THE INSECT HUNTER
2008
0906
埼玉

THE INSECT HUNTER 2008

           
  
  
雨天にノトリナる!



今回はカミキリ情報館館長の池修さんにノトリナの勉強会に連れて行っていただきました。


ノトリナとは言うまでも無く、ケブカヒラタカミキリ Nothorhina punctata (FABRICIUS,1798)の愛称で、

8月から9月にかけて出現するこの小さなカミキリは、地味な虫ではあるものの、他にこの時期にいる

虫が少ない中、比較的身近で採集が楽しめる貴重な存在だと思います。


貴重と言えばノトリナも以前は珍品であったとの事ですが、その生態が解明されてからは比較的採集

しやすい虫になったようです。 びおすけも前から気になっていたカミキリだったのですが、まだ採集の

機会に恵まれていなかったので、ノトリナの住む環境だけでも見ておきたい!という事で、池修さんに

お願いして連れて行っていただきました。
  

  
   
  

さて、虫採りに行くというのになぜか都内を走る びおすけ。今回の目的地は山ではなく、市民の憩い

の場である比較的大きな公園です。


気になるのは天気ですが、ここしばらく不安定な天候続きで今回も天気は怪しい感じです。

案の定・・・・途中で雨が降り始めました。

しかしながら、基本的に夜行性のノトリナは曇天だと日中でも活動するらしく、下手にド晴れてるより

むしろこれくらいの天気が有り難いのかもしれません。かと言って土砂降りだと困るのですが・・。


期待半分、不安半分で都心を抜けて、池修さんと待ち合わせの公園へと向かいます。


 

目的地の公園に到着しました。このあたりは びおすけが仕事の関係でよく来る場所で、この公園の

横も良く素通りしていたものです。なんとなく緑が豊かな場所だな〜とは感じていたのですが、まさか

こんな身近な場所にノトリナがいるとは・・・。灯台元暗しと言いましょうか、何とも間抜けな話です。

   

池修さんとの待ち合わせ時間までまだしばらくあるので、車を止めて付近を散歩します。

ノトリナのホストはアカマツやクロマツですが、特にこの公園はアカマツがたいへん多く期待が持てそう

です。ざっと周りを見渡してもアカマツ・・アカマツ・・・ここにもあそこにも!といった感じで探索のし甲斐

がありそうです。木の状態を見ようと近づくと、たいていのアカマツの幹には小さな虫の羽脱孔がそこ

かしこに見られ、もしこれが全部ノトリナだったらすごい事になりそうです。

相変らず小雨が降ったりやんだりですが、まだアカマツの幹は濡れてはいないようです。この状態で

あれば幹を這い回るノトリナの姿も拝めるかもしれません。
 
  

アカマツの幹を一心不乱に眺めていると、通りかかる人が不審人物を見る目で見ているのに気づき

慌ててその場を離れます。さすがに市民の憩いの場であるきちんと管理された公園だけあって、散歩

する人、犬を連れて歩く人、ジョギングをしている人etc... なにしろ思ったより人通りが多くてこんな

場所で採集するのは少しためらいを感じます。少し不安を感じ始めた頃、池修さんから携帯に連絡が

入りました。公園内の別のポイントにいらっしゃるとの事で、びおすけもそこに向かって移動します。

そこはギャラリーが少ないといいんだけどな〜・・・。


  

無事、池修さんと合流し、ご挨拶もそこそこに先日池修さんがノトリナを採られたアカマツを案内して

いただきました。


池 「これなんかいい木だと思うんですよね」

び 「はぁ〜・・・かなり太い木ですね!」

池 「ノトリナは太いのがいいですよ」


見れば樹皮の表面には無数の虫が食い進んだ痕と羽脱孔があります。ノトリナはあまり移動する事

なく同じ木で累代する虫なので、何代にも渡ってこの木を利用し続けてきたのでしょう。この食い方を

見ると小さな虫とは言え、やはりそれなりに太い木に依存しないと生息は難しいのかもしれません。

 

また別の「採れた木」を見ると、それもまた太く立派なアカマツでした。表面を見ていると実にいろいろ

な虫がこの木を利用している事がわかります。一見何もいないようでもよく見ると、アリ、ゴキブリ、カネ

タタキなどが隠れており、その影に一瞬「ドキッ」とさせられますが、このような木一本でも虫にとって

はかけがえのない棲家であり、一種の「小宇宙」のようなものかも・・・。

そんな事を考えながらボケ〜としていると・・・


池 「あっ!いたいたっ!」

・・・我に返る びおすけ。 池修さん、いきなりですかっ!? もう、さすがですっ!

