THE INSECT HUNTER
2002
1103
   
神奈川
THE INSECT HUNTER 2002


    
    

■ 久々の採集



秋風も涼しく、朝晩は冷え込むようになってきた。

前回の採集は9月の中旬であったから、もう、ひと月半も採集に出かけていないことになる。

おかげで体もだいぶなまってしまった。


今回は、以前からお会いしたいと願っていた方と採集に行けることになり、

すごく楽しみにしていた採集行である。


その人とはP.Kawadaiさんである。





■ P.Kawadaiさん


P.Kawadaiさんは知る人ぞ知る甲虫採集家であり、「ホソツヤルリクワガタ」の発見者として有名な方である。

そもそもそのハンドルネームがホソツヤルリの学名”Platycerus kawadai”からとられていることから、

その、虫に対する自信と誇りが伝わってくるというものだ。


そのような人とまさか自分が採集をご一緒できるとは、まるで夢のような話である。

採集にご一緒させていただくに当って、「何を採りに行きますか?」という話が出たのだが、

それは、もう、時期的なこと考えても、「ホソツヤルリクワガタ」に決まりである。


実は自分はお恥ずかしいことにホソツヤルリを採ったことがない・・・。

そんなドシロウトが、その発見者の方と初採集に挑戦するとは、あきれた話だが、本人にしてみれば

これ以上幸せなことはなく、身に余る光栄である。


ちなみにP.Kawadaiさんは当HPからリンクさせていただいている「カミキリ情報館」BBSの管理人を

されているので、興味のある方はどうぞ遊びにいってみてください。





■ 「P.Kawadaiさんと行くP.kawadai採り放題ツアー」


今回の採集、当初二人の予定であったが、こんなチャンスめったにないということで、

毎度の るどるふさんにも声をおかけしたところ、参加希望!ということになり、

さらにるどるふさんのいつもの相棒のr.matsudaさんも参加!

るどるふさんはこの人を「相棒」なんて呼んでるけど、

実際はるどるふさんが甲虫にハマるきっかけを作ったのがr.matsudaさんなのだ。

この方も知る人ぞ知るクワガタ界の第一人者である。


また、P.Kawadaiさんと一緒に参加されることになったKANさん!この方もカミキリ界では凄腕採集家

として知られる人で、各地で珍品を落としているカミキリ界のスーパーサイヤ人である。



・・・・・・いやはや、たいへんなことになってしまった。この道の第一人者ばかりで、

その中にポツンとひとり素人=私がいる絵である・・・。


どうしよう・・・。


とにもかくにも、この錚々たるメンバーで

『P.Kawadaiさんと行くP.kawadai採り放題ツアー』

は決行されることとなった。





■ ホソツヤルリクワガタ


ここで、「ホソツヤルリクワガタ」とは何かを簡単に説明しておく。


それまで1種と思われていたルリクワガタの中に別種が含まれていることが判明したのが1969年。

この新種はコルリクワガタと命名された。


さらに1982年にルリでもコルリでもない種類が山梨県下でP.Kawadaiさんによって採集された。

これが、そのホソツヤルリクワガタで、当時第三の種発見ということで話題になった。


その後、1987年にはニセコルリクワガタが追加され、ルリクワガタ属は4種を含むことになった。


中でも、ホソツヤルリは全身に強い光沢を持つ、独特の種類であった。

4種の中でも分布域がもっとも狭く、東京都・神奈川県埼玉県・群馬県・静岡県・長野県・山梨県下で

局所的に発見されている。


自分はルリクワガタとコルリクワガタしか採ったことがなく、

ホソツヤルリは一度是非採集してみたいと思っていた種類である。


この時期はすでにホストの材の中で羽化し、成虫の姿で越冬体制に入ってるはず。

ホストはブナ・ウツギ類・アブラチャンなどの立枯れだそうで、それらを狙っての採集となる。

   


   

今回の目的地は神奈川県の西端の山である。

びおすけ号で高速道路を乗り継ぎ、国道へ降り、ひた走ること

2時間。やや早めに集合場所へ到着した。


天気は申し分ないが、気温が5℃とやや寒い・・・。
      
   

先に到着していた るどるふさんとご挨拶。

談笑しながら、るどるふさんが書かれた記事が載った

「甲虫ニュース」を拝見。

るどるふさんもこうして雑甲虫にはまっていくわけで・・・。

るどるふさん初記事おめでとうございます!
    
