THE INSECT HUNTER
2010
0724-27
北海道(Vol.1)

THE INSECT HUNTER 2010

   
RE LOAD OF THE RINGS
リロード オブ・ザ リング

第一章
   
↑ リング・・・




  



NULL(ヌル)


何も無い事を表す概念。語源はドイツ語の「0」。

IT用語では、何もデータが含まれていない状態、または長さ「0」の空文字の事だが、

虫屋の間では、狙った獲物が全く採れなかった状態を示す隠語として使われる・・・。






  
この物語は、中つ国第四紀、ホビット庄の ヌルド とその従者である ヌル助 が、ひょんなことから

北の大地の森に棲むという、魔女ウル を退治するために旅立つところから始まる・・・。


    
0724
   


   
旅立ちの空・・・


  
 
B737-800・・・

ヌル助 「旦那様に先んじて到着したけど、残念ながら雨だな〜。コーヒーでも飲んで待つかな」

ご案内 「ホビット庄発JAL1103便がただ今到着いたしました・・・」

ヌル助 「やや!お迎えに行かねば」
 



   
ヌルド登場・・・

ヌル助 「あ、旦那様お疲れ様です」

ヌルド 「ヌル助、出迎えご苦労。さあ、早速レンタカーの手続きをするぞ」

ヌル助 「ええ〜、お茶くらい飲んでからにしましょうよ〜。どうせ雨だって降ってるし」

ヌルド 「のんきな事を。魔女ウルは、多少の雨でも現れるというぞ。早く準備を」


   
 
ドライブ・・・

ヌル助 「ああ!行く先はどうやら晴れているようです、旦那様」

ヌルド 「幸先良さそうだな。ところでなんで従者のおまえが運転しないで、私が運転しているのだ」

ヌル助 「だって北海道に来たの20年ぶりくらいだもの。道わかりませんよ」

ヌルド 「カーナビだって着いてるだろう。仕方のないやつだな・・ぶつぶつ・・・」


 
    
休憩・・・

ヌル助 「旦那様、ちょっと休憩しましょうよ」

ヌルド 「ああ、そうだな。う〜〜ん!気持ちよく晴れてるな!」

ヌル助 「魔女ウルもこの好天につられて出てくるといいですね」

ヌルド 「ちょっと気になった事があるのだが」

ヌル助 「え?なんでしょう、旦那様」

ヌルド 「途中咲いていたエゾニュウやオニシモツケに、虫が全然たかっていなかったのだ」

ヌル助 「そんなバカな。旦那様、気のせいですよ。だって、ここ北海道ですよ!?」

ヌルド 「ああ・・・気のせいなら良いのだが・・・」


   
 
御神木を見上げるヌルド・・・

ヌル助 「旦那様がとにかく御神木を見るのが先決だ、と言うので一目散に来てしまったな」

ヌルド 「うむむむむむむ・・・!これは魔女ウルがいかにも飛んできそうな立ち枯れだな」

ヌル助 「ええ。だってこの木、実績あるんですよね?」

ヌルド 「その通り!よし、ヌル助、私はここで見張るからな。おまえは周囲を探索してくれ」

ヌル助 「わかりました、旦那様」

   

    
トドマツ立ち枯れ・・・

ヌル助 「なかなか良さそうな立ち枯れだな・・・」



   
オオヨツスジハナカミキリ・・・

ヌル助 「早速、飛んできたな。北海道の♀は大きいな〜」



   
アカハナカミキリ・・・

ヌル助 「う〜む・・・・・」


   
 
ヨツスジハナカミキリ・・・

ヌル助 「どれも北海道以外にもいる普通種ばかりだ.。つまり魔女ウルの手下ではない」


 
   
ダケカンバ立ち枯れA・・・

ヌル助 「いい感じの立ち枯れだけど、樹高が高くてリングが樹皮剥げ部分に届かない・・・」


 
   
ダケカンバ立ち枯れB・・・

ヌル助 「ちょっと小さめだけど、虫は飛んできそうだな・・・」


  
 
