THE INSECT HUNTER
2002
0718
   
群馬
THE INSECT HUNTER 2002

  

    


さあ、いよいよ この時がきた!恒例の玉原夏の陣である。


思えばGWにコルリを狙った時は惨敗したが、その時の心の傷はすでに癒えた・・・。


前回とは違い、「完璧なNull」はありえないとは思うが、こと採集においては何が起こるかわからない。

天候、体調、そして時の運の良し悪しなどに左右される場合が多い。


毎回どこに行ってもそうなのだが、自分は採集行の際、特に「これを狙って!」という目的を持たずに

出かける場合が多い。

つまり、「何でもいいから採れればいいや。エヘヘ・・」状態なのである。



ウラを返せばそれだけ未採集種および欲しい種類が多いということなのだが、

「その場所にはどういう虫が生息しているのか知りたいがために採集する」

というのが私の基本スタンスなので、とにかく限られた時間内で多種多様な種類を採集したいのだ。



しかし、そうなると、逆に的が絞れずあっちもこっちもという状態になり、

挙句はロクな結果につながらない、良い成果が得られない、ということを繰り返しているような気もする。



私の知っている採集家の方々は、皆さん「○○を採りに行く」という目的意識をはっきりと持って

いらっしゃる。そしてそれなりの成果を上げて凱旋されている。



う〜ん、私にもそろそろ意識改革が必要なのかもしれない・・・。

・・・・・でも・・・・今回も・・・とりあえず・・・・採れればなんでもいいや(笑)


と、このように弱気とも投げやりともとれる志を抱きつつ、一路玉原へと向うつもりであったのだが・・・・・。




決戦前夜、突如一通のメールが届いたことにより、状況は一変する!
 

         


それは、るどるふさんからの「トラフホソバネ茨城にてゲット〜!」の一報であった。





その衝撃で一瞬、危うく自我崩壊しそうになったが、なんとか持ちこたえた。

トラフホソバネカミキリ・・・・。カミキリ愛好家の超憧れ・・・

それを、まあ、例によってあっさりと・・・・。


これは、ハッキリ言ってヤバイ。

やはり、何となく出かけるのではなく、何か目標を立てねば

こういった「珍品系」あるいは「未採集種」は採集できないのではないか?


とは言いつつも、自分にはるどるふさんほどの腕も運もない事は承知しているので、

いきなり、いるかいないかわからない種類を目標にしても無駄である。

そこで、すでに採集してはいるものの、追加が欲しい種類にターゲットを絞ってみた。



ターゲット1: オオホソコバネカミキリ(通称ソリダ)の♀をゲットするべし。

ターゲット2: マダラゴマフカミキリ(通称ポエキラ)の♀をゲットするべし。

ターゲット3: オニホソコバネカミキリ(通称ギガンティア)の完全品をゲットするべし。

ターゲット4: ヒメハナカミキリ類(通称ピドニア)を捨てずに採集するべし。

ターゲット5: ナガゴミムシ類(通称プテロ)を何でもいいからゲットするべし。


・・・・をいをい、ターゲット絞れてないじゃんよ、という声も聞こえてくるような気がするが、

以上5つである。




まず、ソリダはなぜか♂には出会うのだが、♀は2度しか見たことがない。

そのうちの1度は、みっともなくも取り逃がしているので、追加の標本が欲しいのである。



ポエキラも同じく、♂の標本が1つあるだけなので、♀が欲しいわけだが、

♂でも採れれば超ラッキーである。



ギガンティアに関しては後述するが、不完全品を1頭持ってるだけなのだ。

しかもその後10年通ってNull という強敵である。

ちなみにギガンは玉原ではなく別の場所で狙う。



ピドニアは言うまでもなく、分類の難しい種群なのでとかく敬遠されがちな上に、

似たような種類が多いので、「あっ、これ持ってるわ」と勘違いして逃がしてしまい、

後で思えば別の種類であった、なんて事が起きがちである。

であるから、目に付いたものはとりあえず全て採集しておこうという魂胆である。



最後のプテロはこれもピドニアと同じく分類が難しい虫で、できれば避けたいのだが(笑)

1度玉原で採集した種類(たぶんベーツナガゴミ)との比較標本が欲しいのである。

さらにニッコウオオズのようにカッコイイ種類や、カタシナナガゴミのように玉原近辺の地名が

ついた種類もある。


有名なところでは横浜の鶴見川だけに生息するヨコハマナガゴミもプテロの仲間である。



・・・と、このように今回は己の欲望剥き出しの採集になるわけだ。


もはや、今回ばかりは自分の基本スタンスなど知ったことではないわ。


          うはははははは!