   
そうこうしているうちに参加者が全員集合した。

P.KawadaiさんとKANさんは途中寄り道をして、早くもコルリクワガタをゲットされていた。

いやはや、なんとも・・・である。

しばらく雑談しながら過ごしたが、そろそろロープウェイも動く時間になり、採集支度を整え、いざ出陣である!
   
みなさん、採集経験豊富な猛者ばかりなので、余裕の表情だけど、びおすけひとりが緊張している模様・・・。
  
             

某山の頂上に向かうロープウェイ。

その頂上から隣の山までが今回の採集コースであるが、

話によると歩きがけっこうキツイらしい。

運動不足のびおすけ、はたしてこの試練を乗り切れるのか?
  

              

頂上に着くと、下界とは天候がまるで違う。

風が強く、しかもガスっていてチョー寒い!

一瞬、もう帰りたくなったが・・・・。



P.Kawadaiさんを先頭に出撃開始!
              

途中、P.Kawadaiさんから採集に関するレクチャーなど伺い

ながら、ひたすら歩く。


植生としてはウツギ類が多く、ホソツヤルリはこれらに好んで

つくということだ。
   
           

さて、そろそろホソツヤルリのいそうな環境になってきたと

いうことで、各人手斧やらナタやらの凶器・・・ではなく採集

道具を取り出して周辺を探索し始める。 

しばらくして、るどるふさんが産卵痕付きの材を発見するが、

割ってみると幼虫しかいなかった。
     
       

また、少し先に進むとmatsudaさんが産卵痕いっぱいの材を発見。

しかし、割れども割れども幼虫ばかりで、成虫の姿は見えず。

他のメンバーも良さそうな材を見つけては割るものの、成虫の姿が見えないという。

でも、やっぱりいるんだホソツヤルリ!

・・・・ていうか、おいら材すら見つけられないんですけど・・・。

ただそこいらをウロウロと徘徊するのみである・・・。
   
             

また、少し先へ進み探索を開始する。

しばらくして「出た!」というP.Kawadaiさんの一声が!


おおおおお!さすが発見者!

早速写真を撮らせていただく。

う〜む。はじめて生きてる姿を見た。ホントに光沢が強い細身

のルリクワガタである。
             
  

ふむ。この立枯れか・・・。

上の方にも産卵痕がまだある。

P.Kawadaiさんが「この辺削ればいるよ」と

言って、サクッと削ると、あら!ホントにいたよ〜!!

       
       

おおおお!メスだな、これは?!

P.Kawadaiさんから譲っていただけるということで、ありがたく

頂戴いたしました。


びおすけ、ホソツヤルリ初ゲットである!

   
   

ちょい紫がかった色の小さなメス。

よし!次は自力でオスをゲットするぞ〜!
   
    
  

この立枯れを倒してみると、そこにはホソツヤルリの特徴的

な産卵痕が。

P.Kawadaiさんがちょっと削ってみてからすぐに移動した後、

KANさんがこの材から数頭割り出した。

いわゆる「開放台」採集!

う〜ん、合理的!
  
    

しかし、様子を見てるとホソツヤルリの材の見極めがよくわか

らなくなってくる。

右の矢印のところみたいにしょぼい場所ににも産卵痕がある

し、さっきのように太目の立枯れにもある。

また、指の太さくらいの細い材からも採れるという。
   
          
ルリクワガタとかコルリクワガタだと、なんとなくこんな材、というイメージが湧くのだが、ホソツヤルリは樹種や

材の大きさには、ほとんどとらわれず、その朽ち方自体にポイントがあるようだ。

ややグレーがかった腐朽材が良いようだが、これも一概には言えないという、

なんともポイントの絞りにくい虫である。

       

これはアブラチャン。

特徴的な樹形から比較的わかりやすい樹種である。

別名、matsuda材と言われ(笑)、matsudaさんが大好きな

材である。

るどるふさんもこの枯枝からホソツヤルリを3頭ほどサクッと

割り出していた。

         

