THE INSECT HUNTER
2007
0804
山梨

THE INSECT HUNTER 2007


                 
           
姫ヨンさま探訪







シーズン中、どこに行ってもたいてい見かける種類に

「ヨンさま」こと、ヨツスジハナカミキリがある。



びおすけは、このヨツスジハナを見かけると

「けっ!またヨンさまかYO!」

などと無視する事はせず必ず捕獲するようにしている。

しかし、ネットの中を確認しガッカリして、結局逃がしてやる事になる。

また、採集したヨツスジハナを帰宅後再確認する事も怠らない。

しかし、これも肢の長さなどを確認し、ガッカリして結局タトウにしまいこむ事になる。



一体何を確認しているのかと言うと、非常に良く似た小型の種類、

ヒメヨツスジハナカミキリを探しているためだ。


ヒメヨツスジハナ(以降、略してヒメヨツ)は、本州に、亜種のシコクヒメヨツスジハナは

四国と九州に分布しているが、ヨツスジハナと違ってどこにでもいる種類ではない。

びおすけは未だ生きたヒメヨツを採集した事が無く、そのイメージはもはや

神秘化されていると言っても過言ではなく地味ながらも

「いつか必ず!」系の憧れのカミキリであった。


最近、びおすけがよく行くフィールドで、ヒメヨツが採集されているという話を聞くにおよび、

もしかして自分にも採れるかも?!という仄かな期待を抱きつつ、出かける事にした。

この時期その場所では他にも イガブチヒゲハナやムナミゾハナといった

珍しいカミキリも採れるはずで、運が良ければ出会える可能性がある。

  

   
    
さて、現地に到着してまずはどこをどう探すの

か迷ってしまった。ブナ科樹木の立ち枯れを

探すのか、図鑑にある通り、リョウブやノリウ

ツギに訪花するのを採るのか・・・。

しばらく車を流してみると、ブナ科立ち枯れは

ほとんど見当たらないが、ノリウツギは点々と

あり、花も最盛期のようである。

   
この状況では、どうもノリウツギに的を絞った

方が良さそうである。現に、まだ早朝にもかか

わらず、見ればハナカミキリ類が花の周囲を

飛び回っているではないか。

 
早速、花をひと掬いして、ネットの中をのぞきこむ。

「うひょぉ〜〜!!」

ネットの底にたまった多量の虫が、我先にとネットをよじ登ってくる。
ひと掬いで、これほどの数のカミキリをネットインできるのは久々である。

これは気分がイイ!!

逃げようとする虫をひとつひとつ種類を確認していく。

「え〜と・・・フタスジハナ。ツマグロハナ。ツヤケシハナ。ニョウホウホソハナ。
フタスジハナ。ツマグロハナ。フタスジハナ。ツマグロハナ。ツヤケシハナ。
フタスジハナ。カラカネハナ。フタスジハナ。フタスジハナ。フタス(以下略)」

確かに数は多いが、どれも普通種ばかり。
中でもフタスジハナの数が大半を占めている。

では、もうひと掬いと思い、ノリウツギを見上げると、
そこにはもう早、無数のカミキリが飛来しているではないか。

これは期待できそうだ・・・。

 
ノリウツギ以外にはイワガラミも花がちょうど

イイ感じで、こちらにもカミキリが多数飛来し

てくる。が、こちらもまた普通種ばかりのよう

である。しかし、こう採れる虫の数が多いと

まるで、自分が採集上手になったかのような

錯覚に陥ってしまう。

  
ノリウツギを見つけるたびに足を止めて、花

を掬ってみるが、これといって珍しい種類に

はお目にかかれない。

ただ、ひと救いで採れる数が多いので、つい

つい楽しんでしまい、時間を浪費してしまう。


では、どんな種類がいたのか確認してみよう。

 
キヌツヤハナカミキリ
Corennys sericata Bates,1884

非常に美しいビロウド状の赤い翅を持つが

ご存知のように〆ると残念ながら、この色は

失われてしまう。

針葉樹が多いためか?数は多くない。

 
カラカネハナカミキリ
Gaurotes (Paragaurotes) doris
Bates,1884


初夏に比べると数は減ったようだが、それで

も個体数はまだまだ多い。大好きな種類では

あるのだが、名物ブラックドリスもさすがにこう

多いと見飽きてきた・・・。

  
チャイロヒメハナカミキリ
Pidonia (Mumon) aegrota aegrota
(Bates,1884)


