THE INSECT HUNTER
2010
0828
長野・山梨

THE INSECT HUNTER 2010

   
ゆく夏、くる秋 
  

  

ああ・・・今年のシーズンも、そろそろラストスパートをかける時期になりました・・・。


シーズン中、思いがけない虫との出会いとか、自分なりの発見など・・・楽しい事もありましたが、

この目で見てみたいと願っていたカミキリムシたちの多くとは、出会う事はかないませんでした。



カミキリ自体の数が少なかった事を差し引いても、その中でも思いを成就された方が少なからず

いらっしゃる事を考え合わせると、やはり、びおすけの腕と勘がしょぼいのだとしか思えません。



結局、自業自得。だけど今年がダメでも来年があります。きっと今シーズンの反省を生かせば、

来年その場所には今よりスキルアップした自分がいるはず!と、前向きに考えたいと思います。



そして今目標はすでに、秋に出現、あるいは採集シーズンを迎える虫たちに向けられています。




・・・というわけで、時期的には少し早いかな?と思われる出会いを求めて、

夏の終わりを肌で感じつつ、懲りずに彷徨ってみたのであります・・・。
   


   


  

   
今回は、まずタニグチコブヤハズカミキリの発生を

確認するため、

Aチーム: eichan&Oくん

Bチーム:うめちゃん&びおすけ

の二組に分かれて全く別々の場所を探索し、その後

とあるポイントで合流して、本日のメイン採集を行う・・

という予定である。


高速のSAで朝食の桃ジュースをいただく。

採集の方も桃のように、甘い思いが出来ますようにと

願いをこめて・・・。




  
朝、いきなり eichanが寝坊して2時間も遅れをとった

Aチームを尻目に、我らBチームは一路長野県の山

を目指す。ちなみにAチームは山梨県の山を目指す

が、予定に変更を余儀なくされたため、ちゃんと調査

する時間がとれるかどうか、心配である。


我らBチームは予定通り、現地に到着。

周囲を見渡すと、すぐマルバダケブキが確認できた

ので、ひと安心・・・と思ったが・・・




   
花がまだけっこう咲き残っている。


やはり、時期的にはまだ早いという事を再認識した

が、それでは肝心の枯葉はちゃんとあるのだろうか。

遠目には青々とした葉が広がって見えるのだが・・・。


ひと際背が高いマルバダケブキの花は、その存在

が一目でわかるので、それ自体を探すのには都合

が良い。しかし、葉が枯れていない事には、タニグチ

を探しようがなく、それでは元も子もない。




   
不安にかられながら辺りを見まわす・・・。


が、意外な事に思ったより多くの枯葉が点在している

事が確認できた。半枯れだったり、真っ黒のが地面

に落ちていたりと状態も様々。


これでさらにひと安心。


運が良ければ、タニグチの新鮮な個体が発見できる

だろう。しかし、時期が早いだけに数は少ないに違い

ない。




   
うめちゃんは叩き網でビーティング、びおすけは

枯葉を一枚一枚めくりながらのルッキングで採集

を開始した。


朝からすでに気温がぐいぐいと上がってきている。

少し歩いただけで、すぐに汗が流れ落ちる・・・。


体力とモチベーションがどれだけ持つかの勝負が

始まった・・・。




   
一枚一枚枯葉を拾ってめくるのは大変だ。腰や足

に思った以上に負担がかかる。

しかし、そうした中で枯葉の中から出てくるのは・・・


・得体の知れない、ガの成虫や幼虫

・青臭いカメムシ

・無数のハサミムシ


がほとんどを占めていて、たまにゴミムシの仲間や

ヒサゴゴミムシダマシなどが見られる。

やはりまだ時期が早くて、タニグチも枯葉に潜んで

はいないのだろうか・・・? 最早、気持ちが萎えた。




     
うめ 「お!落ちた!」


待ちに待った一声がついに聞こえた!


やっと姿を見せたのは、思った通りの新鮮な個体

であった。数はまだ出ていないが、それでも「いる」

事は確かなようだ。


これで一気にモチベーションも復活!