それにしても、自分はいまだに産卵痕すら見つけられないでいる。

産卵痕がなくてもいる材にはいるのだが、自分が割る材からはアブやらコメツキの幼虫しか出てこない。


他のメンバーはさり気にサクサク出してるのに〜、と考えるとあせってしまう。

P.Kawadaiさんから山頂まわりが濃いポイントだと教えていただき、全員山頂に向けて歩き出した。


しかし、予想以上のきつい登りであった。

他の登山客を見渡すと意外にも年配の方が多く、しかもスタスタと登っていらっしゃるのには脱帽した。

自分が日頃いかに運動不足かが身に沁みた。

      
      

大小の石が転がり、土の部分はドロドロという感じの道は

最悪!途中何度休憩した事か・・・。

山の反対側から登るルートはさらにキツイということだが、

おいらは絶対登りたくないなぁ。

もはや、翌日の全身筋肉痛確定である・・。
     
  

どうやらこうやらP.Kawadaiさんと二人で山頂にたどりつくが、

他のメンバーの姿が見えない。

あとで聞くと途中の道で採集していたようだが、先に昼食を

すませることにした。

しかし、じっとしてるとメチャクチャな寒さである。

吐く息も凍りそうである・・・。
      
 

飯を食いながら、背にしていたウツギを見てP.Kawadaiさんが

いい感じだなぁ〜とナタを入れると、ゴミムシダマシがポロッ

と出た。

P.Kawadaiさんが「おおおおお!」と叫び、

見せていただくと以前から欲しかった種類でルイスマルムネ

という珍品であるそうな。
     
  

山頂周辺はウツギやアセビが多いが、どれも背丈が低いので立枯れの先端部が崩しやすく、また、ホソツヤ

ルリの生息密度も高いということでとても良いポイントらしい。

自分も近くを探索してみたものの、当然のように見つけることができない。

ううう〜ん、なぜだ?

P.Kawadaiさんがホソツヤルリを2頭ほど採って戻ってきた。

自分は全然だめと言うと、「例えばこんな感じの・・・」と言いながら近くにあったウツギの枯枝をポキリと折って、

「こういう材に」と言いながら裏返すと、驚いたことにそこには産卵痕がびっしりと・・・。


割ってみるとちゃんとホソツヤルリが入っていた。

「なんでやねん・・・」

もはや言葉がない・・。
  
        

成す術もなく、もはや一登山者と化した自分は、まわりの

景色を眺めて楽しむのみ。

おおお、ロープウェイの駅が見えるぞ。

あそこから来たのか!

あはははははは・・・。
   
    
おおお、絶景、絶景!





あははははははは・・・・・・・・・・・・。

         

ロープウェイの時間に合わせて、採集しながら下山を始めた。

帰りはさすがに全員が疲れたようで、成果はあまりあがらなかったようだが、無事ロープウェイの駅に到着。

強風のため、ロープウェイの最終便が定刻より早まったが、なんとか時間に間に合い下山できた。

成果としては、KANさんの二桁をはじめとして、全員合わせて30頭ほど採集できたので、全体としては

大成功であったと思う。

自分は結局自力ゲットが成らず、P.Kawadaiさんに

「初めてでは仕方ないよ」

と慰めていただいた上に、オスを1頭分けていただいた。

トホホ・・。
    
    
というわけで、これが初めて手にした

ホソツヤルリであります・・・。



P.Kawadaiさん採集のP.kawadai ・・・。

            

帰りは予想通りの大渋滞にはまってしまったが、途中サービスエリアで「談話会」をしてから解散となった。

今回はたいへん貴重な体験をさせていただいたと共に、また自分の未熟さを思い知った採集行でもあった。


ホソツヤルリ採集の奥の深さには、とまどいすら感じたがこれを糧に次こそは自力ゲットを目指したいと思う。



みなさん、お疲れさまでした〜!
   
    
   
本日の成果  ホソツヤルリクワガタ 2exs.(もらいもの・・・)
         ルイスオサムシ 1ex.
         ツヤヒサゴゴミムシダマシ 1ex.
         モリヒラタゴミムシの1種 1ex.
         

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