久しぶりに採ったが、実はびおすけの地元、

神奈川県にもいる種類である。


リョウブの花では他に、フタオビミドリトラカミキリ、

ヤノヒラタハナムグリ、黒化したヒメトラハナムグリ

などが見られた。
   




  
左:ケブトハナカミキリ


右:ヤノヒラタハナムグリ (屋久島特産種)
        




   
びおすけ、アリが咥えて引っ張って歩いていた

タキグチモモブトホソカミキリ♀ 略奪に成功!!


こういう採集こそ、びおすけの真骨頂である?




花に集まる虫も少なくなってきたので、移動を

開始。ヤクシマコブヤハズの生息地を訪ねる。




 
タキグチモモブトホソカミキリ


左:るどるふ隊長採集の♂

右:びおすけがアリから奪った♀




 
ヤクコブの生息地のはじっこにあたる場所。


屋久島らしい景観に感動しつつ、森の中に少し

足を踏み入れた。ヤクザルの歓迎?を受けつつ、

付近を捜索するが、ヤクコブの手掛かりらしきも

のは発見できなかった・・・。


今回思ったが、屋久島で採集できるカミキリの中

ではヤクコブが最難関なのではなかろうか・・!?




   
原生林の中、先を行く るどるふ隊長。




   
苔の道・・・


ハンミョウとツマグロヒョウモン以外は虫らしい

虫は見つけられなかった・・・。




  
一応、観光者っぽく、大きなスギを見て歩く

びおすけ と るどるふ隊長。



  
   
PHOTO by eichan
ヤクコブを狙うにはもっと綿密な計画が必要だと

感じ、その場をあとにした。



一度、宿に荷物を置いて、灯火採集の準備をする。




  
名物?屋久島 黒らーめん

麺に炭を練りこんであるのが特徴だとか。


味は・・・見た目よりもあっさりしている。



店主の話だと角の小さなカブトムシが街灯に

よく飛んでくるそうだ。


それでは灯火採集に出発!




   
屋久島の夕陽・・・・




   
eichan氏のHIDライトセット




   
るどるふ隊長のHIDライトセット



eichan氏のセットもそうだが、持ち運びのしやすさ

と、設営時間短縮をテーマとした離島仕様なので

非常に簡易だが、威力は強力。

水銀灯やブラックライトにもひけをとらない(はず)。




   
とにかく、どんどん虫が集まってくる!


我ら甲虫屋にとっては嬉しい事に、蛾が少ない。

無数のアオドウガネを筆頭に、サツマコフキコガネ

などのコガネムシ類、ノコギリ・コ・ヒラタといった

クワガタムシ類、ヨコヤマヒメやリュウキュウヒメ

といったCeresium類などが続々と飛んでくる!


・・・がっ!!本来の狙いのカミキリが来ない・・・。



・・・というわけで、撤収・・・。




   
突然、シーツをはがされて、パニックにおちいる

アオドウガネたち・・・。




   
ノコギリクワガタ



ノコギリクワガタ屋久島産は特に亜種分けはされ

ていないようだが、ノコギリは体表の艶消しなどに

特徴があるという。

    




  
ヒラタクワガタ


ヒラタも特に亜種分けはされておらず、本土の

ヒラタと同一扱いになっている




  
ヤクシマコクワガタ


屋久島のコクワガタは亜種分けされているが、

赤い個体が多いと言う。

今回は♀がほとんどで、♂は原歯型しか見る

ことができなかったし、見た限りではあまり赤い

と言う感じはしなかった。




   
左:カブトムシ♂


右:カブトムシ♀


カブトも亜種分けはされていないが、♂の角が

小さいオキナワカブト似の小型個体が多いという。


普通サイズの個体も、稀にいるらしいが、それは

実は本土から持ち込まれたカブトムシが逃げた

ものだったりするんじゃなかろうか?