クロオオハナカミキリ・・・

ヌル助 「やっと飛んできた。だけどこれも北海道以外にもいる種類だ・・・」


  
 
フタスジハナカミキリ・・・

ヌル助 「ヒヨドリバナによく飛んでくるな。しかし、これも北海道以外にもいる普通種だ」


   
 
クロオオハナカミキリ・・・

ヌル助 「ダケカンバにはこればっかりだな・・・」

ヌルド 「ヌル助、周囲の様子はどうだ?」

ヌル助 「どうもこうも・・・魔女ウルの手下の北海道特産種は一匹もいません。 魔女ウルは?」

ヌルド 「さっぱり来る気配がないな・・・」

ヌル助 「仕方ありませんね。今日はそろそろ上がりましょうか?」



  
トラップ・・・

ヌルド 「そうだな。宿へ行く前にトラップを仕掛けて行こう」

ヌル助 「マイマイカブリとか、入るといいですね」
  


 
   
林内・・・

ヌル助 「ふう・・・やっとトラップを仕掛け終わったぞ」

ヌルド 「お〜い、そっちは終わったか?」

ヌル助 「終わりました〜」



  
夕方の河原・・・

ヌルド 「ちょっと気になるんであそこの河原に寄ろう。ちょっと待ってなさい」

ヌル助 「はい、旦那様」

・・・・・・

ヌルド 「ほら・・・」

ヌル助 「ん? あーーー!トホシカミキリ!!」



   
ヤナギ倒木・・・

ヌルド 「ここに飛んできたんだよ」

ヌル助 「さすが旦那様、引きが強いですね。この勢いで明日こそ魔女ウルを・・・」



   
北の景色・・・

ヌル助 「さあ、宿に行きましょう。旦那様」

ヌルド 「夕食はどうする?」

ヌル助 「町の中にあった ビッグ○ーイ でどうです?」

ヌルド 「うむ。あそこのハンバーグは値段の割には旨いからな・・・」

ヌル助 「ちなみに明日の朝食はどうしましょう」

ヌルド 「朝早いからな〜。すき○くらいしか開いてないんじゃないか」

ヌル助 「朝っぱらから牛丼ですね!こりゃ豪勢だ」


・・・肉食系ホビットの二人の第一日目は、こうして終わったのであった・・・
  

   
0725(1)



   
天気・・・

ヌル助 「今日も暑くなりそうですね、旦那様」

ヌルド 「ドピーカンだな。しかしヌル助は朝っぱらから、うな牛とか食べてよく胃もたれしないな」

ヌル助 「ええ・・・別に何ともありませんが・・・?」

ヌルド 「・・・まあ、良い。今日こそは魔女ウルを退治するぞ」

ヌル助 「はい。旦那様」

ヌルド 「今日は助っ人として賢者Mr.Q殿にお願いして同行していただく事になっている」

ヌル助 「旅の仲間ですね!?旦那様」



   
賢者Mr.Q・・・

Mr.Q 「お早うございます」

ヌルド 「どうもお久しぶりです」

ヌル助 「今日はよろしくお願いいたします」

ヌルド 「私はまた御神木を見張るから、ヌル助はまた周囲を探索してみてくれ」

ヌル助 「わかりました、旦那様」

Mr.Q 「それでは、私も他の立ち枯れを見る事にしましょう」



 
オオモンシロチョウ・・・

Mr.Q 「これは近年北海道に侵入してきた外来種のオオモンシロです」

ヌル助 「初めて見ましたが、普通のモンシロとどこが違うんです?」

Mr.Q 「翅先の黒紋がL型をしているんです。モンシロは三角形になります」

ヌル助 「おお、なるほど〜」 



    
林道・・・

ヌル助 「さて、また旦那様が御神木に張り付いている間に見回りに行くかな・・・」

Mr.Q 「私も少し歩いて先の様子を見てきます」

ヌル助 「了解です。叩きながら歩いていくか・・・アカガネカミキリくらい落ちるかもしれないからな」


   
 
ハナウドゾウムシ・・・

ヌル助 「あっ! 一瞬、アカガネカミキリかと思ったら違った・・・。でも緑色で綺麗だな」


  
  
トラップの中身・・・

ヌル助 「昨日仕掛けたトラップに、もうオサムシが!初北海道特産種かも・・・」

Mr.Q 「コブスジアカガネですね?色彩の変化があって面白いオサムシですよ」

ヌル助 「やっと北海道特産種が・・・。ところで、林道の先は何かありましたか?

