THE INSECT HUNTER
2011
0924
静岡

THE INSECT HUNTER 2011


純血(?)セダカを求めて
  



コブ叩きシーズンもいよいよ佳境に入ってきた今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか?


びおすけです。


さて、コブというとよくクローズアップされるのは、いわゆる「ハイブリッド」と呼ばれて

いる異種同士の混生地に、稀に出現する両種の特徴をあわせもった個体ですね。


びおすけはこのハイブリッドが苦手なのですが、それはつまり、どこからどこまでが

本来の姿であり、それとはどこが異なっているからハイブリッドである、という定義が

 いまいちわからないからなのです。 もっともわからないのは、コブ群とセダカ群との

ハイブリッドと呼ばれる個体で、特にセダカの本来の姿・・・正真正銘のセダカ(?)を

よく知らないため、判断がつかないのだと思います。それには他のコブ類と混生する

ことのない地域のセダカを見て、その特徴をよく知ることが大事なのだと思います。


というわけで、以前から行きたかった静岡某所に行くことになりました。 おつきあい

いただくのは、この地を良く知る ぴにぼらさんで、よく行かれていた場所に同行させ

ていただくことになりました。そういえばぴにぼらさん、しばらく前に某NHKの某番組

(ガッテン!ガッテン!っていう・・)に出演されたそうで、ご自分の研究対象に興味を

持ってくれる人が増えるといいなぁ〜っとおっしゃっていましたが、それはともかく!



純血セダカについて、ガッテン!ガッテン!と納得いく結果が得られるでしょうか!?



それでは事の顛末をご覧ください・・・
  





   
びおすけの住む神奈川県の隣の県にもかかわらず

静岡は思いのほか広い県なので、行くのに時間が

かかることが多いですが、本日の目的地も何気に

遠いため、早朝の出発となりました。


三連休ともなると渋滞が心配されますが、さすがに

この時間は何の支障もなく快適なドライブを楽しむ

ことができました。




   
目的地に近付いた頃、ようやく朝陽が射してきま

した。今日もいい天気になりそうです・・・・がっ!


びおすけのジンクスとして、「美しい朝陽を見ると

その日は不発・・・」 というのがあり、その時は

あまり気にしていなかったのですが、後で考える

と、「・・・やはり」 という結果なのでした・・・。


まあ、詳細は後で語るとして、ですね・・・。




 
目的地に到着しました。現地は良い天気・・・で

結構なことなのですが、やはりコブ叩きの日は

少し曇っているくらいの方がうれしいかな・・・。


しばらくして、久しぶりにお会いする ぴにぼらさん

が元気に登場。早速支度をして、行動開始となり

ました。 しかし、いきなり問題が発生!


先日の台風の影響で土砂崩れや倒木が発生し、

行く手を阻んでいる事が発覚したのです!


復旧作業をしている作業員の方に尋ねると、車

は無理でも人の足ならなんとか行けそうとの事。




  
歩きはじめてすぐに土砂崩れに行く手を阻まれま

したが、難なくクリアし、なんだ、こんなもんか〜

とお気楽に歩いていたうちはよかったのですが・・・




本格的な登山道に入ったとたんに、台風の爪痕が

あちらこちらに残っており、大苦戦が待ち構えてい

るとは思いもしませんでした・・・。




   

いや、苦戦していたのは びおすけだけで、現地に

詳しい ぴにぼらさんは、行く手を阻む倒木の枝を

伐採したり、障害物を取り除き、時には土砂で埋ま

った登山道を迂回するルートを見つけたりと、まる

でマタギのような的確な判断と誘導をしてください

ました。 

ぴにぼらさんがいなかったら、おそらく目的地には

たどり着けなかったと思います。

それどころか、無理に行ったら遭難していたかも

しれません・・・。




   
登山道が倒木で埋め尽くされて・・・。

まるで林間アスレチックのような状態・・・。

もう、この行きの登山で、びおすけは体力を使い果

たしました・・・。 しかも・・・


登れど登れど、スギやヒノキの植林が延々と続いて

おり、とてもではありませんが、自然度の高い環境

を好むセダカがいる場所とは思えません・・・。




     
このまま進んで、本当に大丈夫なのでしょうか・・・?