      

     

020718



本来なら、朝いつもより少々早めに起きて、その日のうちに玉原へ着けばいいや、という

感じなのだが、この日は例のメールを見てしまったがために気持ちが昂ぶり落ち着かない。

プテロはルッキングだけのつもりだったが、久方ぶりにトラップを掛けてみようと思い立つ。

要は特製アルコールジュースを紙コップに入れて、それを地面に穴を掘って埋めるというヤツだが、

急に作る気になったので、準備がされていない。


本当は黒ビールをベースにして作るといいのだが、

あり合わせの日本酒に黒砂糖を入れて煮込んでみた。

こんなんでうまくいくのだろうか・・・。


すっかり目も冴えてしまい、もはや朝まで待てない!

というわけで、夜中の1時に出発とあいなった。

道路はたいへん空いており(当たり前か・・・)

あっという間に関越自動車道に乗ることができた。


途中、某SAに立ち寄り、夜間採集?を行なう予定である。

以前から、玉原へ向かう途中、練馬〜沼田間のSA、PAに一通り立ち寄ったが、

なぜかこのSAが一番虫が多いようだ。

真夜中の2時半頃、某SAに到着。こんな時間に虫は来ているのだろうか?
      
    

おそるおそる灯火の見回りをはじめると、虫の死骸がけっこう

落ちている。

おそらく野良猫の餌食になったものと思われるが、カブトムシ、

コクワガタ、ノコギリカミキリ、ウスバカミキリなどの残骸が散っ

ている。

ふと、舗装の上に目をやると・・・・

いたいた!ミヤマカミキリだ。
        
  
さらに、照明の柱、高さ2mくらいの所になにやら黒い影が・・・

ジャンプ一発、手づかみでゲット!

おおお、サビカミキリだ。

かれこれ、20年ぶりの採集である。

       
  
なんだか、幸先良さげな感じ♪

さらにこのあと、クロカミキリやタケトラカミキリ、コガネムシ系などを採集したが、自販機の明かりをのぞき

こんでいると、人から変な目で見られているのに気づき、自販機荒らしと間違えられたらつまらんっ!

ということで、この場を立ち去ることにした。

普通、自販機の裏側とか下側なんてのぞかないもんね(笑)


再び本線に戻り制限速度を守りつつ途中ガソリン補給しながら、沼田ICを降りたのは4時前くらいであった。

今日は、まず、ギガンティアを狙うため、玉原へは向かわず、片品村方面へ突撃開始。


途中の川場村に道の駅ができたという話を聞いていたので、そこの灯火はどうかと思い立ち寄ることにした。
           
   
「道の駅」に着いてがっかり。

明かりは自販機とトイレくらいしかない。

見つけたのは、このアカアシクワガタとドウガネブイブイだけ。


リリースして、目的地へ車を飛ばす。
         
 
目的地の少し先に夏場は使われない駐車場があり、そこの

看板の照明に居残り組の虫はいないか見に行くことにした。


駐車場に到着した頃、うっすらと夜が明けてきた。


う〜ん、良い天気になりそうだ。
       
       

まあ、ここの明かりには期待していなかったのだが案の定。


大量のガに混ざって1頭小さなミヤマクワガタの♀がいた。

一瞬毒ビンに入れようかと思ったが、あまにも可愛い大きさ

なので、リリース・・・。
   

       

駐車場でかなり早めの朝食を食べた後、いよいよ目的地へ車を走らせる。

頭の中にはギガン君がクワの葉の裏側に後脚をぶら〜んと下げて

とまっているイメージがすっかり出来上がっているのだ。
 


      

目的地直前に伐採された木が置かれた土場を発見。


よし、前哨戦だ。とりあえず、見てみよう。


場所柄、クワが多い気がするが、その他の雑木も何種類か

あるようだ。
       
   
おっ、早速発見。

う〜む、シラオビゴマフケシカミキリか・・・。


もう少し、イイのはいないかね?
   
