THE INSECT HUNTER
2007
0310
神奈川

THE INSECT HUNTER 2007


                 

           
凍った世界

      
携帯が鳴る。
着信音はリア・ディゾンちゃんの
『Everything Anything』

びお 「おはよす」
るど 「おはよす。到着したよ」
びお 「早えぇ〜・・・」
るど 「適当にぷらぷらしてます」
びお 「あい〜。景色でも眺めて
    てください」
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携帯が鳴る。
着信音はリア・ディ(以下略

びお 「おはよす」
しま 「おはよす。到着したよ」
びお 「早えぇ〜・・・」
しま 「適当にぶらぶらしてます」
びお 「あい〜。もう、るどちんもいるはずだよ」
しま 「森の方から『掘る音』が聞こえます」
びお 「もうすぐ着くから」
-----------------------

うめ 「みんな相変わらず早いね〜・・・」
びお 「ほんとだねぇ〜・・・」
うめ 「俺らみたいにのんびりしてると先を越されるねぇ〜」」
びお 「ほんとだねぇ〜・・・」

で、のんびり二人組みがやっと到着したのは、神奈川県某山。
二人の狙いはホソツヤルリクワガタとコルリクワガタ。
車を停めて車外に出ると、キーンと冷たく凍った山の風が頬に心地よい。
見覚えのある作業着姿の人がそこにいた。

しま 「おはよす〜」
びお・うめ 「お〜。しまちゃん。おはよす」
しま 「材、カッチカチですよ」

そこに見覚えのある眼鏡姿の人がぬぉ〜と現れた。

るど 「おはよす〜」
びお・うめ 「お〜。るどちん。おはよす」
るど 「材、カッチカチですよ」
びお 「何か採れた?」
るど 「オサたくさん」

るどちんが手に持つ「毒ペットボトル」を見ると底の方が黒く見えた。
初めての場所にもかかわらず、もうこんなに・・・・。さすがです・・・。

うめ 「やっぱり先を越されたねぇ〜」
びお 「ほんとだねぇ〜」
うめ・びお 「わはははははははははははは」

笑ってる場合じゃない。自分らも早速身支度を整えて山に分け入る準備をした。
   
   
ブナ林に入ったところで適当に
4人散って採集を始める。

恐れていた積雪はなかった。
やはりこの暖冬のおかげで
あるが、本来であればけして
歓迎すべき事ではない。

まずはホソツヤ材を探してみる。

   
けして数は多くないが、産卵痕
のある材がポツポツと見られる。

材的にはホソツヤ材であるが、
地面に直接落ちてるものが多く、
一応削ってはみるものの、そう
いった材には何も入ってない。

早くも嫌な予感がしてきた・・・。

  
フレークにも目を向けてみる。
しまちゃんや るどちんが言った
とおり、材は凍ってカッチカチ。

十字鍬を振り下ろすと
「カキィィィィーーーーーン!」
と透明な金属音が林内に響き
渡る。何度か鍬を入れたところ
で運良くオサムシが出てきた。
    
ホソアカガネオサムシ
Carabus (Carabus)
vanvolxemi vanvolxemi
Putzeys,1875



この場所ではかなり個体数が
多く、優占種のようである。

凍って湿った状態で出てくると
真っ黒く見え、一瞬コクロナガ
系のオサに見えることも・・・。

しかし、乾いてくると本来の
「アカガネ色」になるので、
本種と知る事ができる。

  
さらに オサムシを得ようと
倒木の樹皮を剥がしてみる。

ん?コガタ?キイロ?
あまり見覚えのない小型の
スズメバチが出てきた。
いつもならそのまま埋め戻す
のだが、しまちゃんがいるので
一応取り置きしておく。

後にしまちゃんに聞いたところ
ホンシュウキオビホオナガ
という種類らしい。
     
   
全く樹種不明の材を削って
いると、ちんまくて平べったい
甲虫がわんさか出てきた。

材がまるまるこの虫に占領
されているようだ。
   
デバヒラタムシ
Prostomis latoris
Reitter,1889




「ニセクワガタカミキリ」に
似ていなくもない?

もう少し大型であれば人気
のある虫になれたかも?

  
さて、肝心のホソツヤルリで
あるが、さっぱり姿を拝めない。

産卵痕はあるにはあるのだが、
「もぬけの殻」ばっかりである。

コルリ材は完全に凍っており、
地面から「バリッ!」とはがす
感じ。だがホソツヤ同様、何も
出てこない。幼虫ですら・・・。
     
    
かなりの急斜面を昇り降りするの
で足と腰がカクカクしてくる。
斜面の下方に うめちゃんの姿が
見えたので声をかけてみる。

びお 「どう?」
うめ 「少ないね〜」
びお 「あ、でも採れたん?」
うめ 「うん」

おお〜!さすがである。

   
採集ケースを見せてもらうと
しっかりとホソツヤ♂が。

うめ 「もう1頭、ちょっと色が
    変わってるんだけど・・・」

  
どれどれ・・・?

