THE INSECT HUNTER
2008
0802
神奈川

THE INSECT HUNTER 2008

  
二度ある事は三度あった





この時期になると毎年行く神奈川県某山に行ってきた。



びおすけの家から最も近距離でセダカコブヤハズに

出会える場所なのだが・・・今年も見れるのか?



他にも今までカスリもしてないけど、いると信じて疑わない虫もいるのだが・・・



今年こそ見れるのか?

 
 
到着していつもの場所に びおすけ号を止める。他には車は1台も無く、今日は登山者は少ないようだ。

天気は・・・とりあえず今はすこぶるよろしい。でもここから上がると霧(ガス)るパターンが多いのだ。

最近はどこに行ってもアブやブヨが大発生している気がする。やつらにたかられると集中力を欠く上

に噛まれると後で腫れて痒くてたいへんな事になるので、迷惑至極である。

それを避けるため防虫スプレーを全身に吹きまくり、電池内臓リストバンド型のベ○プを腕に装着し

て完全防備で出発。

  
林内はそれほど暑いわけでもないけれど、思いのほか傾斜がきついので、運動不足の体には

堪える。滝のように流れ落ちる汗のために、せっかくの防虫スプレーが洗い流されてしまいそうだ。

ひぃひぃ言いながら、頂上を目指す。

 
林内には各種広葉樹の倒木や立ち枯れが多く見られるが、ホソツヤルリクワガタやコルリクワガタ

以外にはろくな虫がいない。この時期ではそれらの成虫も見られない。

よって、さっさと通過するのがよろしい。

それでも良さ気な立ち枯れとかあるとつい立ち止まって見てしまう・・・が、やはり何もいない・・・。

せいぜいナガクチキやゴミムシダマシ、コメツキなどの普通種がいるくらいである。

 
ひぃひぃ言いながら、やっとこさ登りきり、すたこらと目指すポイントへ急ぐ。

ちょうど吹き上げになる場所でノリウツギの隣には太い立ち枯れがある絶好のポイントである。

しかしながらここのノリウツギは毎度がっかりするほど花付きが悪く、しかももう散りかけなのであまり

期待はできない。むしろ立ち枯れの方の期待度が高い。


この場所はしょっちゅう霧(ガス)るので、花を掬うには一瞬日が差す合間を狙う。しかも早い時間の

方が虫の集まりが良く、時間が経つにつれて訪花する虫の数が激減する。

もうすでに霧(ガス)り始めているが、今一時的に日が差し込んできた。

せっかくだから、まずはノリウツギの花を掬ってみる事にしよう。虫もぼちぼち飛んでいるようだ。

  
見るからにしょぼい花を掬ってネットの中をのぞくと、ヨツスジハナ・ニンフホソハナに混ざって

トビイロが採れた。このあたりにはアブラチャンが多いので、このあたりを代表するカミキリと

言えるかもしれない。トビイロはメスばかりでオスは1頭も見られなかった。


一方、思ったとおり、異常にブヨが多い。長袖を着ているにもかかわらず裾の隙間とかから

噛まれたようだ。早くも痒みが感じられる。防虫スプレーもなんのその・・・といった感じだ。


気を取り直して、もう一度花に目を向けると大きな黒い影が動いている!

 
フタコブルリハナ!キターーー!!

最近は学名から「ステノコ」と呼ぶらしいが、立て続けに2頭採れた!

1頭はうれしい事にいわゆる「黒ステ」であった。サイズもそこそこでなかなか良い。

これは幸先が良い証か・・・!?
   
フタコブルリハナカミキリ

ブルータイプの【青ステ】
フタコブルリハナカミキリ

真っ黒タイプの【黒ステ】

  
ノリウツギには他にハコネホソハナやホソハナが来ているくらいで、特筆するようなカミキリは

見られなかった。来る時期がもう少し早ければもっと多くの種類が見られたはずだ。


花を掬うため、インターバルをおいて待っていると、近くのしょぼい枯木に黒い虫が飛んで

きた。大きいコメツキかな?と思い採ってみた。
 
 
 