       
むむむ・・・・、なんだ・・・。

ヒメヒゲナガカミキリか・・・。


がっくし・・・。
     
          
うひゃぁ、ゴマフカミキリか〜。

いわゆるタダゴマフである。



とっとと逃げてくれ!

            
  

この他にも、エグリトラカミキリ・キスジトラカミキリ・キボシカミキリ・ナカジロサビカミキリなどがいる程度・・・。

これじゃあ、自分の地元で採集するのと一緒じゃないか!

所詮、自分にはこの程度がお似合いってことか〜?

うううううむ、嫌な予感・・・・。


そんな負の思念を振り払いつつ、現場へ到着。
    
     
 
  
ここですよ、ここ。

思い起こせば10年前・・・・。

ここでアレをゲットしたのだったなぁ。



以下、思い出話・・・・
 
           

ここにはかつて、御神木があり、そこで自分はギガン君をゲットしたのだった。


葉の表側にとまっていたそれを見つけた時は、それこそ心臓が止まるかと・・・。


そして、スローモーションのようにネットが振られ、見事にネットイン!


やった!ついにやった!ギガンティアを我が物としたのだ〜!


高鳴る心臓を抑えつつ、ネットの中をのぞきこむ。んん?何か様子がおかしい・・・?


逃げようとしないぞ。なぜじっとしてる?ネットの底にコロンと転がるそいつ・・・。





「死んでる・・・」





うわわぁぁ〜!!なんてこった!

カビにやられてる!


僕の毒ビンに入れる前に、もうすでに死んでるじゃん!

うわぁぁぁ!しかも脚取れてるし〜!



ああああ、キミの生きてはねまわる姿が見たかった・・・。



この時の至上の喜びから奈落の底に急降下した時の落差の激しさが、

いまだにトラウマとなって残っているのだ・・・・。



その後ギガン君の生きている姿を求め、通い続けて早10年。

数年前にはその時の御神木も切られてしまい、もはやだめかとあきらめながらも、

もしや・・・?という儚い望みを抱いて通ってしまうあきらめの悪い自分・・・・。


         
    
昔、御神木があった跡地・・・・。


こんなしょぼい作物植えるために・・・(泣)



返せ〜戻せ〜!


ボクの御神木ぅぅぅ〜!
     
          
ちなみにその時のギガン君です。

ほぼ発見時のままの姿で、軟展はしていない・・・。



なんだか壊れそうでコワイ。
     
         

さ〜て、思い出話はこのくらいにして、早速探し始めるとするか。


周辺のクワの老木のまわりをウロウロしながら、葉っぱを一枚一枚見ていく単調な作業。


ああああ、早くこのトラウマから開放されたい!
      
 
                  
葉っぱを見上げる首が痛くなってくる。

ああ、それにしても朝からこの暑さはいったいなんなんだ?

た・・・・たまらん。

睡眠不足も手伝ってか頭がボッ〜としてくる・・・。
       
   

たまにハッ!と我に返る時がある。


こういうヤツらを見つけた時である。


あああああ、なんてまぎらわしいヤツだ!



あっち行っちゃえ!
             
   

5時半くらいから始めたこの作業も、気づけばもう、10時になろうとしている。

こりゃ、あかん。


少し目先を変えないと狂ってしまう。

よし、武尊に行ってみよう。何かいるかもしれないし。
   
     
 
           
ものの30分ほどで牧場の駐車場に到着。


ああ、山はいいなぁ〜。生き返るよ、ホント


気分転換には最高です♪
       
       
ヤマオダマキが高原らしさをかもし出している。


実に見ごたえのある花だ。
                 
  
道端に咲くヤマブキショウマ。

画像ではわかりにくいが、けっこう虫が集まっている。


でも、意外と甲虫は少ないようだ。
          
  
カミキリはこのヤツボシハナカミキリとか、

他にはヒメアカハナカミキリがいたくらい。
          
  
少し奥に入ってみる。


沢沿いにピドニア君の好きそうな花が咲いている。
            
  
トリアシショウマにはピドニアが多い。


何種類か訪花しているようだ。
                 
  
アサマヒメハナカミキリ


個体数は一番多いような気がする。


それにしてもピドニアの撮影は難しい。


動きが速く、非常に敏感だ。
              
 
ムネアカヨコモンヒメハナカミキリ

アサマに似ているが違う。



他にはチャイロヒメハナ、フタオビヒメハナ、セスジヒメ

ハナ、ナガバヒメハナ、ホソガタヒメハナなどがいた。
        
   
ピドニア以外ではニンフハナカミキリがいたくらい。


これも個体数が多い。
        
   

一通りのピドニアを撮影&採集し終えると、すでに午後1時近くなっていた。

そろそろ戻ってギガン探しを再開するか・・・・。
    

  
      

   
さあ、ギガン探し再開!