  

池修さんが早くも発見した1頭を根元に敷いた白布の上に落としてくれました。


びおすけが初めて見る生きたノトリナです! で、・・・第一印象は 「思ってたよりも大きい・・・」。

もっと芥子粒のようなちっこさをイメージしていたので、これはうれしい(?)誤算でした。


その姿もよく「コメツキみたい」と聞いていましたが、確かにまあ、似てる事は似ていますが、やはり

そこはさすがにカミキリムシ。よく見ればすぐにツシマムナクボやトドマツなどに近い種類だという事が

わかります。基本的に夜行性のクロカミキリ亜科の仲間は総じて原始的な雰囲気を感じさせますが、

このノトリナはまた特に古い由来を感じさせる虫でした。


その動きもかなり活発で、よく「すぐに取れちゃう」と聞く短い脚の動きから想像していたドン臭さは

全く感じさせません。ちょろちょろ・・・ちょろちょろ・・・とそれはもう、よく動き回ります。

しかし、池修さんもおっしゃっていましたが、短い脚のせいか?歩き方はけして上手とは言えません。


いそうな木の雰囲気がつかめたところで、別の木も探すことにしました。・・・が、実際探すとなると

条件にピタリとはまる木は意外と限られそうです。やたらとアカマツが多い場所なので条件を知らず

に探すと徒労に終わる可能性もあるので、逆に限られた方が効率的に採集できます。

  

  

条件に合いそうなアカマツの幹を眺めながら、幹の裏側にまわると、野生のミツバチが巣を作っていて

驚きました。条件が良い木というのはノトリナばかりではなく、他の虫にも条件が良いかもしれないと

池修さんがおっしゃっていましたが、確かにそうかもしれないと思いました。


それにしても、ミツバチの様子がやたらと慌しい感じがします。ふと、根元の方を見るとスズメバチの

仲間が飛んでおり、どうやらこのミツバチの巣を狙っているようなのです。

ミツバチの群れに緊張感がただよっています。

  

一枚の写真に収まらなかったので、2枚合わせですが・・・

スズメバチの仲間の存在に気づいたミツバチの前衛部隊が臨戦態勢で警戒しています。様子を伺い

ながらスズメバチが奇襲アタックを始めると、ミツバチ部隊は羽を激しく震わせて応戦します!


う〜〜ん!がんばれミツバチ!! スズメバチをやっつけろっ!!

(みなしごハッチのイメージがあるので、必ずスズメバチは悪者という設定になっちゃうんですね・・・)


まったりとしたノトリナ探しの最中に、妙に緊張感のあるシーンを見てしまい、なぜかこちらの気分まで

もビシッ!と引き締まる気がしました。


「ノトリナ作戦部隊っ!あらためて出撃しまっシュっ!!」

 

気分が引き締まったところで、ノトリナ探し再開です。

たまたまアカマツが2本並んでる場所があり、見ると両方ともいかにもノトリナがいそうな雰囲気です。

ここで、池修さんと粘ってみることにしました。

 

幹を眺めながら目が慣れてくると、樹皮とそっくりな色をした虫の姿が浮かび上がってきました。

おおっ!いたぞっ!! ノットリ〜〜ナッ!!(なぜかイタリア語風に・・・)

 

びおすけノトリナ自己初採集です!

よく見ると形もそうですが、触角を 「ふるふる・・・ふるふる・・・」と上下に震わせて周囲をうかがって

いる様子はカミキリっぽくない印象です。やはりコメツキっぽいかも・・・。 しかし、このような仕草が

むしろ原始的なカミキリである雰囲気を感じさせて面白いです。

  
  
ケブカヒラタカミキリ
Nothorhina punctata (FABRICIUS,1798)

左:♀  右:♂

  

この2本のアカマツは「当り」だったようで、眺めているとぽつぽつとノトリナが見られました。

こうなると、もうはやギャラリーなど気にならなくなってきます。幸い、話しかけられる事もなくじっくり

と採集する事ができました。

♂♀特に区別無く大小の個体差があるようで、6mmくらいの小さな個体から1cmを超える大きな

個体までいろいろなサイズが見られました。

   

つまむと脚が取れやすいと聞いていたので、ならば吸虫管でと吸って試してみますが、思ったより

大きなサイズのせいか、吸引力が足りないのか?全然吸い取る事ができません。つまもうとすると

これまた難しく、ポロッと下に落ちてしまったりして2〜3頭逃がしてしまいました。根元に敷く白布は

やはり必需品だと思います。

  

樹皮に見え隠れしながら、ちょろちょろ・・・ちょろちょろ・・・と動き回る上に雨天なので、なかなか

思い通りの写真を撮る事ができません。

 

「ケブカ・・・」の名のとおり、体全体が茶褐色の毛で覆われており、これがまた、コメツキっぽい

感じを醸し出しているのかもしれません。前胸背には赤くて丸いワンポイントの平滑部がありますが、

これが意味しているものはさっぱりわかりません・・・。

また、「・・・ヒラタ」という名のとおり、基本的には体は扁平ですが、♀の大型個体などは意外と厚み

もあり、一見キクイムシの1種のように見えたりもします。

 
   

ここで池修さんと びおすけ、それぞれ数頭ずつ採集できましたが、目的も果たす事ができたので

ここらで撤収する事になりました。小雨は相変らず降っていましたが、この曇天の状況が返って

功を奏したのかもしれません。

びおすけとしましては、初チャレンジで採る事ができたので大満足な勉強会でした。


短い時間でしたが充実した楽しい時間をありがとうございました>池修さん

  
    

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