   
うめちゃんはその後ビーティングで4頭の♂を得た

が、そのうちの1頭はこの調査地の個体群の特徴

のひとつとして挙げられている、「無紋型」に近い

個体であった。これは想像以上にインパクトがある。


一方、びおすけは枯葉めくりを続けたものの、一向

にタニグチの姿が見えない。やはりビーティングの

方が威力は大きい事はわかっているのだが・・・。


叩くうめちゃんを横目で見つつ、地面に落ちていた

真っ黒く枯れた葉を拾い上げて、広げたその時・・・




   
ポトッと音を立てて何かが足もとの葉の上に落ちた。


びお 「あ!やってしまった・・・」


見るとそこにはアカハナの姿が・・・。

あれ?え?アカハナが入ってたの?まさか・・・。

一瞬驚いたが、そのすぐそばには地面への落下を

まぬがれたタニグチの姿があった・・・;

あ・・・あぶねぇ〜・・・。


状況はどうあれ、一応見つける事ができた・・・。


   
  
 
タニグチコブヤハズカミキリ
Mesechthistatus taniguchii (Seki,1944)


2時間ほどの探索で、二人合わせて5頭だけだが、

確認する事ができた・・・。




   
この場所で他に見られたカミキリは・・・

咲き残ったシシウドの花に来るアカハナのみ。

いかにもこの時期らしい光景であった。


一方、寝坊して2時間遅れで現地入りしたAチーム

から、めでたく4頭のタニグチコブヤハズを得る事が

できた、という知らせが入った。


初めての場所でこの時期にきっちりタニグチの発生

を確認できたのは、さすがAチームと言えよう。


両チームはお互いの健闘を讃えて、合流地点で会う

事を約束したのであった・・・(大げさ・・・)。




   





 
我々Bチームは、合流地点へ行く前に寄り道をする

事にした。そこも有名ポイントだが、時期はずれなの

で他に採集者はいないだろう・・・。


というわけで、Bチームは一気に山梨県へ向かう。

初秋の雰囲気を感じながらドライブをしつつ、現地に

到着した。大抵はもっと秋めいてから訪れる場所だ。


びおすけは何度か訪れた事がある場所なので、うめ

ちゃんを誘って、暗い林内に入り込む・・・

(注意:別に変な事しようとしてるわけでは・・・ない)




   
林内に入ってすぐに枯枝を拾って確認すると・・・

早速、産卵痕を見つける事ができた。

おそらくトウカイコルリクワガタのものだろう・・・。


びおすけは、この場所の材はすでに自宅で保管中

なので、まだ持っていないうめちゃんに材を拾って

もらう事にした。




  
時期が時期なので、微妙な状態である事は承知の

上であったが・・・案の定、材を削ると出てくるのは

蛹や終令幼虫であった・・・。




   
本当は成虫を出したいところだが、そこは目をつぶっ

てもらい、うめちゃんに材を何本か拾ってもらう。

きっと、すぐに成虫になるよ・・・。




   
というわけで・・・

うめちゃんに材拾いを堪能?してもらった後は、フジ

コブヤハズのポイントを少し歩いてみた。




 
枯葉はあるにはあるが・・・

さすがに時期が早いのか、見かけるのは有りがたく

ない、アリガタハネカクシばかりであった。


時間は午後2時・・・。

さて、そろそろ合流地点に向かってもよい時間だ。






いよいよ、本日のメインイベントが始まるのだ。




   





  
・・・さっくりと、メインイベント会場?に到着した。

天気は上々・・・、と言うか、暑すぎるくらいだ。


これなら、目的の虫も姿を現すに違いない! いや、

もっとも、すでに成虫が羽化脱出していれば・・・の

話だが・・・。


目的の虫はベストシーズンは9月・・・と言われている

からである・・・。


しかし、タニグチだって採れた事だし、きっとフライン

グ気味に発生している個体だっているに違いない。




   
さて、このイベント会場?も、超有名ポイントである。

そう、所謂「釣り堀採集」であるが、それが何か?