気が狂いそうに暑い日差しの中をトボトボと歩き回る。


もはや、採集ではなく修行に近いものがある・・・。
        
     
そして、午後3時頃、ついにノックダウン!

ヘロヘロ&グロッキー状態で、今一歩で「おむかえ」が来るところであった。

もはや、これまで・・・。





仕方ない・・・玉原へ向かうとするか・・・。
    

     
ひたすら玉原へ向け、車を走らせる。


そろそろ近づいてきた。

17番カーブからの眺め。


今年も来てしまったなぁ〜・・・。
   
           

玉原に到着したのが、午後4時ごろ。

またまたお世話になるペンションに直行し、挨拶して荷物を運び込んですぐにブナ林へ突入。

明るいうちに例のプテロ用トラップを仕掛けねばならぬのだ。


今回はとりあえず、14個仕掛けた。

なぜハンパな数かと言うと、これ以上、仕掛ける体力と気力がなかったからだ(笑)


普通は何百という単位で仕掛けるんだけどね。

場所的には湿ってる方が良いかと思い、沢沿いに点々と設置してみた。
 
      
  
こんな感じ・・・。

お願いだから何かかかってほしい・・・。


(注: 尿検査ではありません)

               

トラップを仕掛けた後、残る体力を振り絞りブナ林内の下見を

始めた。

とりあえず明日のためにポイントを絞っておかないといけない。

当たり前だが、すっかり緑に覆われているので、林内は早くも

暗くなり始めている。


急がねば・・・・。
         

以前に比べて立枯れの数が減っている。
しかも、「おいしそうな」立枯れがあまり
見当たらないのだ。

狙いは「ソリダ&ポエキラ」である。

しばらくして、良さげなブナを見つけた。

進む方向から見ると普通の生木に見えた
が、ふと後ろを振り向くとちょっとイイ感じで
ある。
             
はるか上の方には枝葉もついていることから、

半枯れであることがわかる。


どれどれ。近くで様子を見てみよう。
        
  
うう〜ん、いい感じ。

んん?あれ?いるよいる!何かいる!



次の瞬間、ネットをあてがって、中にポトリと落とす。
       
   
おおおおおおおおっ!

出たぁ〜!ソリダじゃぁ〜!!


疲れきった体に突然生気が甦る。


ぬおおおおっ、やったぜ!

でも・・・・♂だ・・・。

小さいし・・・・。
     
       
だけど記念にもう一枚。

上の画像がブレたので、ストロボ使ってみました。




林内はもうけっこう暗くなっているのだ。
             
   
あああ、よかった。

初日に採集できるなんて!


これでなんとかNull は免れた・・・・・。


こうなると、次はターゲットの♀だなっ!

ここ玉原の経験だと、ソリダと出会うのは曇りか小雨の日、または夕方である。


日差しがキライな虫なのか?よくわからないが・・・


とにかくうれしい。

別のが来ないかとしばらく待ったが、いよいよ暗くなってきたので、引き上げることにした。


そして、意気揚揚としてペンションへ戻った。
   
 
                
おいしい食事の後、余勢を駆って、

灯火の見回りに出かけた。

以前と照明の位置や種類が変わっているようだが、

一番虫の数が多い場所を選んで探してみた。
        
    
小一時間ねばってみたが、結局、

センノカミキリが2頭とナカジロサビカミキリ

が1頭採れただけであった。




でも、ま、いいか♪
         
  
初日の成果。


普通種と雑甲虫ばっかり。



トホホ・・・・。



ソリダ♂が唯一の慰め・・・・

   

こうして、初日は終わりを告げた。


さて、明日は朝早くトラップの回収に行かないといけないし、早く寝よう・・・・。



しかし!!その晩から突然雨が降り出したのである!トラップ、ピ〜ンチ!!
    

                      
20080719 へ続く

    
   

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