THE INSECT HUNTER
2007
1123
山梨

THE INSECT HUNTER 2007


                 

             
ほっと一息。晩秋のブナ林





   
お久しぶりです。びおすけです。


もうね、とにかく仕事で息が詰まりそうな状態が続いてるわけでして、

ここはひとつ精神の平衡を保つためにも、息抜きをせなアカン!

というわけで、晩秋のブナ林の空気を吸いに行ってきました。


場所によっては、まだ紅葉が見頃ですが、ここではすでに終了した模様で、

木々は葉を落とし、林床は落ち葉で埋め尽くされていました。


まるで「落ち葉の海」です。


この「落ち葉の海」の底のどこかにフジコブやセダカが潜んでいるんだろ〜な〜、

と想像しつつ、枯葉を一枚一枚めくって探す根性もない びおすけは、

ここでの課題のひとつルリクワガタを求めて晩秋のブナ林の中を、

ブナの立ち枯れや倒木を探して彷徨うのでした。


さて、見事、課題はクリアできるのでしょうか・・・。



※最近、ルリクワガタの和名がオオルリクワガタと改称されたとの事ですが、ここでは馴染み深い
  ルリクワガタ(ルリクワ)と表記させていただきます。

  


    
ひぇぇ〜!寒いっすぅ〜!

車を出て一歩外へ出たとたんに、鼻毛も凍る

寒さに身を震わす。 もう「冬」ですな。

車の中で温まっていた時計型の温度計は

25℃→20℃→11℃→・・・と見る見るうちに

数字を下げていく。

同行の うめちゃんも完全防寒装備で出発。

 
実はこの場所では、5月にルリクワ♂を1頭、偶然採集しており、その生息は判明しているものの、

10月に再び訪れた時には付近で産卵痕すら発見できずに敗退したという、苦い思いがあるのだ。

今回はルリクワの生息再確認と、コルリやホソツヤルリもいやしないか!?という欲張り探索行な

のだが、勝算は全く無い、得意の行き当たりバッタリ作戦なのである。

 
ここから全てが始まった・・・(大げさ)


5月にこの場所に別目的で来た時に、この

倒木に腰を下ろして休憩中、偶然、我が尻

の横に「チョコン」と止まっていたルリクワ♂

を見つけたのだ。

   
さて、この10月にも一度来ているので捜索

範囲を少し広げて探さなくてはならない。

ブナの倒木はあるにはあるが、ルリクワより

むしろオサムシやコガネムシ向けの状態の

ものが多い。一方、ブナの立ち枯れとなると

これまた数がかなり少ないようだ。

   
捜索を開始して30分・・・。これといった手がかりが見つからないままブナ林を徘徊する うめちゃん

と びおすけ。 まずは産卵痕を発見しないと話が進まない。 二手に分かれて捜索を続ける。

ルリクワの場合、ブナが一番候補ではあるが、以前群馬でトチノキから複数採集した経験がある

ので、必ずしもブナでなくてはダメという事はない。それっぽい太目の倒木や立枯れに目を走らせ、

サイン(産卵痕)を探すが、どうにも発見できない。


徐々にフラストレーションが溜まってきて、思わずオサムシフレークに手を出してしまう。

「マイマイ出ないかな〜?」などと、もはや思考が別方向にぶっ飛んでしまっている。

材はどれも表面がカチカチに凍っていて、最初ナタを入れる時は「カキーーーーン!!」とはじき

返されるほどだ。それでもしつこく削っていると、ぽっかり空いた穴に黒い影が見えた。
  

 

クロナガオサムシ
Carabus (Leptocarabus) procerulus procerulus (Chaudoir,1862)

 
平地のクロナガと比べると小ぶりであった

ので、一瞬フジクロナガを期待したけれど、

色や背中の丸みはどう見てもクロナガ・・・。


帰宅してからゲニや丘孔点列の状態を見た

が、やはりただのクロナガオサムシだった。

 
その後もフレークを見つけては削ってみる

ものの・・・。


こちらも クロナガ・・・。

 

それじゃ〜次は・・・

やっぱり クロナガ・・・。


と言うわけで、マイマイはかすりもせず、

クロナガだけしか見る事ができなかった。

 

   

一方、うめちゃんは他の虫に浮気もせずにルリクワを探していた。

うめちゃんの姿を見つけて近寄ってみると、どうも産卵痕を見つけたらしい。

見れば10月に びおすけも目をつけたブナの立木で部分枯れしているのだが、その時は産卵痕を

見つけることができなかった。聞けば樹皮を少しはがしたところ産卵痕が見つかったという。

しまった!ルリクワは浮いた樹皮にもぐる性質があるのを忘れていた!