不安の増幅、モチベーションの低下、体力の消耗・・・

このまま進むのは無理か・・・!重い足を引きずりな

がら びおすけ、もはやこれまで・・・とあきらめかけた

その時・・・・!




   
ある場所を境に、いきなり植生が切り替わりました!

なんと、見事なブナ林!

目を瞠るような華麗な変身!驚くほど見事な切り替

わり! これならセダカもいるに違いありません!


しかし、林床を見た瞬間、また不安が蘇りました!


話には聞いていましたが、ササのひどい荒れようと

いったら・・・。ササの群落というよりも、地獄の針山

といった表現の方が合っているかもしれません。


シカの食害により、これほど荒廃しているとは!!




   
ブナ、タンナサワフタギ、シャラなどが主体の見事

な落葉樹林ですが、林床のササが完全に枯れて

なくなった時、ひどい乾燥に耐えられるのか・・・。

その時、セダカの運命はどうなるのでしょう!?



そして、さらに、悪条件が重なります!


ササの残骸の上に引っかかっているはずの枯葉

が全く見当たらないのです。

台風に吹き飛ばされてしまったに違いありません!




   
しかも、新しい倒木や落ち枝についている葉はまだ

完全に枯れておらず、中途半端な状態・・・。

一見すると、林床に枯葉がたくさんあるように見える

のですが、実際にはそのほとんどが中途半端な、ま

だ青みが残る枯葉です。

ほんの一握りの「完全な枯葉」が、それら「ダミー」に

まぎれてしまい、探すのをより困難にしています。


なんとか少ないながらも残っている枯葉を、大事な

貴重品を扱うがごとく、丁寧に扱いながら、それこそ

貴重品たるセダカを探し始めました。




   
しばらくして、ぴにぼらさんがセダカ発見の第一声!


さすがの ぴにぼらさんも今日の成果は厳しいと見た

らしく、最初の1頭の状態を びおすけに見せてくれよ

うと考えて、びおすけが発見場所に着くまで、待って

いてくれたのですが、それがアダとなってセダカに

逃げられてしまうという重大アクシデントが発生!


貴重な1頭をすいませんでした; ; >ぴにぼらさん


しかし、こんな事でくじける ぴにぼらさんではありま

せんでした。




 
またしばらくして、「いましたっ!」の声が!

ぴにぼらさん、さすがです・・・。

今度は確実にゲットされました。立派な♂でした。


この間、びおすけは1頭も発見できずにいます。

全くかすりもしない、まるでダメ男状態です。

そんな哀れな びおすけに最初の1頭を譲って

くださいました・・・。


ううっ; ; ありがとうございます・・・。




   
どういう状態の枯葉にいたのか、確認させてもらう

と、白枯れしたツル植物の巻いた葉でした。

ちなみに先ほど採り逃がした個体は、キイチゴの

枯れた葉に潜んでいました。


やはり、青味のある枯葉にはいそうもありません。


狙うのはやはり、きちんと枯れた葉です。




 
しかし、この広大なポイントを丁寧に探したにも

かかわらず、結局発見できたのは上記の2頭のみ。

もともと少ないと言っても、あまりにも採れなさすぎ

る、という事でポイント移動する事にしました。


このポイントをAポイントとすると、次のBポイントは

もっと湿度が保たれているとのことで、期待できそ

うです。しかし、ぴにぼらさんはともかく、ただでさえ

体力を消耗している びおすけにとっては、つらい

移動となりそうです・・・。



 
 
Bポイントに移動する途中で見たのは、鹿の食害

で林床に何もないブナ林・・・。


Aポイントですら見れたホオノキやハリギリの枯葉

に残された、セダカの食痕すら見つかりません。

もう、そこはセダカの住める場所ではないのです。


Aポイントも将来どうなるのか・・・。


ぴにぼらさんが歩きながら何気に蹴った落ち枝が

気になったので見てみると・・・




 
コルリクワガタの産卵痕がありました!