細い樹種不明の枯枝に相次いで飛来したムネアカクシヒゲムシ。 左:メス  右:オス

オスは何度か採集した事があるが、メスは初めてだ。

メスは前胸背の黒いタイプであったが、想像以上に立派で渋く、なかなか良い虫だ。
   
ムネアカクシヒゲムシ

左:オス  右:メス

 
他にも何かいるんじゃないかと思い、近くのしょぼい枯木を探してみた。
   
付近の立ち枯れに来ていたゴミムシダマシ3種
お馴染みの キマワリ

  
お馴染みの ツヤヒサゴゴミムシダマシ

 
お馴染みの クロナガキマワリ

 
これといった虫は来ていないようだ・・・・。



それでは、いよいよ本命のブナの立ち枯れを見てみよう。

かなり背の高い立ち枯れなので上の方はほとんど見えないのだが、根元から上の見える範囲

まで、なめるように見回す。 1周・・・・・2周・・・・・。特に何も来ていないようだが・・・。

3周・・・・・ んん?何か違和感のある部分が・・・・。

まとわりつくブヨを追い払いながら目をよくこらして見ると
   

  
んん〜?  ハッ!?

   
いたよ〜! イワワキセダカコブヤハズ!


手が届かない上部にいた。 やはり今年も見る事ができた!

採る前に撮ろうという事で、写真も撮れて やれやれ一安心。


・・・・ここで気を緩ませたのが失敗であった・・・。


落としても大丈夫なように下にネットをあてがい、どれ、棒で突付いてみようかい と見直した。

・・・・・あれっ?いない! あれ?あれ? うそ〜?

下を向いてごそごそやっている間にいつの間にかポトリと下に落ちてしまったらしい・・・・。

この「貴重な写真」を残して、姿を消してしまった・・・。

うわ〜ん!くやしぃぃぃぃ〜〜!! 撮る前に採っておけばよかった〜!!

・・・・悔やんでも後の祭り・・・・。

    





さて、傷心の びおすけ。気分を変えようといったんその場所を離れて付近を探索する。

下を見ながら歩いていると、コガネムシやらハムシやらがいるが、面白そうな虫は特にいない

ようだ・・・。下草の中を這い回っている虫がいたので採ってみると
   
オサムシであった。 ルイスだろうと思っていたがよく見ると、どうもエサキのようだ。

この山では、ここよりも低い標高でルイスが採れ、ここと同じ標高でもルイスを確認している。

いわゆる丹沢山系では「上」にはルイス「下」にエサキが分布していると思っていたので意外

であった。このあたりでは混生しているのだろうか?

ちなみに房総半島の山では「上」にエサキ「下」にルイス(アワカズサ)が分布すると言われる。
 

   
地表性甲虫としては他に ニワハンミョウが見られた。

色彩変化の多い種類だが、ここで見られたのは、ごく普通の緑色タイプであった。



さて、気を取り直してもう一度あのブナの立ち枯れを見に行く事にした。

もしかしたら、またセダカが戻って来ているかもしれない。

まとわりつくブヨを払いのけながら、慎重に立ち枯れに近づく。

吹き上げてくる風に乗って、若干霧がたちこめてきた。

立ち枯れの間近に立って、それを見上げる。


1周・・・2周・・・・・3周・・・・・・。何もいる気配が無い。

残念。 ふぅ、と深いため息が出る。やはりそう上手くはいかないようだ。


その時突然、原生林の奥から 立ち枯れとノリウツギの間をぬってをこちらに向かって何か

が飛んできた。ちょうど視線の高さを真っ直ぐに飛んできて、ちょうど立ち枯れのあたりで

いきなりUターンをして別方向に飛んでいこうとする、それは・・・・


「ネキだっ!!」


種類までは判別できないが、しかし大型のネキのメスに違いなかった。何故か触角だけが

ストップモーションのように目に焼きついた。

とっさにネットの竿を伸ばして掬おうとしたが、見事に空振った。

足元の斜面の草に足を滑らせた。 思い切り尻もちをついた。

目だけは林道とほぼ平行に飛びながら、再び原生林の中に戻っていくその虫の姿を追っていた。
 
立ち上がって、その虫が消えていった空間を

ただ見つめるばかりの びおすけであった。

あたりには再び霧が立ちこめてきた。

後に残るのは自分がコケた下草の跡だけであった。

その跡を呆然と眺めていると、草の上に青い虫

が乗っかっていた。つまんで見ていると、その色

の爽やかさに心癒されていく気がした・・・。

   
ルリボシカミキリ

 
  