びお 「あっ!金色?」

体色が♀のように金緑色に
なった♂だ。

こ・・・これが噂の
『黄金ホソツヤ』なのか!?

   
またちょっと気合を入れ直して
探してみるものの・・・・

どうしても
「虫入り」の産卵痕材を見つけ
る事ができない・・・・。

 
精魂尽き果て、山頂前でついに
へたりこむ。

時に るどちんはどうしてるか?
携帯にかけてみる。

びお 「もしもし?どう?」
るど 「ホソツヤ幼虫ばかりで・・・
    今はしまちゃんとオサ掘って
    ますよ。けっこう出ます」

    
るどちん、ホソツヤ捜索を断念した
ご様子。今日はオサに集中する
気になったようだ。

こっちはうめちゃんと山頂に向かい
別の場所でホソツヤ・コルリを狙う
ことにした。
 
    
ホソツヤ材を探して歩くうめちゃん。

ホソツヤ材としては有望なアブラ
チャンが多いので、数もそこそこ
いるはずなのだが・・・・。

産卵痕はあれど、姿は見えずの
状態が続く・・・。
 
  
そんな中、さすがはうめちゃん。
しっかりと♀2頭をゲット。

採集の腕の差を見せつけられ
た。こうなるともはやホソツヤは
うめちゃんに託す他なし・・・。

しまちゃんから連絡が入った。
こちらに向かうとの事で、現在地
を告げて、しまちゃんの到着を
待つ。そして間もなく合流。
  
    
オサ入りフレークを探す しまちゃん。

ホソツヤは自分同様ダメで、その
代りオサは、ホソアカガネ、クロ、
ルイスがそこそこ採れたとの事。

状況を聞いてまたそれぞれ採集に
戻った直後・・・・
   
  
しま 「マイマイキターー!!」

びお 「まぢ!?」

しまちゃんの雄叫びを聞いて、駆け
つける。そこには黒いヒメマイマイ。

びお 「さっすが〜!素晴らしい!」
しま 「こんな場所にいるとは・・・」

       
しまちゃん、どこに行っても必ず
マイマイをゲットする。さすがだ。

そんなしまちゃんに

「マイマイ・マイスター」

の称号を捧げたい。

  
朽木を崩すと越冬窩の奥に何か
の脚だけ見えることがある。
オサムシかと思ってワクワクしな
がら取り出してみると、ヒメバチ
だったりする時がたまにある。

産卵痕だけのホソツヤ材だった
時と同じくガックリする瞬間だ。

   
うめちゃんはホソツヤ、しまちゃん
はマイマイ。

そんな中で びおすけは・・・・。

こういった状況で焦りが出ると
ますます何を狙っていいのかが
わからなくなり、ますますドツボ
にハマッてしまうものだ・・・。

   
うめ 「こんなの出たよ。いる?」

ヒメナガキマワリ
Strongylium impigrum
Lewis,1894


普通種だけど、脚の長いゴミダマ
系は びおすけの好む虫である。

ありがたく頂戴する。

  
あいかわらず産卵痕だけは
目に付くのだが・・・。

もうこうなると完全にお手上げ
状態である。

みなさん、そろそろ戻る方向
で・・・。

   
山を下っていると、林内を徘徊する
るどちんの姿があった。

ホソツヤは残念ながらだめだった
ようだが、オサはたくさん採れた
ようだ。

ここでもホソツヤ材ではなくオサ材
を見つけているご様子・・・。

またオサムシアパートを見つけた
ようだ。

  
びおすけも同じ材の別の位置を
崩させてもらうと、今日初のルイス
オサが出てきた。

材は相変わらずカッチカチで中ま
で凍ってる。そしてルイスも氷結
状態のようだ。

それにしても、このような状態で
一冬越すとは、なんと逞しい生物
であろうか。

   
ルイスオサムシ

Carabus (Ohomopterus)
lewisianus lewisianus
Breuning,1932



自分が採集した個体は標準色
の体色であったが、るどちんが
採集した中には緑色の強い
個体も見られた。

  

今日はどうにも「虫から見放された日」だったようで、これといって成果がなかった
びおすけ。
でもしばらくぶりに歩いたブナ林は、日常を一瞬忘れさせてくれる清涼剤となった。

同行メンバーにはそれぞれ成果があり、これまた何よりであった。
メンバーの皆さん、お疲れ様でした。 また行きましょう。

    
     
    
    

THE INSECT HUNTER 2007
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