 
うめちゃんが産卵痕の周囲を注意深く削って

みると、あっさりと幼虫が出現した。

間違いなくルリクワの幼虫であろう。

しかし残念ながら数頭の幼虫が見られたも

のの、成虫の姿は見ることができなかった。

 
この立ち枯れに見切りをつけ、別の朽木を探して再びブナ林の中を彷徨う。

とりあえず、ルリクワの生息再確認は幼虫ではあったが、することはできた。

では、コルリやホソツヤルリはどうであろう。

林内にはいわゆる「コルリ材」や「ホソツヤ材」が見られるものの、他の場所であったら絶対入って

いると思われる状態のものでも産卵痕は全く見当たらない。産卵痕が見られずとも状態の良さ気

な朽木は削ってみるのだが、幼虫はおろか、痕跡すら発見できない。

コメツキ・ハネカクシ・ゴミムシ・ゴミムシダマシなどが見られるのみである。

 

まだ倒れて間もないブナの巨木の、浮いた樹皮をはがすと樹皮裏に凍った状態で見つかった

クワガタゴミムシダマシ
Atasthalomorpha dentifrons (Lewis,1894)

甲虫らしい体のゴツゴツ感がたまらなくカッコイイ。

 
♂ 前胸に毛束を備えた2本の角がある ♀ 角は無いが体は♂よりも大きく厚い

   
他には・・・・
 
クロツヤハネカクシ
Priochirus japonicus Sharp,1889

これまたイカツイ虫。集団で見つかる事も。
ハネカクシの1種

艶消しの蟻にそっくりな頭部を持つ種類。

 

さて、このような雑甲虫はともかく、肝心のルリクワガタの追加が無い。

疲れて休んでいると、うめちゃんが探索から戻ってきて、いかにもコルリ材という朽木から幼虫を

割り出したという。見せてもらうと2令あたりの小さな幼虫だが、どうもルリ系の臭いがする。

飼育でうまく羽化までもっていければ何者かが判明するのだが・・・。


また二人でブナ林を徘徊していると、これまた巨大なブナの倒木を発見。折れ口の断面には

多数の産卵痕が見られた。これはいけるかもっ!と期待に胸を膨らませつつ、凍った材を削る。


  
間もなく、ルリクワ幼虫の頭が見えた。


「うっ!これまた幼虫アパートなのか!?」


この嫌な予感はズバリ的中した。

 

材の表面は凍ってカッチカチに硬いが、いくらか削ると本来の材の状態になって削りやすい。

しかし、削っても削っても、幼虫ばかりが出てきて、結局各々二桁ばかりの幼虫を割り出して

テイクアウト。飼育に望みをつなげる事となった。

 
最後に一削りしてやめようとしたところ、うめ

ちゃんがルリクワ成虫の★体を割り出した。

黒に近いブルーの♀個体であった。

う〜〜ん・・・残念!

結局、成虫の生体の発見には至らず、帰路

につく事となったのであった。
 


2007年最後の採集を締めくくるには、何とも消化不良の成果であったが、後に楽しみを残して

おいたと考えれば、それもまた良し (負け惜しみ??)。


最近、ルリクワ系も新種が発表されたり、和名が改称されたりして動きがあったが、これもまた

今後の楽しみにつながるというものだ。


何はともあれ、今年もあとわずかですが、一緒に採集におつきあいくださった方々、採集地で

お会いしてお話できた方々、また、このしょーもない採集記を懲りずに見ていただいた方々に

感謝の一年でした。


どうか、来年もまたよろしくお願いいたします。

                           END
    



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