  
その後、半ば呆然としながら1時間・・・2時間と同じ場所で待ち続けたが、ネキはおろか、セダカ

の姿さえ二度と見る事はなかった。

霧が完全にたちこめて視界が悪くなり、非常に心残りではあるが、この場を立ち去る事にした。

ただ、以前より必ずいるはずと確信していたネキの存在を確認できた事だけが収穫であった。

それにしても、セダカにしてもネキにしても虫屋にあるまじき失態、痛恨の極みである。



こうなったら場所を変えて、気分一新しよう。

そこには「彼ら」が、とある虫を狙って先に行っているはずであった。上手くしたら びおすけも

そのおこぼれにありつけるかもしれない。 しかし、その時脳裏をかすめたのは

「二度あることは三度ある」という格言?・・・・。


まあ・・・・とにかく行ってみよう。

   

    
車を走らせることおよそ1時間、「彼ら」・・・まさくんとまさパパさんがいるはずの林道に到着した。

車を適当に止めて、彼らの姿を求めて歩き始めてすぐ、怪しい二人組みを発見した。
    
   
一見、まるでピクニックに来ているかのような佇まい

であるが、そこにピクニックの楽しい雰囲気は無く、

ただ首をうなだれている まさパパ&まさくんの姿

があった。

びお 「どうも・・・」

パパ 「お待ちしておりました。ささ、どうぞお上が
     り下さい」
   
お言葉に甘えてシートに座らせてもらい、話を聞くと目的の虫はまだ見つからないとの事であった。

朝も早くからこの同じ場所で待ち続けて5時間が経とうとしているのに、影さえも見えないらしい。

どうにも嫌な予感がするが・・・。


まさ 「どうやら、あの虫がここにいるって話は都市伝説らしいよ・・・」

びお 「他には何かいたの?」

まさ 「ヘリグロリンゴ、アカハナ、サビ類、ニイジマトラ、ルリボシとか・・・」

びお 「この時期にこの場所でそれだけ見れればまあまあじゃないの?」」

パパ 「もう待ちくたびれてしまって・・・もうアカンのじゃないかと思ってますわ」

びお 「あの虫は午後から夕方にかけてが勝負だよ。もう少し待ってみましょうよ」
   

 
林道脇に放置された粗朶を見てみるが、なるほど何もいやしない。


スギの皮をめくってタマムシの幼虫と戯れたり、林道沿いをふらふらと飛ぶヘリグロリンゴの写真

を撮ろうとして上手く撮れなかったり、飛んできたルリボシカミキリに調教をしたりして遊んでいる

うちにだいぶ時間が経ってそろそろ夕刻である。


まさ 「もう疲れ果てて、意識が混濁してきた。」

びお 「それにしても虫いないね」

まさ 「虫ならいるよ。ほら、草の上にたくさん糞虫が来ているでしょ」

びお 「あ、ほんとだ」

 
なぜか、下草の葉上のあちらこちらに糞虫が止まっている。 マエカドコエンマコガネの集団だ。


びお 「この虫なんでこんな所に止まってんだろう」

まさ 「まったくわかりません・・・。あ、ちょっと びおさんの頭に何かついてる」

びお 「あ、取ってよ」

まさ 「あ、これと同じ糞虫だっ!なんで びおさんの頭に・・・」

びお 「おい!オレの頭は『クソ並み』って事か!?」

まさ&パパ  「(爆)」

 

気を取り直して虫探しを再開した (怒w)

しかし、たいしたモノはおらず、チャボヒゲナガやケナガクビボソムシ、オオナガコメツキの仲間や

アトボシアオゴミムシなどが見られたくらいである。

事情Aにより、そろそろタイムアップの時間だ・・・。
 

   
狙いの虫を採るには時期がちょっと遅かったと思われ、引きが強い まさくんたちでも

ダメだったのだから、おそらくこの虫はもう発生終了という事なのだろう。


当然、びおすけも見る事ができなかったわけで、午前中の山に引き続き「3連敗」となったわけだ。

やはり、「二度ある事は三度」あった・・・。


しかし、短い時間ながら、まさくん&まさパパさんと遊ぶ事ができて楽しかった。

またよろしくお願いします>お二人



何というか、また来年に向けての課題が増えた一日であった。


 

  
    


THE INSECT HUNTER 2008

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