THE INSECT HUNTER
2007
0512+0519
長野

THE INSECT HUNTER 2007


                 





           
0512


    
しづ心なく・・・花の散るらむ。




今年のGW・・・。

その某有名採集地では、いろいろな方々が「あれやこれやな虫」を採集されていた。

例のド珍品カミキリも含め、びおすけ的にはそりゃもう、ヨダレがタ〜〜ラタ〜〜ラな虫ばかりである。



以前より地名は知っていたものの、「人の多さ」に二の足を踏む性格のびおすけ。

距離的な遠さに躊躇した事もあり、行こうと思えば行けるのに、行かないこと数年・・・。

しかし、ようやく遅ればせながら、初めてその地を訪れてみようと思い立った。 



初戦という事で、その有名採集地がどのような場所で、

どのような状況になっているのか?というのを知っておきたいという

下見的な気持ちではあったが、何分、遠くてそう気軽に行ける場所でもないので、

できればこの際、行ったからにはそれなりの成果もあげておきたいところだ。



他の方々の話をお聞きした限りでは、普通なかなか手に入れにくい種類のカミキリが、

意外と容易に見つける事ができるという事なので、この不肖びおすけでも、

それら垂涎の虫ゲットの可能性があるやもしれぬのだ。



しかし・・・・・現実はそう、甘いものではなかった・・・・。
 
 
行きの道すがら、遠くに望む山々に思ひを馳せる。 かの目的地はあの山向こうあたりか・・・?
 
 
もう〜家からすっごい時間かかってるんですが、その

あたりはスッパリと端折っておいてですね・・・。

さくっ!と現地に到着!ほぉ〜・・・ここですかぁ〜。

しかし・・・びおすけが勝手に抱いていたイメージとは

かなり違っていた。 ていうかですね、もっと人里に

近い、あるいは人里のイメージだったんですが、普通

に山間だったんですね・・・。
 
  
探しているのはナシやズミなんですが、花がほとん

ど見当たらない。1週間前は満開だったらしいのだが

一体どうなっているのか?!

勝手がわからずうろうろ徘徊してるうちに、ぽつぽつ

とネットを持って歩く虫屋さんたちの姿が見られるよう

になってきた。て、言うか、びおすけが歩きながら見

落としてきた(?)木に皆様すでに張り付いてます。

  
ナシはともかく、ズミは咲いた木もあるようだが、まだ

つぼみの赤いこれから咲く木が多かった。


その他、アオダモとかコゴメウツギとか咲いてる花を

適当にスイープするものの、コアハナムグリや微小な

コメツキ、ケシキスイなどがいるだけで、カミキリの姿

が全く見られない!う〜ん・・少々焦りを感じ始めた。

   
もっと捜索範囲を広げようと思い、川原まで降りてみた。


 ・・・・が、これといった花も無く、カミキリがいそうな気配も全くない。

仕方なくぶらぶら歩きながら、ふと、脇に転がっている倒木に目をやると・・・ 
キクスイカミキリ Phytoecia (Phytoecia) rufiventris Gautier,1870


「おやっ?キクスイ様〜!」 

本日のカミキリ第一号が、キクスイ様ですか・・・? う〜〜ん、なんだかなぁ〜・・・。
    

  
川原だからきっとタラノキがあるだろうと思って探すと、それはあっさり見つかり、

案の定、ネジロ様が数頭ペタペタと張り付いていた。
ネジロカミキリ Pogonocherus (Eupogonocherus) seminiveus Bates,1873

わはは・・・、やっとカミキリが見つかり始めたよ・・・。


ん?でもコレ何か違くないかっ!? 何でここまで来て近所にもいそうな虫を探さなくてはならんのだ?

お目当てが〜〜違うでしょーーーがーー!!

  
・・・とは言え、こんなにカミキリが採れないと、ネジロ

でも十分嬉しかったりするのだよなぁ〜。うふふ・・。


ハッ!?・・・ああ・・・なんて向上心のない自分・・・。


とにかく、「掬える状態の花」を探さないと!!

う〜〜む。まだ、どこかに咲き残ってる花があってもいいはずだよなぁ〜・・・。

そしてしばらく探索を続け、ふと、斜面を覘いてみると下の方に白い花を咲かせた木が見えた。



 「あ〜!あった!!」

斜面を一気に駆け下りて、その木の根元まで走り寄る。

    

結構、状態の良い白い花! まともな(?)ナシの木ついに発見!


見上げれば、梢の方には虫が無数に飛び回っているのが見える。 

周りを見渡すと、もう花は終わりかけだが、同じナシの木が他にも4〜5本ある。

まわりに人の気配は全く無い・・・!