   
宿の店先の枯れ木にいる名物?のゴミダマ。


今夜一晩だけ3人相部屋なので、るどるふ隊長と

eichan氏は、びおすけの殺人的な破壊力のある

ひどいイビキに悩まされることになる・・・。


では、おやすみなさい・・・



zzzzzzz・・・・・

  



   

  
0714



   
 
まだ外は暗い・・・

まんじりともせぬうちにふとんから起き上がる。


夜明け前に起きて、ポイントへと急ぐのには

理由がある。

吹き上げポイントのポジション取りのためである。




  
一番乗りかと思いきや、すでに kamikiri_2005氏と

その後輩さん、それと、九州の自由人さんが先に

いらしていた。


我らは付近の別ポイントへと移動して、そこで虫が

活動を始めるまで3人別々の場所でしばらく待機

することにした。


日の出からしばらくすると、早くも谷の下の方を飛ぶ

虫の姿が確認できた。それが狙っている獲物かどう

かはわからないが、徐々に気分が高まってくる。


eichan氏も腰をおろして静かにしているが、胸の内

には、すでに熱いものがめぐっているに違いない。




  
ネキよ!早よう、来い!!


びおすけは、居ても立ってもいられず、eichan氏の

いるポイントと、るどるふ隊長のいるポイントを行った

り来たりする。

途中にあるリョウブの花の状態も良く、きっと何か

良いムシが採れるにちがいない。


eichan氏のポイントは日が出て早々に日向の暑さが

増してくる。日陰がないので非常につらい。

びおすけは暑さに耐えきれず、るどるふ隊長の日陰

のあるポイントに向かった。


そこでたいへんな出来事に遭遇する事になろうとは

思いもしなかった・・・。




  
るどるふ隊長のポイントに着くと、べんとすさんが

すでにアキヤマイを採られたという!

獲物を見せてもらうと小型の♂であったが、もう

確実にやつらが飛んでいるのだ!


実はeichan氏も至近距離でアキヤマイと思われる

虫をすでに採り逃がしている。


これはもう、うろうろしている場合じゃないぞ!と

思って、額の汗をぬぐったその時・・・・。


るどるふ隊長がいきなりネットを横に振りきった!!





   
キターーー!!!

るどるふ隊長、アキヤマイ・・・ヤクオニホソコバネ

カミキリをゲトーーーー!!!


「るどちん!おめでとう!!」

思わず、ガッチリと握手した二人。

るどるふ隊長、5年越しの達成である。万感胸に迫

るものがあるであろう・・・。

あらためて見せてもらうと、その個体の何とデカい

事よ・・・。本州産の個体でもここまで大型の♂は

めったにお目にかかれるものではない。


しばらくしてeichan氏もこのポイントに来て、隊長に

祝福の言葉を述べていた。




  
このポイントでは、その後もアキヤマイが飛び

続け、たまに非常によく似たガガンボとか蜂に

だまされながら、網を振りまわし、時に走って

ダッシュして、それぞれ採集を楽しんだが、結局、

九州の方がもう1頭追加採集されるにとどまった。


あの個体数の多さではもっと採れても良さそう

なのだが、とにかく飛んでくるタイミングが絶妙で

不意をつかれて逃がすパタンが多かった。


お昼前で切り上げて、別の採集場所へ移動する

ことにした。


     移動途中で見かけたウラナミ系?の蝶→




   
幹線道路沿いの土場?というか伐採木置き場

では、ヨツスジトラカミキリが多かった。


日陰が全くないこのような場所ではトラカミキリ系

の暑さに強い虫しかいないので、種類数をかせぐ

には不向きだ。


しかも、暑すぎて人間の方がまいってしまうので、

平地性のカミキリを求めて別の場所に移動した。




 
いつ、どこを走っても交通量の少ない島だ。

快適なドライブを楽しめる。




 
もう、梅雨が明けたのか?