ド普通種ピドの代表格。しかしながら、別の

種類の無紋型に化けるのではないかと、

ついつい採集してしまう。結果、標本箱には

大量の本種が並ぶ事になってしまう・・・。

  
マルガタハナカミキリ
Pachytodes cometes (Bates,1884)

普通、ネットインしても逃がしてあげる事に

なるド普通種だが、よ〜く見ると意外とカッコ

いい事に気づく。たま〜に斑紋の変化も見ら

れ、そういうちょっと変わったのだけつまむよ

うにしている。

   
フタスジハナカミキリ
Nakanea vicaria Bates,1884

言うまでも無く、この辺りの超優占種。

画像は通常のフタスジ型だが、むしろこの

辺りでは少なく、多いのはいわゆるハススジ

タイプだが、特に♀の大型個体は大きさとい

い、模様といい、結構見栄えがする。

 
その他、ノリウツギでは以下のようなカミキリが見られた。

  
ツヤケシハナカミキリ
Anastrangalia scotodes (Bates,1873)
 
ツマグロハナカミキリ
Leptura modicenotata Pic,1901
   
ニンフホソハナカミキリ
Parastrangalis nymphula
(Bates,1884)
ニョウホウホソハナカミキリ
Parastrangalis lesnei (Pic,1901)
 
オオヒメハナカミキリ
Pidonia (Pidonia) grallatrix
(Bates,1884)
チャボハナカミキリ
Pseudallosterna misella (Bates,1884)
  
クロルリハナカミキリ
Anoploderomorpha monticola
Nakane,1955
ヒゲジロハナカミキリ
Japanostrangalia dentatipennis
(Pic,1901)
  
ホソトラカミキリ
Rhaphuma xenisca (Bates,1884)
シロトラカミキリ
Paraclytus excultus Bates,1884
  
キスジトラカミキリ
Cyrtoclytus caproides caproides
Bates,1873
エグリトラカミキリ
Chlorophorus japonicus (Chevrolat,1863)
   
また、ホソツツリンゴが出ていないかとイケマの花も見に行ったが・・・・
ノリウツギに訪花してくるカミキリと同じような種類が群れていたものの、イケマにホソツツリンゴの
食痕は見られず、まだ発生していない様子であった。
   
    
また、せっかくなので針葉樹の倒木や広葉樹の粗朶なども見て回った。
 
オオマルクビヒラタカミキリ
Asemum striatum (Linnaeus,1758)
シラフヒゲナガカミキリ
Monochamus (Monochamus) nitens
(Bates,188
4)
 
  
その他、ヒメヒゲナガ・ヒゲナガモモブト・エゾサビ・ヒトオビアラゲ・フタオビアラゲ・キッコウモンケシ
ミヤマホソハナ・ホンドアオバホソハナ・ミヤマクロハナ・ホソガタヒメハナ・ツマグロヒメハナ・ムネア
カヨコモンヒメハナ など 30種類を超えるカミキリを確認または採集する事ができた。

   

   
さて、だいぶ横道にそれてしまったが、肝心のヒメヨツはどうなったか・・・。

ノリウツギにはかなりの数、それこそ無数とも言えるカミキリが訪花しているものの、コレといった

良い虫にはなかなか出会えない。さらに良い状態のノリウツギを探していると・・・。

ありました。そこには6〜7株のノリウツギが狭い範囲にあり、花の高さがこちらの立ち位置と同じ

か低い位置にあるので、花全体が見えるため、虫の飛来状況がよくわかるのだ。
ノリウツギを上から見下ろすような状態である。

   
さて、ここが先途と腰を据えて粘る事にした。

思ったとおり、これまでに見たノリウツギを凌駕するほどの虫の数。次から次へと虫が飛来してくる

のが手に取るようにわかる。しばらく、やや興奮気味でネットを振るが、ネットインするのは相変らず

今まで見たような普通種ばかり・・・。

少々萎えはじめた頃に、赤い虫が飛んできた。やや大型のアカハナカミキリ?と思ったが・・・

  
きききき・・・キター!!

採るのをほとんどあきらめかけていた

イガブチヒゲハナカミキリ
Stictoleptura igai (Tamanuki,1942)

アカハナというより、むしろオオハナを思わす立派な体格。
これは申し分なくカッコいいカミキリだっ!