う〜〜ん!もしかして、もしかするぞっ!



少し風が強いのが気になるが・・・竿を伸ばすのももどかしく、早速花を掬い始めた。

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何回か適当に花を掬い、手元に引き寄せて網の中をのぞくと、多くのハバチやヒメバチ

に混ざり、見覚えのあるピドニアが忙しく走り回っている。 
  

  
セスジヒメハナカミキリ 
Pidonia (Cryptopidonia) amentata
amentata (Bates,1884)


ナシの花から第一号は本種だった。
関東のに比べて、♂でもS紋がかなり太く感じる。
どこでそうだが、ここでも個体数は多く、優占種。
トサヒメハナカミキリ 
Pidonia (Cryptopidonia) approximata
Kuboki,1977


じ・・・実は初採集だったりする・・・。
産地を知らなければ、ミワヒメハナと区別
つかないなぁ〜・・・。個体数は少ない。

  
まともな花が咲いてる木はここくらいしかない。

ここで集中的に採集する。

木の表から掬ったり、裏に回って掬って・・・。

少しインターバルをおいてからまた掬って・・・。

しかし、「来た甲斐があったぁ〜!!」と思える

カミキリがさっぱりネットインしないのだ!

トサヒメハナ以外は、顔馴染みな連中ばかり・・・。

う、う〜〜ん・・・これは一体、どういう事だ!!
シロトラカミキリ
 Paraclytus excultus Bates,1884


ここでも個体数が多く、優占種。
白色タイプも見られるが、黄ばみタイプの方が
数的に はるかに多く見られる。

  
キバネニセハムシハナカミキリ
 Lemula decipiens Bates,1884

やはり本種も個体数が多い。
「賑やかせ」軍団の一員としてはそれなりに
活躍はしているのだけれど・・・。
ピックニセハムシハナカミキリ
 Lemula rufithorax Pic,1901


キバネ同様、「賑やかせ」軍団の一員。
しかし、キバネよりも個体数はずっと少ない。

    
この他には

ヒナルリハナ・ヒメクロトラ・トゲヒゲトラ

トガリバアカネトラなど・・・・。

「わざわざここまで来なくても家の近所で見れる」

カミキリばかり。

「ウソ〜〜なんで〜〜〜?! _| ̄|○ 」

・・・・精神的ダメージはかなり大きい。

   
 

少し気分を変えるため、他の木の花も掬ってみる。もう花は散りかけなので、かなり期待薄。

試しに花を掬ってみると、小さなアブやらハチやら、対象外の虫はちらほらネットインする。

相変らず風が強く、フルに伸ばした竿の先のネットは鯉のぼりよろしく、一定方向になびいてしまい、

決まった位置の飛び出た枝についた花しか掬えない。 こんな状態なのに小さな虫がよくまあ、花に

残っているものだと逆に感心してしまう。

こうなると、たまたま網に入った雑甲虫も採っておきたくなるのが人情というものである。

クロナガハムシ・ヨツモンクロツツハムシ・ツツムネチョッキリ・アシナガオトシブミ・ニホンフトヒラタコメツキ

などなど・・・・

「なんでナシの花に来てるの??」という虫も見られたが、これも強風に吹かれて、たまたますっ飛ばさ

れてきたものだろう。

    
ヒメコエンマコガネ
Caccobius brevis Waterhouse,1875

なぜかこんな虫も花を掬ったら採れた・・・。
モモチョッキリ
 Rhynchites (Epirhynchites) heros
Roelofs,1874


これは美麗。甲虫好きなら食指が動いて
しまうことだろう。

   
 
そろそろ、日も少し翳り始めてきた。 

採集できる時間は残り少なそうである・・・・。

   
 
「ん?カミキリモドキか?」

ネットの底の方にいたちっこい虫をつまんで、目を

細めてよく見てみる。

「ああ!クロツヤちゃん!」

かれこれ28年前に同じく長野のK田高原で採集

して以来の出会いであった。

あの時も白い花を掬って採集したので、ヤマナシ

かズミの木だったのかもしれない。

あの頃は何を採集しても新鮮で楽しかったなぁ〜。
クロツヤヒゲナガコバネカミキリ 
Glaphyra hattorii (Ohbayashi,1954)

 
ふと、懐かしさと切なさが混じった感情がこみ上げ、脱力してしまい、ここらでネットをたたむ事にした。

想像していた以上に、新しいカミキリとの出会いが無く、何とも寂寞とした気持ちが拭えない・・・。


こうして、下見としては良かったものの、成果としては全くだめであった今回の敗因は、出撃のタイミング

を逸した事に他ならない。 やはり採りたいと思った虫を採るには、絶妙なタイミングで出撃する行動力

がモノを言うのだ。 この事を再認識した採集行であった。



     〜 久かたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ 〜   紀友則  




          と言うわけで、また来年チャレンジしましょ〜。



     
・・・と、思ったけど・・・・・(爆



   
     