釣り堀・・・と言っても、そこ行きゃ必ず採れるかって

言うと、そんなことは決して・・・ない。

現に、びおすけも過去、この場所で敗退しているし、

eichanも敗退しているのだ・・・って、けして自慢げに

言える事ではないのだけれど・・・。


これは我々にとっては、「リベンジ戦。」なのだ。


それは、さておき・・・


きっと、この御神木を見上げて、この尋常でない大

きさに驚嘆の声をあげた方も多いに違いない。

びおすけも久々にこれら御神木を見上げて、改めて

驚きの声をあげてしまった。


これはもはや、ケヤキだとか植物だとか樹木だとか

・・・を超越した 「生命、あるいは宇宙」そのものだ。


普段は信仰心や哲学とは無縁の びおすけでさえ、

そのように感じてしまう 「何か」がここにある。



地元の方たちが付近のお掃除を始めたので、邪魔

にならぬよう、片隅でリベンジの時を待つ事にした。


暑さでボ〜っとしながら御神木を見ていると、「虫・・・

出てますか?」と声をかけられた。お話を伺うと、虫

の写真を撮っている方らしい。我々の他にもやはり

フライング気味で訪れる人がいるのだな〜と思った。


その方と話をしていると、今度は別のフライング気味

の採集者が来たようだ。見ると、なんとKOH16さんと

しんちゃんであった。気の早い人たちがこんなにいる

んだ・・・と考えたら、思わず可笑しくなってしまった。


さて、目的の虫の活動時間までには間があるけど、

そろそろ探索を始めましょうか・・・。




   
うめちゃんが拾ってきて、KOH16さんが削った材の

中から出てきた幼虫を、なぜか びおすけが育てる

事になった・・・。聞けば、目的の虫の幼虫らしい?


KOH16さん曰く、「白いのより赤いのが欲しい・・・」

赤いの・・・。そう、ここまでくれば、もうおわかりだと

思う (え?もうとっくにわかってた??)。


目的の虫とは、赤黒の縞々カミキリ・・・。その名も

アカジマトラカミキリ・・・!!であるっ!




   
柵に止まっていたカタシロゴマフと戯れたりしている

と、朝2時間寝坊した(しつこい?w)eichanとO君が

やっと到着した。人が増えて、だいぶイベント会場?

らしくなってきた。アカジマトラの本格的活動時間帯

は夕方4:30だという・・・。まだ1時間くらい間がある

けれど、皆、思い思いに材を拾って削ったり、近くの

花を掬ったりして、ふつふつと闘志を燃やしていた。



・・・その時、いきなりO君が動いた。




   
O君 「あ〜・・・アカジマトラだぁ〜」


えっ?まさか!という感じで全員の目がO君に向け

られた。O君が皆のすぐ近くに生えていたイヌガヤを

網で掬うと、そこにアカジマトラが入っていたのだ!


全員 「え〜!マジかぁ〜??」

全員の羨望のまなざしを受けながら、O君曰く・・・

「そこの葉っぱにとまっていたんですよぉ〜」


ケヤキばかり注視していた我々には、全くの盲点で

あった!




   
さあ、アカジマトラが出た!というわけで全員色めき

立ってきた!野外で活動している個体がいるっという

事がわかったのだ。


・・・しかし、一人まだ材を削り続ける男がいた・・・。

・・・eichanである。

林の中を徘徊していると思ったら、良さ気な材を見つ

けたようだ。せいぜい竿の太さくらいの材だがeichan

曰く、「かなり有望」らしい。




   
嬉々として材を削るeichanの様子を見ていると・・・

「あ!入ってる!」というeichanの一言!


