THE INSECT HUNTER
2010
0910
東京

THE INSECT HUNTER 2010

   
モミトラウマ症候群ヲ克服セヨ!




  

それは悪夢だった。


そこは、暗いモミの林の中だった・・・。

周りは、すぅ〜っと暗い天空を指すかのように、真っ直ぐに伸びたモミばかり・・・。

それも、何本も、何本も・・・。


いくら歩いても、歩いても、先が見えない・・・。

歩き疲れて、一息ついて、1本のモミの幹に手をかけた。

すると・・・


いきなり周りのモミが次から次へとこちらへ倒れてくる!

枝をメキメキバキバキと折りながら無数のモミが頭上に倒れてくる!!


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ・・・」


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・・・・と、ここで自分の声に驚いて目が覚める・・・。


「ふぅ〜・・・またか・・・」

この時期になると毎夜のように繰り返される悪夢・・・。


モミトラウマ症候群(仮称)・・・。


この症状は、何年も何十年もオオトラを追いかけ続け、

しかも、一度もお目にかかった事ない・・・という状態を

繰り返す事によって発症する、恐ろしい病である・・・。


これを治癒するには、今現在の医学ではどうにもならず、

もはや、自分でオオトラを採るしか方法がないのである!




「そうだ。今日は、るどちんとオオトラを採りに行くんだった・・・」


ベッドから出て、黙々と採集の支度をする びおすけなのであった・・・。


    
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るどさんとの待ち合わせは、われらの大好きな 「すき○」。

昼飯の牛丼を食べながらの作戦会議である・・・。



るど 「一昨日の台風・・・これがトリガーとなっているはず」

びお 「つまり、それが発生の引き金になっていると・・・」

るど 「そう! だから今日は必ず採れるよ!」

びお 「うん・・・採れたらいいね〜・・・」



すでにこの時点で、オオトラ採集経験者の るどさんと

モミトラウマ症候群(仮称)の びおすけとでは

心構えが全く違っていた・・・。


そうさ・・・だって期待しすぎたら、あとで辛いのは自分だもの・・・。



そんな びおすけを尻目に、るどさんはやる気満々。


るど 「さあ、飯も食ったし、行きますか!」


  
 
現 場

え?こんな場所で・・・? といった、なんの変哲も無さそうな現場に、さくっと到着した。

すでにベテランの方々がいらっしゃって、思い思いにモミを見上げていた。

こんにちは、とご挨拶をして、一緒に見上げると、なるほどモミが数本並んでいるのが確認できた。


るど 「中にもモミがいくつもあって、そこでも採れてるらしいよ」

びお 「なるほどね〜。ちょっと、ざっと見て回っていい?」


るどさんはこの場所は初めてではないので、自分なりに狙いの「ポイント」があるようだ。

びおすけは、邪魔にならぬよう、林の中に入ってとりあえず状況を見ておこうと思った。




   
林 内

時間帯をオオトラに合わせて来ているので、もういつ何どきにヤツが姿を現してもおかしくない。

一応、念のため、長竿を持って林内に侵入する。


   
 
林 内

所々にモミが散在し、ある場所はまとまって生え、ある場所は単木で・・・といった状況で、太さも

まちまちで、サイズ・樹齢のバリエーションに富んでいる・・・といった感じであろうか。


 
    
食 痕

食痕はさすがに多く見受けられる。やはりこの食痕を見ると、俄然とモチベーションが上がる。

いるかいないかは別にして・・・。


   
 
樹 液

下草にモミの樹液がしぶきを上げたごとく飛び散っている。まるでペンキを撒き散らしたみたいだ。

   

    
樹 液

その白いペンキの上を見上げれば、樹液が流れ落ちている木が何本も見受けられた。



   
食 痕

まるで絵に書いたような、見事な食痕もあちらこちらに見受けられた。



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と・・・こうして探索を始めてすぐに、何やら、るどさん達がいる方角から声が上がった。

どうやら、先に来ていた方が1頭採られたようだ! 

ついにヤツが姿を見せたのだ!


びおすけもそちらの方へ様子をうかがいに行った。 

採れた辺りの様子は、どうも、びおすけが見ていた辺りとは違う。やはり、ここがそうだよ、と

教えられて見ると、なるほどやはりこういう場所かと思わざるを得ない。



一度採れた場所には、どうしても人が集中するので、びおすけは少し離れて腰を下ろし、気持ち

を落ちつかせてモミを見上げていた。 この現場に来てそろそろ1時間が経とうか・・・といった矢先

なにやら、あちらの方で るどさんが一人でガッツポーズしている・・??