0519
   

  
(続) しづ心なく・・・花の散るらむ・・・。
    




次の週・・・・なぜか同じ場所に びおすけの姿があった・・・(爆

しかも、なぜか しまちゃんの姿もそこにあった・・・(核爆


   
    
もう、1週間経って散ったものと思っていたカエデの

花がまだ咲いていた。

相変らず風が強くて、掬いにくいが、とにかく掬う。

セスジヒメハナとヒナルリハナがとにかく多く、他に

虫はおらんのか!?とたじろぐほどだ。

   
しばらくスイープを続けるうちに、キバネ・ピック・アカ

イロといったニセハムシハナ系がぽちぽち入り始め、

シロトラ・ヒメクロトラ・トゲヒゲトラ・トガリバアカネトラ

など「毎度系」のトラカミキリも出始めたようだ。

  
ふと我に返ると、いつの間にか しまちゃんの姿が見えない。どこに行ってしまったのだ?

自分も場所を変えようと思い歩き出すと、しまちゃんがどこからともなく出現した。

しま 「採れたよん♪」

びお 「え?何?」

しま 「カエデノヘリグロ♪」
 
びお 「な・・・・なにぉぉぉーーー!?」 

しま 「ほら」

びお 「あ!蓋をあけてよく見せてみぃ〜」

しま 「ダメ。逃げちゃうよ・・・」」

と言うわけで、見えにくいですが・・・

元気よくケースの中で飛び回るリンゴカミキリ似の

虫は間違いなくカエデノヘリグロハナであった。

   
しまちゃんが採ったというハウチワ(?)カエデに案内

してもらうと、そこには早、ネットを振るう虫屋さんが

張っておられた。この場所の常連の方のようなので

後学のために話をうかがうと特に面白い虫は採れて

いないとの事だったが、皆さんが狙っているカミキリ

について色々とタメになるお話を伺うことができた。


   
近くの他のカエデでも別の虫屋さんたちがバトル

を繰り広げているので、スゴスゴと立ち去る我ら。

仕方ないので先ほどのカエデをもう少し掬ってみる

ことにした。先ほどのカエデまで戻り、すぐに掬って

みるものの、ネットインするのは常連様ばかり・・・。

  
しつこく掬っていると、やっとそれっぽいカミキリが

入った。 ここらでは普通種(?)のオニヒゲナガ

コバネ=ピニボラであった。それでもやっとここまで

来た甲斐のあるカミキリが採れた。

とりあえず、よかった〜。

  
ここで徐々に天候が崩れてきて、ついに傘が必要

なくらいの雨が降ってきた。やれやれ・・・。

一時車に避難して、仕方がないので仮眠をとる事

にした。

朝早く起きたせいか、すぐに寝入ってしまった・・・。

ZZZZZ・・・・・・・

  
ふと、まばゆい陽射しに目が覚めて、外を見ると

天気は回復していた。

「うっ!寝すぎてしまった!」

時計を見ると、もう2時頃になっていた。

思いっきり爆睡してる しまちゃんを叩き起こして

もう一度、先ほどのカエデの花を見に行く事にした。

   
カエデノヘリグロポイントに向かって歩いていると

後ろから しまちゃんが追いかけてきた。

しま 「コバネ採れた〜」

びお 「おお!何?」

見るとピニボラの♀であった。さすが しまちゃん、

採れるものはきちんと採りますね〜。

  
カエデポイントに到着し花を見るが、時間のせいか

虫の姿が全然見られない。 とりあえず花を掬うが

案の定、何も入らない。恨めしげに花を見上げてい

ると、「ふわぁ〜ん」と小さな蚊みたいなのが飛び出

した。それを華麗なネットさばきで掬ってみると、

コバネちゃん!一瞬、やった!と思ったが、よく見る

と、コジマヒゲナガコバネであった・・・。

    
ここで、また天気が悪化してきてついに雨が降り出

した。時間も時間だし、ここらでタイムアウトだ。


またもや、はるばる来たわりに成果は芳しくなかった

が、しまちゃんは念願のカエデノヘリグロも採れて

それなりに成果をあげる事ができた。

しまちゃん、お疲れ様でした。


と言うわけで、また、来年チャレンジしましょう〜。
   

     
・・・と、思ったけど・・・・・

   

  
・・・いや、今度はホントにまた来年です・・・(爆
    

THE INSECT HUNTER 2007
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