全員 「え〜?マジかぁ〜!?」


すでに野外で活動しているアカジマトラを全員見た

後なだけに、まだ材中にもいるというのがピンとこな

いのだ・・・。後で思えばそういう個体もいて当然なの

だが・・・。

そんな我らを尻目に、eichanの手にはしっかりと赤黒

の縞々模様の虫がにぎられていたのであった。




   
すっかり調子に乗ってきたAチーム。

他の人たちも立て続けに見せつけられては、黙って

いられない。やっと全員が真剣モードになってきた。


一方、すっかり材にハマったeichan。材を削り続けて

いたが、今度は弱令幼虫が出てきた。

この幼虫は、事情Aにより、 びおすけが育てる事に

なった・・・。しっかりと育てますので・・・。


ジャコウアゲハの幼虫と戯れるのに、なぜか夢中な

しんちゃんを横目に、びおすけは視点を変えて探し

て見る事にした。




   
ずっと高い場所を探していたが、先程のO君の採集

状況を思い返して、周囲を広く見渡すようにした。

それも特に低い位置を。これはもうただの勘である。


道路脇にゴミ芥が寄せ集められた場所があった。

そこを注視すると、ゴミや枯枝が盛られたモノトーン

をバックに、そこだけCG処理されたがごとく、真赤な

物体が貼りついているのが見えた。

速攻で近寄り確認した。

時間は4:45頃。

それは、すごく印象的な光景であった。




   
それは硬く古い端材の上で逃げる様子もなく、体を

上下させていた。

♀のようだ・・・。産卵している?まさか・・・


良く見ると、なんと、脚にクモの巣がひっかかってい

て、粘着力で動けずにもがいていたのであった!


びお 「・・・え〜と・・・。まあ、いいか・・・」


これが、びおすけとアカジマトラの最初の出会いで

あった・・・。 この再現性の無い、変な採集状況を他

の人たちに伝えた。そして、少し離れた場所で探して

いる うめちゃんにも報告しに行った。




   
うめ 「いたよ!」


えっ?!意外な言葉だった。畑の脇にケヤキが数本

あり、そのうちのわりと細い木の頭上2.5m位の位置

にある枝の股の部分にとまっていたらしい。

網で掬おうとしたら、落ちずに飛んで逃げようとしたの

で慌ててネットインしたという。


今までのどの採れ方も、事前に本やネットで調べた

内容とは違っており、せっかくの事前情報は全く役に

たっていなかった。実際はこんなものかもしれない。




    
その後、びおすけは先程見つけた場所のすぐ近くで

地面に近い、低位置の植物の葉にとまっていた個体

をつまんで、追加採集する事ができた。


その直後、うめちゃんも畑脇の低い位置の植物の葉

にとまっていた個体をつまんで追加採集した。



この事から、びおすけの中ではアカジマトラとは・・・

       「拾うもの」

という、イメージが刷り込まれてしまったのであった。




   
アカジマトラカミキリ

Anaglyptus (Akajimatora) bellus bellus Matsumura
et Matsushita,1933


現場で見た時は両方とも♀かと思っていたが、後で

よく見ると、どうやら 左:♂ 右:♀ のようだ。


画像だとわかりにくいが、左の♂の触角を伸ばすと

上翅の最後部の黒紋の中央を超す長さだが、右♀

の触角は伸ばしても、最後部黒紋前縁にやっと届く

程度の長さであった。


体型的には♀の方がやや長く大きい、という以外は

ほとんど変わりがない。





 
アカジマトラの活動時間は、事前情報の通り、夕方

4:30過ぎからのようだ。6:00くらいまでの約1時間半

の間に、次々に姿を見せたという印象だ。ただ、本や

ネットで見慣れた「ケヤキの幹を徘徊する」姿はつい

に見る事はできなかった。


いずれにせよ、ついに念願のアカジマトラを採集する

事ができた・・・。


ありがとうございました>御神木

お疲れ様でした>赤縞フリークのみなさん




   
朝から夕方までフル活動したため、かなり疲れた。

これも、寄る年波には勝てぬということか?


しかし、秋のシーズンはまだまだこれから・・・。

がんばらないと・・・。




・・・帰りに見た晩夏の黄昏は、大変美しかった。




 
     

END





   
 
THE INSECT HUNTER 2010
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