   
こりゃ、イケるぞ!とばかりに目を皿のように
して飛んでくる虫を狙う。

赤いのが飛んできた!!

華麗な棒さばきでネットインすると・・・

アカハナカミキリ
Corymbia succedanea (Lewis,1879)

であった・・・_| ̄|○

けっこう立派な個体だったのだが・・・。

   
しかし、しばらくしてまた赤い虫が飛来してきた!!

よく見ていると、アカハナの風に乗るような飛び方ではなく、もっと力強い飛び方だ。

これは間違いない!!
イガブチ、2頭目 キターーー!!

ああ・・・・虫の神様・・・感謝します!!
  
   

 

  
こりゃ、運が向いてきたゾッ!!もしかしてヒメヨツも採れるかもしれない!?


花に来る虫をず〜っと見ていると、目が慣れてどんな虫が来てるのかわかるようになってくる。

ヨツスジハナ系の虫も飛んでくると、すぐにそれとわかるのだが、思ったよりも数は多くない。

採集名人になってくると、飛んでいるのを見ただけでヨツスジかヒメヨツかが判断できるらしい。

しかし、びおすけ程度の者にそんな技があるわけもなく、ヨツスジ系が来たらひたすら掬うのみ。
  
   
   
それ、また来た!!

ネットインして確認するが、どこをどう見ても

普通のヨツスジハナ・・・。

「ああ・・・またか」 指を離して逃がしてやる。

ヒメヨツなどやはり、びおすけにとって夢の虫

でしかないのか!?
    
何頭ものヨツスジハナを確認しては放し、確認しては放しして、どれだけ時間が経ったか・・・。


それ、また来た! 今度こそ頼むぞ!

ネットインして確認する。もう慣れた作業だ。慣れは恐ろしいもので、すでに手はネットの端を持って

採った虫を逃がす準備をしている。 しかし、ちょっと待て!?

ヨツスジハナの小型個体は飽きるほど見てきたが、この個体は今まで見たことが無いくらい小さい。

これはもしかしてもしかするともしかしちゃうんじゃないだろーか!!?

     
逃がす前によ〜く見てみる(この時点でまだ半信半疑)

とにかく小さい・・・体全体の作りが細くて華奢・・・・肢が長い・・・・
   
こ・・・これか!!?  ついに 採ったか!?

ヒメヨツスジハナカミキリ??
Leptura kusamai Ohbayashi et Nakane,1955 ???

しかし、この期におよんでもまだ半信半疑・・・。
 
  
自分が信じられず、追加個体を狙う。

頭の中が整理されていない。確信するためにも追加個体を!!

しばらくして、またヨツスジ系が飛来した。これは見ただけでもその小ささがわかる!

ネットインして網の中を確認する。

先ほどの個体よりさらに小さい!!

その肢の長さは、ぼけた目にも明確にわかるほどの長さだ!

間違いない・・・・・・
     

ヒメヨツスジハナカミキリ
Leptura kusamai Ohbayashi et Nakane,1955

2007年8月・・・・

びおすけ、ついにヒメヨツをゲットする事ができました・・・。

虫の神様、ありがとう・・・・ありがとうございます・・・・・(涙



結果、3♂♂ 1♀・・・




END

 


   
特設 ヒメヨツコーナー
ヨツスジハナ小型個体との比較

  
♂の比較
ヒメヨツスジハナ♂ ヨツスジハナ♂
@腿節
ピンセットでつまんで引っ張ると翅端を少し
越える

A脛節-1
細くて華奢。この部分が黄色いのが特徴

B脛節-2
やや膨らむ程度

Cフ節
細くて明らかに長い。
  
@腿節
ピンセットでつまんで引っ張っても翅端には届かず

A脛節-1
太くて頑丈。この部分が黒い

B脛節-2
張り出して角ばる

Cフ節
太くて短め

   
♀の比較
ヒメヨツスジハナ♀ ヨツスジハナ♀
@腿節
この部分黒い。
ピンセットでつまんで引っ張ると翅端に届く

A脛節
細くて華奢。この部分が黒いのが特徴

Bフ節
細くて長い
@腿節
この部分黄褐色。
ピンセットでつまんで引っ張っても翅端には届かず

A脛節
太くて頑丈。全体黄褐色

Bフ節
太くて短め

 

  

 
    



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