すっかり 「夏」 である。


帽子なしでは間違いなく日射病になるであろう。




   
道端のカラスザンショウをスイーピングすると

キイロアラゲカミキリが採れた。



eichan氏にそれを告げるとアラゲ好き?な

eichan氏も猛然と枝を掬いはじめる。




  
カラスザンショウを掬う eichan氏

ここではその後も2〜3頭のキイロアラゲが採れた。


この木にはヤクシマナガキマワリやコクロナガタマ

ムシ、ヨツスジトラカミキリなども見られた。






さて・・・

次はまた少し標高をあげてみよう。車で移動だ。




   
リンゴツバキの立ち枯れにいた

フタオビミドリトラカミキリ。

立ち枯れの表面は穴だらけである。


採る前に撮る事ができるのは、こうした普通種だけ、

というところが小心者の証である。




  
同じくリンゴツバキの立ち枯れにいた

クマゲアラカワシロヘリトラカミキリ。


こういった特産種は、撮る前に採るのである。




  
フトカミキリ系の枯葉に隠れるやつらが意外と

少ない。 たまたまかもしれないが、「これはっ!」

と思うような枯葉を叩いても何も落ちない事が多い。


しかし、わからないもので、こんなしょぼい枯葉じゃ

だめだよね〜と、ダメもとで叩くと・・・




    
ヤクシマビロウドカミキリ・・・


どこに隠れていたんだ!?というような

獲物が採れたりするので、あなどれない。


その他アトモンマルケシカミキリなどが

ぽつぽつと落ちた。




   
また平地に戻って車を流していたら、良さ気な

伐開地があったので、作業をしていたおじさんに

許可を得て、カミキリを探すことにした。


このおじさんは知り合いに虫屋さんがいるとの事

で、自分でもタカサゴシロカミキリを飼育していた

らしい。

ちょっと日当りが強すぎて、虫が少ないかもしれ

ないが、林縁を中心に叩いてみることにした。




   
というわけで、ササと枯れ蔓がからんだ

このような場所を叩いてみる。




   
太いカミキリ?・・・ゲトーー!!




  
サビアヤカミキリ


最初網に落ちた時は、カミキリではなくて

でかいヒゲナガゾウムシかと思った・・・。


その他、ウスフタモンサビ、キイロアラゲ、

クマゲカノコサビなどが落ちた。




   
さて、一旦宿にチェックインし、灯火採集の準備

と腹ごしらえをして、灯火ポイントへと向かう。




  
eichan氏の灯火セット


環境を見てどうセッティングをアレンジするかが

勝負の決め手である。


もちろんポジション取りに左右されるのは言うまで

もない。




   
るどるふ隊長の灯火セット


いかにもあっさりして適当に設置したかに見えるが、

実は緻密な計算がなされている(はず?)。




    
狙いのカミキリは割と遅い時間に飛んでくるはず

なのだが・・・。


まあ、とにかくやたらと多いのがミヤマカミキリ。


あちらこちらで喧嘩や交尾を始めるものだから

騒がしくて仕方がない。




   
周囲の木の枝にもたくさんついており、一体

どこからこんなにたくさん集まってきたのか

と言う感じである。


他にもKBさんをはじめベテラン虫屋さんが灯火

屋台を設営していた。 しかし、湿度が高すぎて

湿気に弱い?びおすけにはたいへんつらい場所

であった。

結局、狙いのカミキリは飛んでこなかったが、

ヤクシマカタシロゴマフやサツマコフキコガネ、

ネブトクワガタなどが飛んできた。

他の白幕ではヤクシマノコギリやキマダラミヤマ

などが飛来していた。




   
左:eichan氏の灯火にきた ネブトクワガタ


右:KBさんから頂戴した カラカネナカボソタマムシ
        




   
帰りがけの道路沿いの街灯には

カブトムシやノコギリクワガタ、ミヤマカミキリ、

そしてこのエゾカタビロオサムシなどが見られた。




   
今日の採集も無事終わった・・・。

また明日の朝も早いので早く寝なければと思いつつ

採った虫の整理をしていると、すでに夜中の1時を

まわっていた。


さて、そろそろ寝るか・・・。


明日も良いムシが採れますように・・・・



zzzzzz・・・・




   



  
 

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