これはAポイントでは見つからなかったものです。

乾燥が進んでいそうなこのような場所にコルリが

いるとは意外でした。


まだ新しそうな産卵痕でしたが、ガマンできずに

削ってみると・・・




   
やはり幼虫が出てきてしまいました。

まだ初令〜2令なので、無理かもしれませんが・・・

一応持ち帰って飼育してみます。


しかし、今日の本来の目的はこれではないので、

すぐに目的地に向かって再び歩き出します。




   
やっと、Bポイントに近付いてきました。


歩くのがやっとな びおすけを連れているので、

ぴにぼらさんのペースを乱してしまい、申し訳

ないことをしました。ぴにぼらさん一人であれば

もうとっくにBポイントに着いていると思います。





   
途中で、今度は ぴにぼらさんが産卵痕付き材を

見つけました。

産卵痕はそれなりに数が多いのですが、残念な

がら、コメツキ幼虫にだいぶやられてしまっている

ようでした。

時間があればルリ材をもっと探したかったのです

が、時計を見るともう3時近く。

肝心のセダカを探す時間がなくなってしまいます。


ルリ系探しはまた次の機会に・・・。



 
    
近くを沢が流れるエリア、これがBポイントです。

Aポイントに比べて湿度はずっと保たれており、

条件は良いはずです。

しかし、林床のササはAポイントと同じく鹿の食害

を受けており、骨だけとなったササにわずかに

引っかかった枯葉を探す状況は変わりません。


びおすけも登山道沿いを探しますが、食痕のある

落ち葉は多いのですが、肝心の「ご本尊」は見つ

かりません。精神的・肉体的ダメージは計り知れ

ません・・・。



   
「セダカ、いましたよ!」



しばらくして、ぴにぼらさんが呼びに来てくれました。

まだ、採らずにそのまま残してあるそうです。


今日、初めてご本尊の生態写真が撮れるかもっ!



ありがたく、その場所に案内していただきました。



   
  
「ここですっ!裏から見て下さい」



ぴにぼらさんに言われるがまま、裏からのぞいて

みると、確かにセダカ様のお姿がっ!!



ありがたや・・・ありがたや・・・!


こうして見るとすごくわかりにくいのですが・・・


 
   
近づいて見ると、こんな感じです・・・。



感動!感涙!・・・・感謝!感謝!!

圧倒的、感謝っ!!!


(カイジ・・・??)



  
この大きめの♀は、ありがたく びおすけが採集(?

させていただきました!


これで少しダメージ回復した びおすけは周囲を

探すのですが、これがまた全く見つかりません。


しかし、ぴにぼらさんがまた見つけたようです!

ところが・・・

そこはなんと今しがた びおすけが探した枯葉じゃ

ありませんか!!ショック!ショック!!
圧倒的、ショック!!


 
   
これが、その個体ですが・・・ →

びおすけ、もう完全に目に「キテる」ようです・・・。

虫が見えなくなっています。 もう、ダメぽ。

そして、この♂も びおすけが採集(?)させていた

だきました・・・。情けない・・・。


ぴにぼらさんはこのエリアで、瞬く間に5頭を探し出し

結局、本日見つけられた7頭は全部、ぴにぼらさん

によるものとなったのでした。 びおすけ完敗です。


それでは、ぴにぼらさんから譲っていただいた個体

をご覧ください・・・。



  
  
イワワキセダカコブヤハズカミキリ

Parechthistatus gibber shibatai
Miyake,1980

♂-01   


※それぞれ、真上と斜めから・・・同一個体です。
       



  
   
イワワキセダカコブヤハズカミキリ

Parechthistatus gibber shibatai
Miyake,1980

♂-02


※それぞれ、真上と斜めから・・・同一個体です。
       



 
    
イワワキセダカコブヤハズカミキリ

Parechthistatus gibber shibatai
Miyake,1980

♂-03


※それぞれ、真上と斜めから・・・同一個体です。
        



 
 
イワワキセダカコブヤハズカミキリ

Parechthistatus gibber shibatai
Miyake,1980

♀-01


※それぞれ、真上と斜めから・・・同一個体です。
      



  
   
いわゆる「純血」エリアの個体群と言われています

が、画像を見てもわかるとおり、触角の長短、体型、

尾端突起の形状等、けして均一ではなく、個体変化

の幅はわりと広いようです。いわゆる十人十色という

やつでしょうか・・・。こうなってくるとセダカの基準型

とは何でしょう? 難しいですね〜。


探索を終えて山を下りた時はすでに日が暮れて、

あたりは真っ暗でした。 長い時間、ご一緒させて

いただいた ぴにぼらさん、ありがとうございました。


これに懲りず、またよろしくお願いいたします。




   




   
            END
 
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