一瞬、何でパントマイムの練習をしてるんだろうと思ったが、あ、いや、まさか・・・?!!




   
オオトラカミキリ 採集 by るどるふ

あーーーーー!!やっぱり!!

やっぱり、この人採ってるよぉ〜。なんなんだよ、この男!?

なんでこうもあっさりと見つけるんだろうか!?


て言うか、こうも連続して採れるものなのか!?


やはり何回も採ってると「採りグセ」がつくのかもな??

しかも、丸々と太ったでかい♀であった! 


ちょっとちょっと・・・びおすけもこうはしてられないよ・・・。いよいよ真剣に探さなくては!!



辺りをうろうろしてると、いつの間にか池修さんがいらしていた。

あー、やっぱり採集上手の人は今日みたいな日をはずさないなぁ〜・・・。



   
 
林 内

う〜〜〜む・・・。


 
   
林 内

う〜〜〜む・・・。

おらんな〜おらんな〜・・・。


やはりそうそう、3匹目のドジョウは居ないってことだよな・・・。


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そうこうしているうちに、現場から一時退席(?)していらした M川さんが戻ってみえた。

M川さんからオオトラ飼育法やオオトラ採集法などを伝授していただいたり、オオトラ談義に花を

咲かせていた、その時であった・・・


 
   
道 路

目の前の舗装の上に何かが舞い降りたのが、視野に入った・・・。


黄色いそれは限りなく蜂に似てる気がしたけど、ちょっと太って見えた・・・。

まさかな〜、まさかな〜・・・。

手づかみで採ろうと思えば採れるけど、万が一、蜂だったら怖いから、一歩進んで・・・

一応ネットをかぶせて・・・


びおすけ 「・・・・・・・・・・・・・・・」












  
 
オオトラカミキリ Xylotrechus villioni (Villard,1892)

ええ!?

ウソウソ、ウソだよな〜。まさかな〜まさかな〜。

あれ?目が錯覚起こしてるのかな〜? 

これつまんでるのは誰の指? 

・・・これ私の指・・・・??

・・・と言う事は・・・??




びお 「ととととととととととと採れたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


一同 「ええ?! おお〜!!よかったじゃない!!」


びお 「キターーー!!」


M川 「て言うか、何、蜂採ってんだよ〜って思ったよ・・・」


びおすけがネットをかぶせる瞬間、他の人からはどう見ても蜂にしか見えなかったらしい・・・。

やはり似てるんだな〜、これって。

だって、採った本人が蜂だと思ってたんだものなぁ〜。



そこに、るどさんがつかつかと寄ってきた。

そして二人でがっちりと握手。



全く実感が湧かないのだが、どうやら採集できたらしい・・・・オオトラを・・・。

・・・ていうか、拾ってしまった・・・オオトラを。



 
オオトラ 揃い踏み

るどさんと、友情のWオオトラ記念撮影。

手前のが びおすけの。 奥がるどさんの。 撮り方のせいで手前のが大きく見えるけど、実際には

びおすけのは25mmで、るどさんのは30mmを超えてると思われる大物。

やはりここは、るどさんの採集経験者としての貫録といったところであろう・・・。  


M川 「これで、北海道の無念を晴らす事ができたね〜!」

るど・びお 「えへへへ・・・・」



その後、M川さんのすすめで産卵させてみては?と言う事で、るどさんも珍しく産卵させる気に

なったらしく、林の中に行って、びおすけの分も材を取ってきてくれた。

一応、セットはしてみるけど・・・、びおすけのは、どうも未交尾のような気がする・・・。



  
帰宅後室内撮影



   
帰宅後室内撮影


 
   
帰宅後室内撮影



  
帰宅後室内撮影



 
↑クリックしてください

飼育ケース内のオオトラカミキリ
(別ブラウザで表示)



  
モミの木


今日という日は、短時間のうちに、信じられない事が起きてしまったようだ・・・。

おそらく一生忘れられない日になるんだろうな〜。


この場所はもちろん毎年オオトラが採れている場所だが、今シーズンは今日はじめて採れた

とM川さんが教えて下さった。期せずして、るどさんとこの場所の初物を採らせていただいた

のであった・・・。


そういえば、これで びおすけの モミトラウマ症候群は治癒するのであろうか・・・!?




るど 「いや・・・ひとつ採れると、今度は産地にこだわるようになるんだよ・・・ふふふ・・・」

びお 「ガーーーーン!!」



   
とある風景

東京に残された貴重な自然に感謝・・・。

大切な虫友に感謝・・・。

応援してくださった皆さんに感謝・・・。

    
END
 
THE INSECT HUNTER 2010
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