Mr.Q 「特に無いですね…。乾燥してしまって叩いても何も落ちないし」

ヌル助 「そうですか・・・。きびしいなぁ〜」

Mr.Q 「私も立ち枯れで、もう少しがんばってみます」

ヌル助 「それでは私は湖畔の周りを見てきます」
コブスジアカガネオサムシ
Carabus arvensis hokkaidensis LAPOUGE, 1924


 
   
ノリウツギ・・・

ヌル助 「う〜んけっこう満開なんだけど、虫が全然来ていないな〜」


  
  
ヨツスジハナカミキリ・・・

ヌル助 「やっと1匹だけ見つけたけど・・・ヨツスジか〜。カラフトヨツスジならいいのにな〜」



     
湖畔・・・

ヌル助 「なんとも雄大でありながら、まとまりすぎて箱庭的というか・・・不思議な景色だな」
 



   
トドマツ立ち枯れ・・・

ヌル助 「もうツルンツルンの立ち枯れだな〜。何か甲虫来てないかな〜」



  

コガネコメツキ
Selatosomus (Selatosomus) puncticollis (Motschulsky, 1866)

アラコガネコメツキ
Selatosomus gloriosus

ヌル助 「ああ!一度見たいと思ってた憧れのコメツキ!! こんなところで会えるなんて!」



   
クロハナカミキリ・・・

ヌル助 「本州にもいるけど、北海道産が欲しかった種類だ。ムネアカクロハナと比較用にね」



  
フタスジハナカミキリ・・・

ヌル助 「むぅ〜・・・またこれか・・・。一瞬、タケウチホソハナ!?とか思っちゃうわけよね・・・」

Mr.Q 「どうですか?何かいましたか」

ヌル助 「アラコガネコメツキコガネコメツキがいたくらいです」

Mr.Q 「ヌルドさんは?」

ヌルド 「・・・魔女ウルは一向に姿を見せませんね・・・」

Mr.Q 「少し別の場所へ行ってみませんか?」

ヌルド 「そうしましょう・・・」



   
移動・・・



   
到着・・・

Mr.Q 「さて、さっくりと着きましたが、ここらにはヤナギトラなどがいるんです」

ヌル助 「そいつらは、魔女ウルの手下ですか?」

Mr.Q 「・・・・・。 そうです、手下です」

ヌルド 「おお!」

ヌル助 「おお!」

Mr.Q 「では、早速探しに行きましょう・・・」



  
探す・・・

Mr.Q 「痕跡は多いんですけどね〜?」



  
探す・・・

ヌルド 「いい感じのヤナギもいっぱいあるのに・・・」



   
ハンノアオカミキリ・・・

ヌル助 「なぜかヤナギについていた・・・」

ヌルド 「それにしても狙いのカミキリがいない・・・」

Mr.Q 「う〜〜ん。おかしいな〜」

ヌル助 「プチ移動しますか?」

Mr.Q 「そうしましょう」



   
ヤナギ林・・・

ヌルド 「う〜ん。いないですね」

ヌル助 「ぬるポ」

ヌルド 「やつらをゲトーーーして魔女ヌルの情報を吐かせようと思ってたのに!」

Mr.Q 「仕方ない。あきらめて別の場所を案内します。そこには魔女ウル本人がいるかも・・・」

ヌル助 「うわ〜!危険な場所ですね!?」

ヌルド 「ゴックン・・・。よろしくお願いします」



  
激走・・・



   
第二章に続く・・・
 
THE INSECT HUNTER 2010
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